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2000−2001 Ski Jumping トピックス




[FISワールドカップスキージャンプ リザルト]



■ジャンプ用スキー板の形状規制■
 4月14日付の新聞各紙の報道によると、2000−2001シーズンからジャンプ用スキー板の形状が規制されることがFIS(国際スキー連盟)ジャンプ小委員会で決定され、メーカー各社と合意した模様です。 新しい形状では、身長にかかわらず、板の先端から30cmまでと末端から15cmまでの二カ所の幅を11.5cmと定め、幅10.5cmのビンディング取付位置にむかってくびれる形になるとのことです。 この結果、身長の低い選手ほど落下面積に対するスキー板面積の割合が大きくなり、より大きい浮力が得られることが期待されます。
 スキー板の長さを身長の146%と定めた二年前のルール改正では身長が173cm以下の選手達は軒並みスキー板が短くなってしまい、現在では浮力の面で長身選手が圧倒的に有利です。 今回のルール改正で、身長の差による不平等が少しでも改善されることを望みましょう。


■2000〜2001年FISワールドカップスキージャンプ 日程■2001年2月6日更新
 2000〜2001年のFISワールドカップスキージャンプの日程が決定しました。

 [第2ピリオド]

  2000.11.24 クォピオ(FIN) K120(ナイタージャンプ)
  2000.11.25 クォピオ(FIN) K120(団体/ナイタージャンプ)
  2000.12.02 クォピオ(FIN) K120(ナイタージャンプ)(◆)
  2000.12.03 クォピオ(FIN) K120(ナイタージャンプ)(◆)
  2000.12.08 ラムソー(AUT) K90(中止)
  2000.12.09 リベレツ(CZE) K120(団体/ナイタージャンプ)(中止)
  2000.12.10 リベレツ(CZE) K120(中止)
  2000.12.16 エンゲルベルク(SUI) K120(中止)
  2000.12.17 エンゲルベルク(SUI) K120(中止)

 [第3ピリオド]

  2000.12.29 オーベルシュトドルフ(GER) K115
  2001.01.01 ガルミッシュ・パルテンキルヘン(GER) K115
  2001.01.04 インスブルック(AUT) K110
  2001.01.06 ビショフスホーフェン(AUT) K120
  2001.01.13 ハラホフ(CZE) K185
  2001.01.14 ハラホフ(CZE) K185

 [第4ピリオド]

  2001.01.19 ソルトレイクシティ(USA) K120(団体)(■)
  2001.01.20 ソルトレイクシティ(USA) K120(■)
  2001.01.24 白馬(JPN) K120
  2001.01.27 札幌(JPN) K120
  2001.01.28 札幌(JPN) K120

 [第5ピリオド]

  2001.02.02 ヴィリンゲン(GER) K120(団体)
  2001.02.03 ヴィリンゲン(GER) K120
  2001.02.04 ヴィリンゲン(GER) K120

  [2001ノルディック世界選手権]

   2001.02.18 ラハティ(FIN) K116
   2001.02.21 ラハティ(FIN) K116(団体/ナイタージャンプ)
   2001.02.23 ラハティ(FIN) K90(ナイタージャンプ)
   2001.02.25 ラハティ(FIN) K90(団体)

  2001.03.03 オーベルシュトドルフ(GER) K185
  2001.03.04 オーベルシュトドルフ(GER) K185

 [第6ピリオド]

  2001.03.07 ファルン(SWE) K115(▲)
  2001.03.09 トロンハイム(NOR) K120(▲)
  2001.03.11 オスロ(NOR) K115(▲)
  2001.03.17 プラニツァ(SLO) K185(団体)
  2001.03.18 プラニツァ(SLO) K185

(注)2001ノルディック世界選手権の成績はワールドカップポイントに加算されません。
(◆)リレハンメル大会の代替開催
(■)2002年冬季オリンピックのプレシーズン大会です。
(▲)ノルディックトーナメント


■2000年FISスキージャンプグランプリ 日程決定■2000年8月29日更新
 2000年夏のFISスキージャンプグランプリ(サマージャンプ)の日程が決まった模様です。

 [第1ピリオド]

  2000.08.05 ヒンターツァルテン(GER) K95(団体)
  2000.08.06 ヒンターツァルテン(GER) K95
  2000.08.09 クォーピオ(FIN) K120
  2000.08.11 フィラハ(AUT) K90
  2000.08.13 クーシュベル(FRA) K120
  2000.08.26 白馬(JPN) K120
  2000.08.27 白馬(JPN) K120
  2000.08.30 ムジュ(KOR) K120
  2000.09.02 札幌(JPN) K120
  2000.09.03 札幌(JPN) K120

 今シーズンからサマージャンプの試合数が増え、新たにフィンランドのクォーピオと韓国のムジュでラージヒルが行われるようです。 韓国でのスキージャンプの公式戦は、1995年の冬季ユニバーシアード以来5年ぶり。 サマージャンプの公式戦は今回が初めてとなります。 これで日本・韓国を渡り歩くアジアシリーズが実現するわけで、今年のムジュの開催内容によっては、近い将来冬のワールドカップ本戦が韓国で行われることは決定的となるでしょう。 また、これまでオーストリアの恒例開催地であったシュタムスの代わりにフィラハが選ばれています。


■サマージャンプ開幕■
 2000年のサマージャンプシーズン開幕を告げる第20回全日本朝日町サマージャンプ大会が、6月25日同町のミディアムヒル(K60)のシャンツェを使用して行われました。 ナショナルAクラスの主要選手をスロベニア合宿遠征で欠く中、Aクラスメンバーの中で唯一国内に残った原田雅彦(雪印)が2本のK点越えジャンプを揃えて見事優勝しました。 2位は佐藤昌幸(NTT東日本北海道)が入り、3位は岡村創太(雪印)と西方仁也(雪印)が同ポイントで並びました。


■斎藤浩哉、合宿中に負傷■
 日本スキージャンプ陣のスロベニア合宿が始まった6月26日、斎藤浩哉(雪印)が練習中のジャンプで飛びすぎて転倒し、左膝の靱帯を三カ所断裂する負傷をしました。 7月19日には膝の手術を受けたとのことですが、診断では全治六ヶ月。 手術で膝の関節にピンを入れた昨年春のときよりもはるかに重い負傷です。 この影響で斎藤は2000−2001シーズン開幕からワールドカップに参戦することがほぼ絶望的となりました。 2002年ソルトレイクシティ冬季五輪に向けて一日も早い復帰が望まれます。


■雪印スキー部活動自粛■
 雪印製乳製品による集団食中毒事件をうけて雪印乳業(株)は、同社が運営しているスキー部、アイスホッケー部、陸上部の全ての活動を2000年9月いっぱいは自粛することを発表しました。 スキー部はサマージャンプの本番を控えた大切な時期ですが、原田雅彦、岡部孝信ら日本を代表する多くの雪印所属選手が今年のサマージャンプ大会には出場しない模様です。 同社各運動部の活動は、アイスホッケーのリーグ戦が始まる10月から本格的に再開されるものと思われます。
 原田を始めスキー部の各選手は、大会には出場しないものの練習は続けると公言していますので、秋以降の大会に元気な姿を見せてくれることを期待しましょう。


■名寄ピヤシリサマージャンプ大会■
 7月16日、名寄のピヤシリシャンツェ(K65)でサマージャンプ大会が行われ、宮平秀治(ミズノ)が優勝しました。 2位は葛西紀明(チームマイカル)、3位は佐藤昌幸(NTT東日本北海道)でした。

 今大会は雪印勢が活動自粛で出場せず、また船木和喜(フィットスキー)も参加しない、”看板選手”が少ない大会でしたが、各選手の調整は概ね順調に進んでいる様子がわかります。 宮平や葛西が上位に入るのは実力通りの順当な成績ですが、今シーズンもNTT東日本北海道勢が全般的に好調で、佐藤昌幸が3位に入ったほか鶴巻信也が4位、安崎直幹が8位、上野真吾が15位にそれぞれ食い込んでいます。 雪印勢のサマーグランプリ出場が絶望的である現状を考えると、佐藤を始め好調なNTT東日本北海道勢には特に期待したいところです。


■大倉山サマージャンプ2連戦■
 昨シーズンからサマージャンプが可能となった大倉山ジャンプ競技場で、今シーズン最初の公式戦が2連戦で行われました。

●7月22日 第1回札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会 ラージヒルK120
 非常に難しい風が吹くことで有名な大倉山シャンツェ。 この日も向かい風と横風がめまぐるしく入れ替わり、選手達を悩ませたようです。 優勝は2ndラウンドに133.5mの最長不倒距離を記録した葛西紀明(チームマイカル)。 2位には前週の名寄ピヤシリ大会を制した宮平秀治(ミズノ)が入り、3位は減量が成功して現在絶好調の佐藤昌幸(NTT東日本北海道)が食い込みました。 期待された船木和喜(フィットスキー)は飛距離が伸びず4位、表彰台を逃しました。 また少年組は、長野県のホープ山田大起(飯山南高)が安定したジャンプで制しました。

