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1997−1998 FIS World Cup Ski Jumping 総括




■今シーズンのワールドカップ■
  今シーズンは雪不足に悩まされたワールドカップでした。 当初予定されていた競技のうち、ノーマルヒルは2戦だけの予定だったのが、雪不足のためラージヒル2戦をノーマルヒルに差し替え、計4戦となりました。 特に1stステージは顕著で、第6戦のオーベルホフ(GER)のラージヒルが3rdステージに延期にせざるを得なくなり、結局ラハティ(FIN)のラージヒルで行われる予定だった団体戦が中止になりました。 BS1で放送があったハラホフ(CZE)の第5戦では、雪があるのがジャンプ台だけで町中やジャンプ台の周辺には全く雪が無く、妙に違和感を感じさせる画面でした。


■アンドレアス・ゴルトベルガー(AUT)騒動■
  ジャンプ界のスーパースター、ゴルトベルガーにとっては不遇のシーズンでした。 コカイン所持・使用疑惑でオーストリアのスキー連盟から選手資格を剥奪されたのが1997年の夏。 その後秋に復帰するのですが、今度はゴルトベルガーのコーチをナショナルチームに迎え入れるかどうかで再度連盟と対立し、一時は競技が続けられない状態になりました。 1997-1998のワールドカップが始まった頃はオーストリアのスキーチームから抜けて、新ユーゴの市民権を得て新ユーゴの選手として出場するのではとの噂も立ちましたが、最終的に和解してオーストリアチームに戻ってきました。 この騒ぎで、ゴルトベルガーは今シーズンは全くいいところ無し。オリンピックイヤーで日本チームの最大のライバルが一人減ったのはラッキーだったと見るべきなのでしょうか。


■プリモジュ・ペテルカ(SLO)総合優勝■
 シーズン開幕当初は原田雅彦が、2ndステージは船木和喜が総合成績トップを走っていましたが、3rdステージになって船木が不調でトップが入れ替わり、全ての試合が終了した時点で総合優勝はプリモジュ・ペテルカ(SLO)になりました。 2位は船木、3位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)、4位が原田、5位が斎藤浩哉と続き、10位には葛西紀明が入りました。 総合優勝したペテルカはシーズン前半では決して良い成績ではなかったものの、トータルで4勝、取りこぼしの少なさで見事総合優勝を獲得しました。 これで、昨シーズンに続いて総合2連覇、『フライングバード』とまでいわれる強さが伊達ではないことを証明しました。
 総括してみると今シーズンも日本選手が強く、総合ランキング10位以内に4人、国別成績でも断然トップでした。 しかしシーズン前半あれだけ強かった船木も原田も、それぞれ5勝ずつしているにもかかわらずどちらも総合優勝できず、この辺りが今の日本選手の実力なのでしょう。 今後はワールドカップ総合優勝が日本選手の大きな目標になります。


■船木和喜ヨーロッパジャンプ週間総合優勝■
 毎年年末から年始にかけてドイツ・オーストリアで行われる4連戦ヨーロッパジャンプ週間(Springertournee)は、スキージャンプ最大のイベントです。 この大会を制することはヨーロッパのジャンプ選手の憧れであり、最も名誉あるタイトルです。 今年は船木和喜が第1戦オーベルシュトドルフ、第2戦ガルミッシュパルテンキルヘン、第3戦インスブルックに優勝し、第4戦ビショフスホーフェンでは8位だったものの、見事総合優勝に輝きました。 日本人選手としては初めての総合優勝です。 ちなみに、日本人選手で4戦中3勝したのは1972年の笠谷幸生以来二人目です。


■船木和喜世界フライング選手権総合優勝■
 1月24〜25日のワールドカップ第16・17戦は世界フライング選手権を兼ねてドイツのオーベルシュトドルフで行われました。 船木和喜は24日の第16戦で2位、25日の第17戦で優勝し、二日間の総合ポイントでトップ、日本人選手としては1992年の葛西紀明以来二人目のフライング世界チャンピオンになりました。 テレビでも紹介されましたが、なんと言っても凄かったのが飛型点で、二日間計4本飛んで全て満点、1日目の2本目と2日目の2本目は飛型ジャッジ全員が20点満点をつけるという快挙でした。


■日本人選手表彰台独占■
 今シーズンは日本人選手だけで表彰台を独占した試合が3試合ありました。

★1月1日 ガルミッシュパルテンキルヘン(GER)(K115) (1)船木・(2)原田・(3)斎藤
★1月11日 ラムソー(AUT)(K90) (1)原田・(2)船木・(3)斎藤
★3月1日 ヴィケルスン(NOL)(K175) (1)岡部・(2)斎藤・(3)葛西

ノーマルヒル・ラージヒル・フライングヒル全ての大きさの台で表彰台独占を果たしたことになります。



■日本人選手優勝の全試合■
 ずらずらっと並べてみます。

★12月8日 フィラハ(AUT)(K90) 原田雅彦
★12月12日 ハラホフ(CZE)(K90) 原田雅彦
★12月21日 エンゲルベルク(SUI)(K120) 原田雅彦
★12月29日 オーベルシュトドルフ(GER)(K115) 船木和喜
★1月1日 ガルミッシュパルテンキルヘン(GER)(K115) 船木和喜
★1月4日 インスブルック(AUT)(K110) 船木和喜
★1月11日 ラムソー(AUT)(K90) 原田雅彦
★1月25日 オーベルシュトドルフ(GER)(K185) 船木和喜
★3月1日 ヴィケルスン(NOL)(K175) 岡部孝信
★3月13日 トロンハイム(NOL)(K120) 原田雅彦
★3月21日 プラニツァ(SLO)(K120) 船木和喜
★3月22日 プラニツァ(SLO)(K120) 葛西紀明

全27戦中12戦を制したことになります。



■独断と偏見で選ぶ今シーズンのベストジャンプ■
 今シーズンのベストジャンプはおそらく第17戦フライング(K185)の船木和喜の2本目(205.5mで飛型ジャッジ全員が20点満点)だろう…と思いきや、最後の最後に出てしまいました。とてつもないスーパージャンプが。
 最終戦プラニツァ(SLO)のラージヒルK120での葛西紀明の1本目、なんとK点を27.5mも越える147.5m!(飛型点は満点ではありませんが) その台のバッケンレコード140mを大きく上回り、ラージヒルの世界記録を作ってしまいました。([写真]) それまでのラージヒル世界記録といわれていたものは、昨シーズンのクーサモ(FIN)のジャンプ台(K120)で岡部孝信と船木和喜が出した142.5m。 計測不能といわれて騒がれた長野オリンピックの原田の記録でさえK120で137mですから、これがどれだけとんでもない記録かがわかるでしょう。 おそらくこの記録は葛西紀明でないと作れないのではないでしょうか。 だいたい、K点を27.5mも越えるまで飛行をやめないで飛び続けることのできる強気なジャンパーはそうざらにはいませんて。 1994年のリレハンメルオリンピック直前のNHK杯ラージヒル(大倉山シャンツェK115)で葛西が飛んだ135mを思い出してしまいました。 着地の衝撃で身体を傷めていなければいいんですが(笑)。
 余談ですが、プラニツァの台で最初に140mを飛んだのも葛西紀明。1994年のワードカップ最終戦(団体)でのこと。恐ろしいヤツだ。(一応、褒め言葉です)

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