●7月23日 2000 UHB杯大倉山サマージャンプ大会 ラージヒルK120
 停滞前線の接近に伴う雨で試合開始が30分遅れる展開。 制したのは128.5mのジャンプを二本揃えた宮平秀治(ミズノ)でした。 2位には船木和喜(フィットスキー)、3位には葛西紀明(チームマイカル)が入賞し、実力の高い選手が順当に上位を占めました。 少年組は前日の札幌市長杯に続いて山田大起(飯山南高)が優勝、雪印勢不参加の穴を埋めるべく8月のサマーグランプリ代表に選ばれた実力を遺憾なく発揮しました。


■減量について■
 今シーズンから頻繁に聞かれるようになった「減量」という言葉。 昨シーズンにワールドカップで一勝もできなかった日本チーム全体が、今この減量に真剣になって取り組んでいます。 事の発端は昨シーズンのサマージャンプでガリガリに痩せた姿を見せたスヴェン・ハンナヴァルト(GER)の活躍。 高い身長で長くなったスキー板が得る浮力を更に有効に利用しようと厳しい減量を重ねた結果、ワールドカップ総合成績でも4位に入り、減量がジャンプの好成績につながる見本を見せてくれました。 減量は2シーズン前あたりから諸外国勢が研究を重ねており、今や世界的な動向として選手達に確実に浸透しています。 日本チームはこれまで減量をほとんどしてきませんでしたが、昨シーズンまでの状態ではワールドカップで勝てないと見て、現在ナショナルA指定選手のほとんどが減量に取り組んでいます。

 減量をすると空中で空気抵抗をうけたときの減速の度合いが大きく、向かい風をうまく捉える飛型をすれば大幅な浮力の向上につながります。 日本チームでは、身長が低いことで有名な岡部孝信(雪印)が、短くなったスキー板でも飛距離が伸ばせるようにと、昨シーズンに3kg以上の減量を行って(体重は50kgを下回ります!)見事ナショナルチーム復活を果たしました。 但し、浮力が増す反面、インラン(助走路)でのスピードが落ちてしまうという欠点もあり、またハードな遠征をこなすための体力を敢えて削ることによる健康への害も重大な問題で、「諸刃の剣」であることは確かです。 この「痩せすぎ」の選手が増える現状を、ハンナヴァルトが所属するドイツチームのヘッドコーチ、ラインハルト・ヘス氏も「ジャンプ競技は異常なスポーツになりつつある」と危惧しています。 ただでさえ、年を追うごとにワールドカップの試合数が増加する傾向にある現在、減量のしすぎで過労になる選手も頻出すると思われ、過度の減量を抑えるために選手の「最低体重」をルールで規定しようという動きもあります。 今後は、各選手の体格と体力に見合ったぎりぎりの体重を見極める必要が出てきそうです。


■サマージャンプ国内戦リザルト(7月29日〜30日)■
●7月29日 第18回札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会 ノーマルヒルK90
 この日の優勝は90.0m/87.5mと2本とも安定したジャンプを見せた船木和喜(フィットスキー)。 2位は千葉勝利(東洋実業グループ)、3位は佐藤昌幸(NTT東日本北海道)でした。 1stラウンドにトップに立った葛西紀明(チームマイカル)は4位、サマージャンプシーズンが開幕してから好調な成績を残してきた宮平秀治(ミズノ)は5位に終わりました。

●7月29日 第4回朝日町全日本ジュニアサマージャンプ大会兼レディースサマージャンプ大会
 小学生の部/中学1年生の部/中学2年生の部/中学3年生の部/レディースの部とクラスを分けて行われた大会です。 小学生の部はK40のスモールヒル、他はK60のミディアムヒルです。 優勝者は以下の通り。
小学生の部:長南 翼(朝日少年団)/中学1年生の部:竹内 択(長野飯山少年団)/中学2年生の部:遠藤友晃(札幌少年団)/中学3年生の部:田中裕規(群馬草津中)/レディース:渡瀬あゆみ(札幌日大高)

●7月30日 第1回余市町全日本ジュニアサマージャンプ大会 ミディアムヒルK50
 優勝者は以下の通り。
小学生の部:伊藤謙司郎(下川少年団)/中学1年生の部:松野尾圭吾(下川少年団)/中学2年生の部:小沢史弥(下川少年団)/中学3年生の部:伊東大喜(下川少年団)



■これからは3本飛ぶ?〜新方式の試験採用■
 2000−2001シーズンのサマーグランプリシリーズとジャンプ週間に、新しい競技運営方式が試験的に採用されることになりました。

1stラウンド
48人の選手を12人ずつ4つのグループに分け、それぞれのグループで成績の良い上位6名(計24名)が2ndラウンドに進みます。 ここで2ndラウンドに進めなかった選手は、その成績順に25位から48位が確定します。

2ndラウンド
24名の選手を12人ずつ2つのグループに分け、それぞれのグループで成績の良い上位6名(計12名)が3rdラウンドに進みます。 この時、1stラウンドのジャンプはポイントに加算されません。 このラウンドで敗退した選手はその成績順に13位から24位が確定します。

3rdラウンド
最後に残った12名の選手が3rdラウンドで1本だけ飛び、その成績で1位から12位までの最終成績が決定されます。 この時、1stラウンド及び2ndラウンドのジャンプはポイントに加算されません。

 この方式の最大の特徴は、前のラウンドのジャンプはポイントに加算されないこと、すなわち全てのラウンドが「1本勝負」であることです。 FIS(国際スキー連盟)では、この方式を今シーズンのサマーグランプリシリーズ個人戦とジャンプ週間の4連戦で試験的に採用し、競技運営上の問題点やスポンサー及び観客の反応を探って、今後正式な運営方式として採用するかどうかを見極めるそうです。 今のところ、現地で観戦していない観客の間では”不評”のようですが‥‥。


■FISスキージャンプグランプリ開幕■
 ヨーロッパ各国と日本・韓国を転戦するFISスキージャンプグランプリ(サマーグランプリ)が開幕しました。 (日程は[こちら]) 開幕戦はドイツのヒンターツァルテンで団体戦と個人戦の二連戦、続いてフィンランドのクォーピオでラージヒル個人戦が行われました。 現段階で公式のリザルトの情報が入ってきていませんので、とりあえず主な結果だけ。

●8月5日 第1戦 ヒンターツァルテン(GER) ノーマルヒルK95 団体戦
 優勝はフィンランド。2位に日本、3位にはドイツが入りました。 日本チームのオーダーは、吉岡和也(デサント)/船木和喜(フィットスキー)/宮平秀治(ミズノ)/葛西紀明(チームマイカル)。 この日は宮平が素晴らしいジャンプを見せ、1stラウンドでは110.5mのバッケンレコードを記録しました。

●8月6日 第2戦 ヒンターツァルテン(GER) ノーマルヒルK95
 優勝はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)、2位はマルティン・ヘルバルト(AUT)でした。 日本勢では、1stラウンドにバッケンレコードを塗り替える112.5mをマークした葛西紀明(チームマイカル)が3位、好調の宮平秀治(ミズノ)が4位に入った模様です。 期待された船木和喜(フィットスキー)は2ndラウンドで敗退し、3rdラウンドに進めませんでした。

●8月9日 第3戦 クォーピオ(FIN) ラージヒルK120
 優勝は地元フィンランドのエース、ヤンネ・アホネン。 2位に葛西紀明(チームマイカル)、3位にマッティ・ハウタマキ(FIN)が入りました。 また宮平秀治(ミズノ)が5位に入賞し、船木和喜(フィットスキー)は8位でした。 葛西は3rdラウンドに最長不倒距離となる125.0mを飛びましたが、残念ながら飛型点でわずかにアホネンに及びませんでした。

 1本勝負を3本続けるという新方式の競技運営は、実際に試合に参加している選手の評判も今一つで、2本の合計ポイントで順位を決めるこれまでの方式の方がフェアであるという声も多いようです。 またここまでのリザルトを見ると、フィンランドや日本、オーストリアが好調であるのに対し、昨年のワールドカップ個人総合優勝のマルティン・シュミットやフライングヒルに滅法強いスヴェン・ハンナヴァルトを擁するドイツチームが全体的に低調です。 減量をすることが半ば当たり前になってきた今シーズン、コンディションの調整もこれまで以上にシビアになってきているのかもしれません。 サマーグランプリはこれからが本番。 今後の展開が非常に楽しみになってきました。


■FISスキージャンプグランプリ続報■
●8月11日 第4戦 フィラハ(AUT) ノーマルヒルK90
 オーストリアでのサマージャンプはこれまでシュタムスで行われてきましたが、今シーズンは冬の大会でもお馴染みのフィラハのシャンツェで開催されました。 優勝は3rdラウンドにK点を大きく越える96.5mを飛んで着地も決めたヤンネ・アホネン(FIN)。 2位は3rdラウンドの最長不倒距離99.5mをマークしたマッティ・ハウタマキ(FIN)、3位は飛距離でわずかにアホネンに及ばなかった宮平秀治(ミズノ)でした。 船木和喜(フィットスキー)は6位入賞です。 このシリーズ絶好調の葛西紀明(チームマイカル)はやや苦手なフィラハの台で3rdラウンドに進めず21位、仲村和博(チームマイカル)は27位でした。
 この後現地時間13日にフランスのクーシュベルでラージヒル個人戦を行ってサマーグランプリのヨーロッパシリーズは終了、8月26日からは舞台を日本と韓国に移して熱い闘いが続けられます。(日程は[こちら]


■宮平、アホネンと同点優勝!■
●8月13日 第5戦 クーシュベル(FRA) ラージヒルK120
 サマーグランプリの第5戦にあたるラージヒル個人戦が、アルベールビル冬季五輪の舞台となったフランスのクーシュベルで行われました。 3rdラウンドで最長不倒の125.5mを飛んだ宮平秀治(ミズノ)とヤンネ・アホネン(FIN)が同ポイントで優勝を分け合いました。 3位はマルティン・シュミット(GER)でした。 ワールドカップクラスの試合で日本人選手が優勝するのは1999年3月以来約1年半ぶりです。
 この試合で船木和喜(フィットスキー)は3rdラウンドに進めず21位、仲村和博(チームマイカル)は45位、吉岡和也(デサント)は48位に終わりました。 好調を維持していた葛西紀明(チームマイカル)は、風邪による発熱のためこの試合にはエントリーしませんでした。(今後の競技日程は[こちら]


■FISスキージャンプグランプリ白馬大会■
 この大会ではまた新しい方式の競技運営が試されました。 1stラウンドで12人ずつ4つのグループから成績上位6名ずつ計24名を2ndラウンドに進ませ、1stラウンドと2ndラウンドの合計ポイントを採用するというものです。 度重なる競技運営方式変更に、選手も観客も混乱しているかもしれません。

●8月26日 第6戦 ラージヒルK120
 優勝は125.0mと127.5mを飛んだフィンランドのマッティ・ハウタマキ。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)(128.0m/122.0m)、3位は葛西紀明(チームマイカル)(124.0m/121.0m)でした。 また宮平秀治(ミズノ)は4位に、船木和喜(フィットスキー)は6位にそれぞれ入賞しました。 その他の日本人選手は、山田大起(飯山南高)が22位、西森亨平(白馬スキークラブ)が23位、岸本誉(チームマイカル)が26位でした。 開催国特権で出場した他の日本人選手は、2ndラウンドに進むことができませんでした。

●8月27日 第7戦 ラージヒルK120
 この日は風の条件が難しかったようで、1stラウンドで大きなジャンプが出たあとにスタートゲートが下げられて、結局上位選手は2ndラウンドの結果のみで順位が確定しました。 優勝は131.0mを飛んだヤンネ・アホネン(FIN)、2位はリスト・ユシライネン(FIN)(129.0m)、3位はマッティ・ハウタマキ(FIN)(128.0m)でした。 フィンランド勢、表彰台独占です。 日本選手では船木和喜(フィットスキー)の5位が最高で、2ndラウンドに進んだ宮平秀治(ミズノ)は127.5m、葛西紀明(チームマイカル)は123.5mをそれぞれ飛びながら、二人とも転倒してしまい、上位入賞はなりませんでした。 今シーズンになってから調子を上げている西森亨平(白馬スキークラブ)は28位でした。


■FISスキージャンプグランプリ札幌大会■
 8月30日に韓国のムジュで予定されていたラージヒル個人戦は本戦が中止になり、サマーグランプリは舞台を札幌に移すこととなりました。

●9月2日 第8戦 ラージヒルK120
 この日は日本人選手に良い風が吹きました。 優勝は132.0mと135.0mを飛んだ宮平秀治(ミズノ)。 1stラウンドでトップに立ったヤンネ・アホネン(FIN)は2ndラウンドで飛距離が伸びず2位、3位は2ndラウンドに138.0mの最長不倒距離をマークした船木和喜(フィットスキー)でした。 葛西紀明(チームマイカル)は1stラウンドで失敗したものの2ndラウンドに137.0mのジャンプで追い上げて10位、西森亨平(白馬スキークラブ)は2ndラウンドに128.5mを飛んで18位でした。 宮平はサマーグランプリ第5戦のクーシュベルでアホネンと同ポイントの優勝を飾っていますが、単独優勝は1999年3月のプラニツァ大会以来となります。 また、この日2位に入賞したアホネンは、サマーグランプリの個人総合優勝を決めました。

●9月3日 第9戦 ラージヒルK120
 前日とはうって変わって風の条件が非常に厳しい試合となりました。 優勝はヤンネ・アホネン(FIN)、2位はヘニング・ステンスルード(NOR)、3位はラッセ・オーテセン(NOR)でした。 またノルウェー勢は4位にロアー・ヨケルソイが、10位にはトミー・インゲブリットセンが入り、チーム全員が好成績を残しました。 日本人選手は葛西紀明(チームマイカル)の6位が最高順位。 以下、11位に船木和喜(フィットスキー)、13位に宮平秀治(ミズノ)、22位に渡瀬雄太(札幌日大高)がそれぞれ入りましたが、風の条件に泣かされて良いジャンプができなかった選手が多かったようです。

 この札幌大会をもって今年のサマーグランプリは終了です。 個人総合成績は、1位がヤンネ・アホネン(FIN)、2位マッティ・ハウタマキ(FIN)、3位宮平秀治(ミズノ)、4位葛西紀明(チームマイカル)、5位リスト・ユシライネン(FIN)、6位船木和喜(フィットスキー)となりました。 アホネンを始めとしたフィンランド勢の好調さが際だっていた反面、昨シーズンのワールドカップ総合優勝者マルティン・シュミットらドイツ勢が良いところが無く、好対照でありました。 日本チームは”夏男”原田雅彦ら雪印勢が活動自粛のため参加しませんでしたが、その代わりに宮平・葛西・船木が奮闘し、非常に良い成績を残すことができました。 今シーズンからスキー板やジャンプスーツのレギュレーションが変わりましたが、その影響はほとんど無いようで、懐に風をためて飛ぶ新しいスタイルのジャンプを各々がマスターしつつあることが、そのまま結果に出ていると見て良いでしょう。 これから秋の調整期間を経て、11月からはワールドカップの熾烈が闘いが始まります。 今シーズンの日本チームはかなり期待できるのではないか、そんな印象を受けるサマーグランプリでした。


■Hkuba Cupジャンプ大会■

 10月22日、白馬ジャンプ競技場のラージヒル(K120)で、今年のサマージャンプ大会の最後を締めくくるHakuba Cupが行われました。 雪印乳業(株)の集団食中毒事件の影響で活動自粛を余儀なくされていた雪印スキー部が公式戦に復帰する試合でもあり、雪印勢の活躍が注目されました。
 1stラウンドは風の条件がめまぐるしく変化し、スタート順によって風の恩恵を受けた選手と受けられなかった選手が極端に別れました。 このラウンドでトップに立ったのは坂野幸夫(雪印)。 良い向かい風をもらって127.5mまで飛距離を伸ばしました。
 2ndラウンドは風がおさまって、飛距離を稼ぐのが難しい条件に。 各選手がK点を越えられずに苦しむ中、ただ一人K点を越えたのが、サマージャンプでは毎年圧倒的な強さを発揮する原田雅彦(雪印)でした。 121.5mまで飛距離を伸ばし、着地もきちんと決めて、1stラウンドの6位から一気に順位を上げてトップに躍り出ました。 1stラウンドでトップに立った坂野幸夫は緊張のためか飛距離が伸びず、10位まで後退。 結局、原田雅彦が見事な逆転優勝を決めました。 2位は佐藤昌幸(NTT東日本北海道)、3位は東輝(日本空調サービス)でした。 今年のサマーグランプリ札幌大会で一勝をあげた宮平秀治(ミズノ)は5位に終わりました。 船木和喜(フィットスキー)は風邪のため競技を欠場しました。

 スキージャンプはこの試合でサマージャンプの全ての日程を終了し、来月下旬から行われるワールドカップに向けて本格的な調整を始める時期に入ります。 昨シーズンのワールドカップで一勝もできなかった日本ジャンプチームですが、今年のサマージャンプの様子を見ていると、ドイツやフィンランド、オーストリアの強豪選手とのコンディションの差は昨シーズンほど開いておらず、各選手の実力は拮抗しています。 順調に調整を続ける原田雅彦や船木和喜、宮平秀治、葛西紀明らが怪我をすることなく実力を発揮できれば、今年のワールドカップでも常に優勝争いに絡んでくる展開となるでしょう。
 ワールドカップは11月24日にフィンランドのクォーピオで開幕します。 それまで各選手が怪我をせずに順調に調整を続けられることを願いましょう。


■FISワールドカップジャンプ クォピオ大会■
 2000−2001ワールドカップジャンプも、昨年と同じくフィンランドのクォピオで開幕です。 今年のヨーロッパは深刻な雪不足で、大会の運営にも大きな影響が出ています。 まず、ノルディック複合の開幕戦リレハンメル大会が雪不足で中止となったのに続き、ジャンプもクォピオ大会の次に予定されていたリレハンメル大会を中止することが決まりました。 今後も日程が変更されることがあるかもしれません。 また、各チームとも開幕直前の雪上トレーニングが予定通りに消化できておらず、調整不足のまま出場する選手が大変多いです。 クォピオ大会の二連戦は、その現状を如実に表す大会となりました。
 今シーズンのワールドカップのスケジュール([こちら])で特徴的な点は、昨シーズンに比べて団体戦が多いことで、このクォピオ大会でも二日目に団体戦が行われました。

●11月24日 第1戦 ラージヒルK120 [リザルト]
 濃いもやとめまぐるしく変化する風向きに各選手が悩まされました。 優勝したのはマルティン・シュミット(GER)。 1stラウンドに128.0mの最長不倒距離をマークしての圧勝でした。 2位はスヴェン・ハンナヴァルト(GER)、3位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)でした。 日本選手では吉岡和也(デサント)の9位が最高で、以下、岡部孝信(雪印)が14位、船木和喜(フィットスキー)が19位、吹田幸隆(雪印)が21位でした。 宮平秀治(ミズノ)、原田雅彦(雪印)、葛西紀明(チームマイカル)は1stラウンドで飛距離が伸びず、2ndラウンドに進めませんでした。

●11月25日 第2戦 ラージヒル団体K120 [リザルト]
 前日の個人戦の時よりも風が強く、クォピオ特有の風向きの変化も手伝って、番狂わせが多い内容でした。 日本チームは岡部孝信(雪印)/吉岡和也(デサント)/葛西紀明(チームマイカル)/船木和喜(フィットスキー)のメンバーで臨みました。 1stラウンドでトップに立ったのはオーストリアでしたが、2ndラウンドで有力選手の失敗が各チームとも目立ち、全ての選手が飛び終わった時点でトップに立っていたのはノルウェーでした。 ワールドカップの団体戦では久しぶりの優勝です。 2位はオーストリア、3位は地元フィンランド、4位はドイツで、日本は5位に終わりました。

 リレハンメル大会の代わりとして、12月1日〜2日にはクォピオで競技が行われる予定です。


■FISワールドカップジャンプ クォピオ大会■
 ノルウェーのリレハンメルで予定されていたワールドカップ第3戦と第4戦は、当地雪不足のため中止が決まり、開幕2連戦と同じフィンランドのクォピオで代替開催となりました。

●12月2日 第3戦 ラージヒルK120 [リザルト]
 この日はクォピオ特有の強い追い風が吹く厳しい条件で、2ndラウンドは途中でキャンセルされ、1stラウンドのみの結果で順位が確定しました。 優勝は119.5mを飛んだマッティ・ハウタマキ(FIN)。 2位は117.0mの葛西紀明(チームマイカル)、3位は116.0mのミヒャエル・ウアマン(GER)でした。 葛西は公式練習から絶好調で、今シーズン日本人選手としては初の表彰台となりました。 他の日本人選手は、岡部孝信(雪印)が23位、原田雅彦(雪印)が28位、吉岡和也(デサント)が40位、西方仁也(雪印)が48位、船木和喜(フィットスキー)が49位でした。

●12月3日 第4戦 ラージヒルK120 [リザルト]
 この日の優勝は、2本のK点越えジャンプを揃えたマルティン・シュミット(GER)。今季2勝目です。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はヴィレ・カンテー(FIN)でした。 日本勢は原田雅彦(雪印)の13位が最高。 1stラウンドで7位につけた葛西紀明(チームマイカル)は2ndラウンドで失敗し18位、復調の兆しが見える岡部孝信(雪印)は27位に終わりました。 以下、船木和喜(フィットスキー)が34位、宮平秀治(ミズノ)が44位、吉岡和也(デサント)が68位、吹田幸隆(雪印)が72位、西方仁也は78位でした。


■FISワールドカップジャンプ 競技日程の変更■
 雪不足のため、予定されていた次の大会が中止となりました。
  2000.12.08 ラムソー(AUT) K90
  2000.12.09 リベレツ(CZE) K120(団体/ナイタージャンプ)
  2000.12.10 リベレツ(CZE) K120
 日本チームは、西方仁也(雪印)と活動拠点を海外に移した船木和喜(フィットスキー)の2名のみヨーロッパにとどまり、他のメンバーは一時帰国して北海道の名寄で調整に入ります。 16〜17日に予定されているエンゲルベルク大会は、現時点では当初の日程通りに開催される予定ですが、日本チームからは出場枠の8名から人数を絞って参加することになりそうです。


■FISワールドカップジャンプ 競技日程の変更■
 雪不足のため、予定されていた次の大会が中止となりました。
  2000.12.16 エンゲルベルク(SUI) K120
  2000.12.17 エンゲルベルク(SUI) K120
 これで、12月29日から始まる年末年始のジャンプ週間(オーベルシュトドルフ/ガルミッシュ・パルテンキルヘン/インスブルック/ビショフスホーフェン)までワールドカップ公式戦が行われないという異例の事態となってしまいました。 現在日本チームは、船木和喜(フィットスキー)以外の全員が帰国して、雪の多い北海道で調整を続けています。


■2000−2001国内戦開幕■
 雪不足で混乱が続くワールドカップとは異なり、国内は北海道でいつもよりも雪が多い模様で、開幕戦となる名寄ピヤシリ杯と吉田杯の2連戦は予定通り行われました。

●12月16日 第31回名寄ピヤシリジャンプ大会(ノーマルヒルK86)
 雪と風の条件が厳しく、競技は1本のみの結果で順位が確定しました。 優勝は83.0mを飛んだ原田雅彦(雪印)、2位は82.0mで宮平秀治(ミズノ)、3位は安崎直幹(NTT東日本北海道)でした。

●12月17日 第16回吉田杯ジャンプ大会(ノーマルヒルK86)
 前日のピヤシリジャンプでふるわなかった葛西紀明(チームマイカル)がこの日の1stラウンドに94.0mの大ジャンプを見せ、2ndラウンドも87.5mとうまくまとめて圧勝しました。 2位は安定したジャンプを見せた岡村創太(雪印)、3位は岡部孝信(雪印)でした。 ピヤシリジャンプで優勝した原田雅彦(雪印)は2ndラウンドに失敗して6位に終わりました。

 ワールドカップから一時帰国したナショナルAクラスの選手が底力を見せつけて順当に成績を伸ばしました。 ヨーロッパ諸国の深刻な雪不足で各国の選手達が雪上練習不足を嘆いている中、日本は札幌と名寄で充分な量の雪があり、ワールドカップ遠征メンバーの調整は順調に進んでいる模様です。 これからジャンプ週間が始まるまでの約10日間でどれだけの内容の雪上練習ができるかが、今後のワールドカップの行方を占う鍵となるでしょう。


■ジャンプ週間(Springertournee)開幕■
 ワールドカップジャンプ第10戦から第13戦を兼ねた、ジャンプ週間が開幕しました。 まずははじめの2戦(オーベルシュトドルフ、ガルミッシュ・パルテンキルヘン)の模様をまとめてみます。

●12月29日 第10戦 オーベルシュトドルフ大会 ラージヒルK115 [リザルト]
 K点115mの小さめの台では考えられないような飛距離のバッケンレコードが続出した試合でした。 優勝したのは混戦の2ndラウンドに133.0mの大記録をうち立てたマルティン・シュミット(GER)。 2位には完璧なジャンプを二本揃えた葛西紀明(チームマイカル)、3位にはベテランらしい試合運びが光った原田雅彦(雪印)が入りました。 表彰台に複数の日本人選手が上がるのはたいへん久しぶりです。 宮平秀治(ミズノ)は19位、仲村和博(チームマイカル)は45位に終わりました。

●1月1日 第11戦 ガルミッシュ・パルテンキルヘン大会 ラージヒルK115 [リザルト]
 この試合でもバッケンレコードが大きく更新され、選手達の技量が全体的に向上している雰囲気が強く感じられました。 21世紀最初のワールドカップを制したのは、120mと122.0mのジャンプを揃えた元祖”カミカゼ”、葛西紀明(チームマイカル)。 ジャンプ週間に入ってからは絶好調の葛西、飛型の美しいジャンプに”勢い”と”強さ”が感じられました。 2位には2ndラウンドに葛西と同じ飛距離を飛んだ伏兵ドミトリ・ヴァシリエフ(RUS)、3位には現在ワールドカップに出場している選手の中で一番調子が良いアダム・マリシュ(POL)が入りました。 オーベルシュトドルフで優勝したマルティン・シュミット(GER)はガルミッシュの台が苦手らしく、8位。 原田雅彦(雪印)は追い風に泣かされて12位、宮平秀治(ミズノ)は30位、仲村和博(チームマイカル)は38位、渡瀬雄太(札幌日大高)は50位でした。


■ジャンプ週間(Springertournee)後半戦■
 今シーズンのジャンプ週間が終了しました。 ここでは後半戦の模様をまとめます。

●1月4日 第12戦 インスブルック大会 ラージヒルK110 [リザルト]
 予選から各選手の飛距離が伸び悩む中、ただ一人K点を越えるジャンプを揃えたアダム・マリシュ(POL)が優勝しました。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はドミトリ・ヴァシリエフ(RUS)でした。 ガルミッシュ・パルテンキルヘンで優勝した葛西紀明(チームマイカル)は1stラウンドに19位と出遅れ、2ndラウンドに111.5mを飛んで追い上げたものの、結局4位に終わりました。 日本人選手は葛西の他には23位に宮平秀治(ミズノ)が入っただけで、他の選手は2ndラウンドに進むことができませんでした。

●1月6日 第13戦 ビショフスホーフェン大会 ラージヒルK120 [リザルト]
 風の条件が一定しなかったのか、この大会でも予選から荒れ模様となりました。 優勝したのは絶好調のアダム・マリシュ(POL)。 2ndラウンドにはただ一人130mを越える134.0mのジャンプを見せて、圧勝しました。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位は地元選手アンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)が入りました。 ジャンプ週間総合成績で逆転優勝をかけた葛西紀明(チームマイカル)は1stラウンドに75.0mと失敗して、2ndラウンドに進むことができませんでした。 この大会では12位に船木和喜(フィットスキー)が入りましたが、その他の日本人選手はふるわず、2ndラウンドに進むことができませんでした。

 これで今シーズンのジャンプ週間(Springertournee)は、アダム・マリシュが総合優勝を決めました。 第一戦めのオーベルシュトドルフから文字通り”絶好調”を維持し続け、他の選手を寄せつけない飛距離でぶっちぎりの優勝です。


■国内戦(1月7日〜8日)■
 今シーズンの国内戦も佳境に入り、宮ノ森のノーマルヒル(K90)と大倉山のラージヒル(K120)を使った試合が行われるようになりました。 1月7日から8日にかけての2連戦の模様をまとめてみます。

●1月7日 第42回雪印杯全日本ジャンプ大会 ノーマルヒルK90(宮ノ森)
 年明け最初の公式戦はお馴染みの雪印杯。 ワールドカップ転戦から急遽帰国した原田雅彦(雪印)を中心に競技が進みました。
 ジュニアの部は伊東大貴(下川中)、レディースの部は山田いずみ(浅井学園大短大部)、少年組は久保優太(小樽北照高)が、それぞれ優勝しました。 今年から正式に競技に加わったレディースの部を制した山田は、2ndラウンドに90.0mのレディース国内最高飛距離をマークしての逆転優勝でした。
 成年組は、2本のK点越えジャンプを揃えた原田雅彦(雪印)が優勝しました。 2位は佐藤昌幸(NTT東日本北海道)、3位は安崎直幹(NTT東日本北海道)でした。

●1月8日 第43回HBC杯ジャンプ競技大会 ラージヒルK120(大倉山)
 130mを越える大ジャンプが続出する見応えのある大会となりました。 優勝はやはり原田雅彦(雪印)。 132.5mと134.5mのジャンプは、2本とも着地でテレマーク姿勢を決めた完成度の高いもので、ワールドカップ遠征組の底力を見せつけました。 2位は西下和記(日本空調サービス)、3位千葉勝利(東洋実業グループ)でした。 千葉は、1stラウンドに最長不倒距離の137.5mを飛びながら着地で手をついてしまったのが悔やまれます。

 原田のジャンプを見ていると、二日間で飛んだ6本のジャンプ(トライアルを含む)は全てK点を越える大ジャンプでしたが、それぞれのジャンプの内容は決してベストとは言えません。 ただし、ベストジャンプでなくとも滑空技術で飛距離を伸ばし、着地も決めて、ポイントを多く稼ぐ”コツ”を心得ているのが最大の強みであり、この2連戦は原田の”上手さ”が際だっていたと言えるでしょう。 国内残留組やジュニアの選手達の技量向上はめざましいものがありますが、同時に、ワールドカップを転戦するためのレベルの高さを再認識した選手も多かったと思われます。
 国内残留組では千葉勝利(東洋実業グループ)、安崎直幹(NTT東日本北海道)、佐藤昌幸(NTT東日本北海道)、吹田幸隆(雪印)らが好調を維持しており、調整のためにワールドカップから一時帰国しているメンバーとの入れ替えが、今後検討されるかもしれません。


■国内戦(1月12日〜14日)■
 ワールドカップのひとつ格下のコンチネンタルカップを兼ねて3連戦が行われました。

●1月12日 第29回札幌五輪杯記念国際スキージャンプ競技大会兼FISコンチネンタルカップジャンプ大会2001 ノーマルヒルK90(宮ノ森)
 この日宮ノ森を制したのは、現在絶好調の吹田幸隆(雪印)。 2本目には93.5mの最長不倒距離をマークして、社会人になって初めての優勝を飾りました。 2位は原田雅彦(雪印)、3位は安崎直幹(NTT東日本北海道)でした。

●1月13日 第28回HTB杯国際スキージャンプ競技大会兼FISコンチネンタルカップジャンプ大会2001 ラージヒルK120(大倉山)
 絶好のコンディションで行われたラージヒル。 131.0mと124.5mを飛んだ吹田幸隆(雪印)が前日に続いて連勝しました。 2位は宮平秀治(ミズノ)、3位はマルティン・コッホ(AUT)でした。 ワールドカップ遠征組では渡瀬雄太が5位、原田雅彦(雪印)が風に恵まれず8位、岡部孝信(雪印)が本来の調子を取り戻せず22位に終わりました。

●1月14日 第40回STV杯国際スキージャンプ競技大会兼FISコンチネンタルカップジャンプ大会2001 ラージヒルK120(大倉山)
 この日の優勝は原田雅彦(雪印)。 2ndラウンドに131.5mを飛んで1stラウンド6位から逆転しました。 2位は1stラウンドでトップに立った岡村創太(雪印)、3位は宮平秀治(ミズノ)でした。 3連勝がかかった吹田幸隆(雪印)は1stラウンドで風に恵まれず、10位に終わりました。

 2週間後にワールドカップ札幌大会を控え、国内では中堅・ベテラン勢の好調が目立ちました。 この3連戦中で2勝をあげた吹田幸隆(雪印)をはじめ、安崎直幹(NTT東日本北海道)、千葉勝利(東洋実業グループ)らが良いジャンプを見せており、ワールドカップ遠征で今ひとつ良い成績を残せなかった宮平秀治(ミズノ)、岡部孝信(雪印)、渡瀬雄太(札幌日大高)らもうかうかできないでしょう。 今後のワールドカップ遠征メンバーの動向にも変化が見られるかもしれません。 たいへん興味深い内容の3連戦であったと思います。


■FISワールドカップジャンプ ハラホフ大会■
 今シーズン最初のフライングヒルは「世界一怖いシャンツェ」と言われるハラホフの台。 強風や降雪など天候の条件が心配されましたが、競技は無事行われました。

●1月13日 第14戦 フライングヒルK185 [リザルト]
 優勝はアダム・マリシュ(POL)。 1stラウンドに206.0mを飛ぶと、2ndラウンドも194.5mと安定したジャンプを揃えて、2位以下を30ポイント近く引き離して逃げ切りました。 2位はマルティン・シュミット(GER)、3位はリスト・ユシライネン(FIN)でした。 日本人選手では葛西紀明(チームマイカル)が7位に入ったのが最高で、以下、仲村和博(チームマイカル)が19位、船木和喜(フィットスキー)が25位でした。 吉岡和也(デサント)は1stラウンドで32位と出遅れ、2ndラウンドに進むことができませんでした。

●1月14日 第15戦 フライングヒルK185 [リザルト]
 この日もアダム・マリシュ(POL)が優勝をさらっていきました。 1stラウンドには212.0mを飛び、今の絶好調が本物であることをまざまざと見せつけました。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はマルティン・シュミット(GER)でした。 日本人選手は、葛西紀明(チームマイカル)が11位、吉岡和也(デサント)が16位、船木和喜(フィットスキー)が20位、仲村和博(チームマイカル)が24位でした。


■FISワールドカップジャンプ ソルトレイクシティ大会■
 2002年ソルトレイクシティ冬季五輪の舞台となるシャンツェで行われる、最初の公式戦となりました。 初日の競技は当初ノーマルヒルでの団体戦が予定されていましたが、直前になってラージヒルの団体戦に変更されました。 ドイツの有力選手、マルティン・シュミットとスヴェン・ハンナヴァルトが欠場したため、ドイツチームにとっては厳しい大会となりました。

●1月19日 第16戦 ラージヒル団体K120 [リザルト]
 今シーズン2戦目となる団体戦は、日本(船木和喜/吉岡和也/原田雅彦/葛西紀明)が優勝しました。 日本チームの団体戦優勝は一昨年のドイツ・ヴィリンゲンでのワールドカップ以来2シーズンぶりです。 ソルトレイクに入ってから復調してきた船木のK点越えジャンプ2本と、全選手中トップのポイントを稼いだ葛西の見事なジャンプが光りました。
 2位は僅差でフィンランド(ソイニネン/J.ハウタマキ/ユシライネン/アホネン)、3位はオーストリア(ロイツル/ヴィドヘルツル/ヘルヴァルト/ホルンガッハ)でした。 絶好調のアダム・マリシュを擁するポーランドはこの団体戦にエントリーしませんでした。

●1月20日 第17戦 ラージヒルK120 [リザルト]
 個人戦で圧倒的な強さを発揮したのはやはりアダム・マリシュ(POL)。 2ndラウンドにはただ一人130mを越える133.5mを飛び、2位以下に40ポイント近くの差を付けて逃げ切りました。 2位は好調なヴォルフガング・ロイツル(AUT)、3位は吉岡和也(デサント)が入りました。 この日は日本勢の中でもこれまであまり調子が上がらなかった選手が奮闘し、4位には船木和喜(フィットスキー)、7位には宮平秀治(ミズノ)、8位には渡瀬雄太(札幌日大高)が入り、次に控えるワールドカップ日本シリーズに向けて期待を抱かせてくれる成績を残しました。
 葛西紀明(チームマイカル)は風の条件に泣かされ18位、岡部孝信(雪印)は26位、原田雅彦(雪印)は29位に終わりました。 仲村和博(チームマイカル)は2ndラウンドに進めず、36位でした。

 ドイツのシュミットとハンナヴァルトを欠いたため、この2試合で今後の流れを占うことはできませんが、マリシュの強さが際立っていることが目を引きます。 マリシュの個人戦連勝記録はどこまで伸びるのか、一体誰が彼の連勝を止めるのか、興味は尽きないところです。 また日本チームは、船木和喜と吉岡和也、宮平秀治が少しずつ調子を上げてきており、特に船木はK点を越えてくる確率が非常に高くなってきました。 この後から始まるワールドカップ日本シリーズ(白馬・札幌)では全ての有力選手が顔を揃えるでしょうから、優勝争いが更に加熱することは間違いありません。

 24日には白馬でラージヒル個人戦(K120)、27日から28日にかけては札幌でラージヒル個人戦(K120)の2連戦が行われます。 白馬大会には現地へ観戦しに行きますので、写真付きで競技の模様をレポートしたいと思います。


■FISワールドカップジャンプ 白馬大会■
 今シーズンのワールドカップ日本シリーズの緒戦はお馴染みの白馬で行われました。 平日の開催ということで、仕事や学校を終えてからでも観戦に来てもらえるよう、競技は夕方18時から始められました。 私も現地へ行って観戦してきました。フォトレポートは[こちら]

●1月24日 第18戦 ラージヒルK120 [リザルト]
 ここまで5連勝を続けていたアダム・マリシュ(POL)が連勝記録を伸ばすのか、それとも他の誰かがその記録に待ったをかけるのか、観客の注目はその一点に集まったと言っても過言ではないでしょう。 しかしそのマリシュは1stラウンドに転倒してしまい、8位に終わりました。 マリシュの連勝に待ったをかけたのは、前日の公式練習や当日のトライアルから大ジャンプを連発していたマルティン・シュミット(GER)。 1stラウンドは128.0m、2ndラウンドは130.5mを飛び、2本のジャンプとも全選手中トップのポイントで逃げ切りました。 この勝利でシュミットは個人総合成績でマリシュを抜き返し、再び首位に躍り出ました。 2位はリスト・ユシライネン(FIN)、3位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)でした。
 日本人選手では、葛西紀明(チームマイカル)が4位に入賞したのが最高。 ジャンプは安定している葛西ですが、本番になると力んでしまうのか、公式練習で見せた130mを越えるような大ジャンプにはなりませんでした。 1stラウンドで2位につけた船木和喜(フィットスキー)は2ndラウンドに失敗して13位、吉岡和也(デサント)は14位、宮平秀治(ミズノ)は18位、原田雅彦(雪印)は25位に終わりました。 岡部孝信(雪印)は38位、仲村和博(チームマイカル)は42位、渡瀬雄太(札幌日大高)は46位で、この3人は2ndラウンドに進むことができませんでした。

 この日の白馬は雲一つ無い快晴となりました。 気温は-5℃近くまで下がり、また風もほとんど吹かず、スキージャンプには最高の条件だったということになります。 積雪量は例年よりもかなり多かったようで、観客席は完全に雪に埋もれ、カメラ三脚の設置に大変苦労しました。 この日の観客動員数は約4,800人。 昨シーズンは二日間で約7,700人とのことですから、一日平均では今年の方が観客は多かったということになります。 競技中の細かい演出、白馬のナイトゲームではお馴染みになった競技終了後の花火大会、シャトルバスの運行経路の改善など、競技運営側が様々な工夫を凝らして大会を成功させようとしているのが随所に感じられ、気分良く観戦することができました。


■FISワールドカップジャンプ 札幌大会■
 ワールドカップ日本シリーズもいよいよ佳境。 現在最強のアダム・マリシュ(POL)を日本勢がどう迎え撃つのか、その戦いぶりに注目が集まりました。

●1月27日 第19戦 ラージヒルK120 [リザルト]
 前日の公式練習は吹雪のため中止になりましたが、この日は晴れ上って風も止み、絶好の条件で競技が行われました。 この日優勝したのはやはりアダム・マリシュ(POL)。 2ndラウンドでは全く風がない条件でもぐんぐん飛距離を伸ばし、133.5mの最長不倒距離を記録して圧勝しました。 この勝利でマリシュは、個人総合成績トップに再び返り咲きました。 2位はヴォルフガング・ロイツル(AUT)、3位はユッシ・ハウタマキ(FIN)でした。 白馬大会で優勝したマルティン・シュミット(GER)は2ndラウンドに失敗して7位に終わりました。
 日本選手は葛西紀明(チームマイカル)が10位、宮平秀治(ミズノ)が13位、原田雅彦(雪印)が16位、岡部孝信(雪印)が18位、吉岡和也(デサント)が19位、船木和喜(フィットスキー)が25位でした。 葛西は1stラウンドで3位に入り、大倉山でのワールドカップでは初めての表彰台が期待されましたが、風に恵まれず飛距離を伸ばすことができませんでした。

●1月28日 第20戦 ラージヒルK120 [リザルト]
 風向きが断続的に変化するという大倉山シャンツェ特有の”意地悪な風”の中、競技が行われました。 マリシュとの一騎打ちになるかと思われたマルティン・シュミット(GER)が1stラウンドで失敗して2ndラウンドに進めないなど、風の条件に泣かされた選手も多かったようです。
 優勝はこの日もアダム・マリシュ(POL)。 2ndラウンドにはバッケンレコードに迫る136.0mを飛んで観客を沸かせました。 2位はリスト・ユシライネン(FIN)、3位はドミトリ・ヴァシリエフ(RUS)でした。
 表彰台の期待がかかった葛西紀明(チームマイカル)は力んだのか飛距離が伸びず、5位どまり。 大倉山でのワールドカップ表彰台は次の機会におあずけとなってしまいました。 その他の日本人選手は、宮平秀治(ミズノ)が8位、原田雅彦(雪印)が19位、岡村創太(雪印)が20位、岡部孝信(雪印)が23位、船木和喜(フィットスキー)が25位、吉岡和也(デサント)が30位でした。

 ワールドカップは来週から舞台を再びヨーロッパに移します。 次は2月3日〜4日のドイツ・ヴィリンゲン大会。 一昨年の大会では葛西が団体戦、個人戦ともに優勝した、縁起の良い台です。 2月半ばの世界選手権を控えどのような闘いが繰り広げられるのか、注目しましょう。


■FISワールドカップジャンプ ヴィリンゲン大会■
 ワールドカップ・ヴィリンゲン大会では当初個人戦が2戦予定されていましたが、団体戦が1戦、個人戦が2戦の3連戦に変更されました。 ジュリーディスタンスが143mという特大のシャンツェに生まれ変わったラージヒルで、熱い闘いが繰り広げられました。

●2月2日 第21戦 ラージヒル団体K120 [リザルト]
 今シーズン3戦目となる団体戦です。 前回ソルトレイクシティの団体戦ではエントリーしなかったポーランド勢のチーム力などに関心が集まりましたが、蓋を開けてみると、フィンランドが強さを発揮して圧勝しました。 メンバーの中にはエースのヤンネ・アホネンの名前が無く、エース不在でも優勝できるというチーム力を見せつけました。 2位はオーストリア、3位は日本でした。 地元ドイツはシュミット以外の選手がぱっとせずに4位、アダム・マリシュを擁するポーランドは4人のジャンプを揃えることができず5位に終わりました。

●2月3日 第22戦 ラージヒルK120 [リザルト]
 個人戦の緒戦は、裾野が広がって飛距離が出るようになったヴィリンゲンらしい豪快な大ジャンプが相次ぎました。 優勝したのは128.0m、146.0mと2本とも安定したジャンプを揃えたヴィレ・カンテ(FIN)。 2位は2ndラウンドに151.5mという驚異的な飛距離を記録したアダム・マリシュ(POL)、3位は1stラウンドにトップに立っていたリスト・ユシライネン(FIN)でした。
 日本人選手は4位に宮平秀治(ミズノ)、6位に吉岡和也(デサント)が入賞、以下7位に葛西紀明(チームマイカル)、24位に船木和喜(フィットスキー)、29位に渡瀬雄太(札幌日大高)が入りました。 仲村和博(チームマイカル)は34位、原田雅彦(雪印)は37位、岡部孝信(雪印)が46位で、2ndラウンドに進むことができませんでした。 またこの試合では、マルティン・シュミット(GER)やスヴェン・ハンナヴァルト(GER)、アンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)らが2ndラウンドに進むことができないという番狂わせもありました。 風の条件がまちまちだったのかもしれません。

●2月4日 第23戦 ラージヒルK120 [リザルト]
 個人戦の2戦目はアダム・マリシュ(POL)が142.5mのジャンプを2本揃えて圧勝しました。 ポイントも316.0点と、ラージヒルとは思えないような数字です。 2位はリスト・ユシライネン(FIN)、3位はマッティ・ハウタマキ(FIN)でした。 フィンランドは調子を落としているアホネンがエントリーしていませんでしたが、その分若手選手が奮起してヴィリンゲン大会を盛り上げました。
 日本人選手では葛西紀明(チームマイカル)が4位、宮平秀治(ミズノ)が5位に入賞しました。 吉岡和也(デサント)は18位、原田雅彦(雪印)は27位でした。

 ワールドカップはここで一旦中断して、2月中旬からフィンランドのラハティで行われるノルディックスキー世界選手権に向けての調整期間に入ります。 今年の世界選手権では、これまで行われてきた3戦(ラージヒルの個人戦及び団体戦、ノーマルヒルの個人戦)に加え、新たにノーマルヒルの団体戦が予定されています。 日程は[こちら]をご覧下さい。


■ヴァシリエフ、ドーピング検査陽性で公式戦出場停止■
 年末年始のジャンプ週間(Springertournee)から好調で、先日の札幌大会でも表彰台に上がるなど今シーズンに入ってからめきめきと実力を上げていたロシアのドミトリ・ヴァシリエフ選手が、二度にわたるドーピング検査で陽性反応が出たため、今後2年間の全ての公式戦に出場することができなくなりました。 体重を減らすために利尿剤を使用したとのことで、本人も薬物を使用したことを否定しませんでした。 最近は体重を極端に減らして飛距離を得ようとする選手が非常に多く、同じように薬物を使用する選手が今後も出てこないとは限りません。 ヴァシリエフ選手の薬物使用疑惑は今後も波紋を呼ぶものと思われます。


■オーストリアのヘッドコーチ、自動車事故で死亡■
 ワールドカップジャンプ・ヴィリンゲン大会が終了した直後、オーストリアの選手とコーチを乗せた乗用車が事故を起こし、乗っていたオーストリアチームのヘッドコーチ、アロイス・リップブルガー氏が死亡、運転していたマルティン・ヘルヴァルト選手と同乗していたアンドレアス・ヴィドヘルツル選手が負傷しました。 運転していたヘルヴァルト選手は業務上過失致死の疑いで起訴される可能性があります。 世界選手権を目前に控えた時期に起きたこの事故でオーストリアチームは相当混乱しているようで、次のヘッドコーチが誰になるのか、ヘルヴァルト及びヴィドヘツルツの両選手が世界選手権に出場するのか、今のところまったく見通しが立たないようです。


■国内戦(2月10日〜12日)■
 世界選手権やユニバーシアードに出場する選手を欠いた3連戦でしたが、ワールドカップ後半戦や来シーズン以降の日本チームを占う要素を多く含んだ内容でした。

●2月10日 札幌スキー連盟会長杯ジャンプ大会兼第12回TVh杯ジャンプ大会
 少年組は渡瀬雄太(札幌日大高)が2ndラウンドに最長不倒距離の133.5mをマークして圧勝しました。 成年組は降雪がひどくなったために1stラウンドのみの結果で順位が確定。 優勝は吹田幸隆(雪印)、2位は坂野幸夫(雪印)、3位は西方仁也(雪印)でした。 雪印勢が表彰台を独占した形です。

●2月11日 札幌スキー連盟会長杯ジャンプ大会兼第13回UHB杯ジャンプ大会
 前日とはうって変わって好天に恵まれ、大ジャンプが続出しました。 少年組はこの日も渡瀬雄太(札幌日大高)の圧勝。 130m越えジャンプを2本揃え、ワールドカップ遠征組の貫禄を見せつけました。 成年組は吹田幸隆(雪印)が連勝。 2ndラウンドの138.5mのジャンプは圧巻でした。 2位には惜しくも吹田に届かなかったもののジャンプの内容ではひけを取らなかった坂野幸夫(雪印)が、3位には伏兵 木元克成(東京美装)が入りました。

●2月12日 第42回NHK杯ジャンプ大会
 少年組・成年組の区別なく行われたこの試合、優勝したのは高校生の渡瀬雄太(札幌日大高)でした。 飛距離はそれぞれのラウンドの最長距離となる139.5mと137.5m。 ベテラン勢の追い上げをものともしないタフな精神力が見事です。 2位は吹田幸隆(雪印)、3位は仲村和博(チームマイカル)でした。 優勝した渡瀬の他にも高校生の健闘が目立ち、15位以内に5人が入りました。

 この3連戦とこれまでの国内戦の結果を見ると、雪印勢の好調さと成長が顕著であることが目を引きます。 特に吹田幸隆や坂野幸夫は昨シーズンとは見違えるほどの良い内容のジャンプをしており、シーズンオフ時のトレーニングが確実に結果に結びついているような印象を受けました。 雪印食中毒事件でスキー部は一時活動自粛をしたため、大切な夏場の調整に支障が出たのではないかという心配がありましたが、その心配も杞憂に終わったようです。 来シーズンは渡瀬雄太が雪印に入社し、雪印勢の層の厚さはより一層強固なものとなることでしょう。


■ノルディックスキー世界選手権■
 2年に一度行われる世界選手権。 今年の舞台はフィンランドのラハティです。 K116のラージヒルとK90のノーマルヒルを使用して、個人戦2戦、団体戦2戦が行われました。

●2月20日 ラージヒル個人戦 K116 [リザルト]
 優勝はマルティン・シュミット(GER)。 世界選手権ラージヒル連覇です。 1stラウンドで3位につけ、トップに立ったアダム・マリシュ(POL)に強烈なプレッシャーをかける131.0mの大ジャンプで金メダルをもぎ取りました。 2位はそのアダム・マリシュ。世界選手権では初めてのメダル獲得となります。 3位は地元の英雄ヤンネ・アホネン(FIN)でした。
 日本人選手は堅さが目立ち、宮平秀治(ミズノ)がかろうじて15位以内(14位)に入ったものの、ワールドカップポイント総合4位の葛西紀明(チームマイカル)は2ndラウンドで失敗して19位、吉岡和也(デサント)は20位に終わりました。原田雅彦(雪印)は33位で、2ndラウンドに進めませんでした。

●2月23日 ノーマルヒル個人戦 K90 [リザルト]
 ラージヒルの覇者マルティン・シュミット(GER)とワールドカップ総合1位アダム・マリシュ(POL)の一騎打ちとなったこのノーマルヒル、制したのはマリシュでした。 2ndラウンドに98.0mの最長不倒距離をマークして逆転優勝です。 2位はシュミット。 2ndラウンドは直前でマリシュの大ジャンプを見せられ、プレッシャーをかけられてしまいました。3位はマルティン・ヘルヴァルト(AUT)でした。
 日本人選手は風の条件に泣かされ、飛距離を伸ばすことができませんでした。 しかし2ndラウンドに94.0mの大ジャンプを見せた原田雅彦(雪印)が大幅に順位を上げて5位に入賞しました。 また葛西紀明(チームマイカル)も2ndラウンドに奮起、8位に入りました。 吉岡和也(デサント)は19位、宮平秀治(ミズノ)が20位タイで終わりました。 前回の世界選手権ノーマルヒル優勝者の船木和喜(フィットスキー)は2ndラウンドに進めず、32位に終わりました。

●2月24日 ラージヒル団体戦 K116 [リザルト]
 ドイツが終始トップを独走し、優勝しました。 2位は地元フィンランド、3位はオーストリアで、日本は残念ながら4位に終わりました。
 日本はオーストリアと3位を争い続けました。 宮平/吉岡/原田/葛西の4名の選手とも、時折吹く横風に泣かされつつも精一杯のジャンプをしてオーストリアを追いかけました。 2ndラウンドで吉岡、原田が125m付近まで飛距離を伸ばしましたが、安定感のあるジャンプを揃えるオーストリアには今一歩及びませんでした。

●2月25日 ノーマルヒル団体戦 K90 [リザルト]
 オーストリアとフィンランドの激しい争いになったこの団体戦。 勝者はオーストリアでした。 フィンランドの最終ジャンパー、ヤンネ・アホネンが堅くなったのか、オーストリアのポイントにあと一歩及びませんでした。 2位はそのフィンランド。 ラージヒル団体戦に続く銀メダルです。 3位はドイツが入りました。日本チームは4位に終わりました。



■第79回全日本スキー選手権・ジャンプ(3月3日〜4日)■
 白馬ジャンプ競技場で行われる国内公式戦の目玉、全日本選手権。 ワールドカップ遠征組は参加しませんでしたが、全日本選手権というタイトルの重さはやはり格別なものがあります。

●3月3日 ノーマルヒルK90
 K点を越えるジャンプは出なかったものの、実力のある選手が順当に成績を伸ばしました。 優勝は1stラウンドで84.0mを飛んだ貯金を守って逃げ切った原田雅彦(雪印)。 この種目2年連続4回目の勝利です。 2位は佐藤昌幸(NTT東日本北海道)、3位は西方仁也(雪印)でした。

●3月4日 ラージヒルK120
 強い風のため2ndラウンドがキャンセルになり、1stラウンドの成績のみで順位が確定しました。 優勝したのはこの日も原田雅彦(雪印)。 123.0mの最長不倒距離をマークして貫禄を見せつけました。 原田は、自身が持つ全日本選手権最多優勝記録(ノーマルヒル、ラージヒル合わせて)を「8」に伸ばすとともに、3年ぶり2回目の全日本選手権2冠。 2回の2冠は1968年の藤沢隆以来33年ぶり、史上二人目だそうです。


■FISワールドカップジャンプ オーベルシュトドルフ大会■
 世界選手権終了後最初のワールドカップジャンプは、ドイツ・オーベルシュトドルフでのフライングヒル2連戦です。 世界選手権では力んでしまったのか今ひとつ精彩を欠いたフィンランド勢が、その借りを返すような好調ぶりを見せつけました。

●3月3日 第24戦 フライングヒルK185 [リザルト]
 この日はフィンランド勢の独擅場となりました。 優勝したのはリスト・ユシライネン(FIN)、2位はヴェリ・マッティ・リンドストローム(FIN)、3位はマッティ・ハウタマキ(FIN)と、表彰台を独占。 フライングヒルに滅法強いところを見せつけました。 ワールドカップ個人総合成績トップのアダム・マリシュ(POL)は4位、2位のマルティン・シュミット(GER)は5位でした。 日本人選手は全体的に記録が伸びず、葛西紀明(チームマイカル)が18位、吉岡和也(デサント)が25位、仲村和博(チームマイカル)が28位、宮平秀治(ミズノ)が30位でした。 渡瀬雄太(札幌日大高)は2ndラウンドに進むことができませんでした。

●3月4日 第25戦 フライングヒルK185 [リザルト]
 好調なフィンランド勢にワールドカップの上位常連組が”待った”をかけたこの日。 優勝したのは2本とも200mを越えるジャンプを揃え、高い飛型点で逆転したマルティン・シュミット(GER)でした。 200mを越えても着地で綺麗なテレマーク姿勢を決めるところは流石です。 2位はシュミットにわずかに及ばなかったアダム・マリシュ(POL)、3位は前日の優勝者リスト・ユシライネン(FIN)でした。 日本人選手はこの日はよく健闘し、葛西紀明(チームマイカル)が2ndラウンドで195.5mを飛んで6位入賞、宮平秀治(ミズノ)は2ndラウンドで199.0mの大ジャンプを見せ、順位を大幅に上げて10位に食い込みました。 またフライングヒルが得意な仲村和博(チームマイカル)は15位、前日2ndラウンドに進めなかった渡瀬雄太(札幌日大高)は30位に入りました。 渡瀬はこの大会がフライングヒル初挑戦。 この日30位に入ってフライングヒルの試合で初めてのワールドカップポイントを稼いだことになります。 岡村創太(雪印)は34位、吉岡和也(デサント)は36位で2ndラウンドに進むことができませんでした。

 世界選手権のスキージャンプ競技では結局金メダルを獲れなかったフィンランドが、プレッシャーから解放されて本来の実力以上の好成績を残しました。 ユシライネン、リンドストローム、M.ハウタマキら若手選手が現在世界最強のマリシュやシュミットを圧倒する姿は、実に痛快でありました。 但し、ここで気になるのはエースであるヤンネ・アホネンの絶不調。 二日目は2ndラウンドにも進めず、現在相当深刻な状態であることがわかります。
 日本勢は世界選手権での悪い流れをまだ引きずっているようで、特に一日目は惨憺たる結果に終わりました。 二日目で15位以内に3人が入りましたが、パワーに勝るシュミットやマリシュらには飛距離で水をあけられ、葛西の6位入賞がやっとだった、という印象が強く感じられます。 今シーズンの残り試合はもとより来シーズンのソルトレイクシティ冬季五輪に向けて、筋力の強化やサッツ(踏み切り動作)の技術向上などまだ多くの課題が山積していることを実感させられます。 ワールドカップは団体戦も含めて残り5試合、各選手の”ラストスパート”に期待しましょう。


■FISワールドカップジャンプ ノルディックトーナメント■
 ワールドカップジャンプの終盤戦は毎年北欧を転戦するシリーズとなります。 1997年からこの北欧シリーズを『ノルディックトーナメント』と称し、ちょうど年末年始の『ジャンプ週間(Springertournee)』のように一つの大会として位置づけるようになりました。 このノルディックトーナメントでも全試合のポイントを総合した成績を競います。 これまでの成績を見てみると、第1回の1997年は船木和喜(当時デサント)が、第3回の1999年には葛西紀明(チームマイカル)が、それぞれ総合優勝しています。 終盤戦の追い込みに強い日本勢、ノルディックトーナメントでも活躍が期待されました。

●3月7日 第26戦 ファルン(スウェーデン) ラージヒルK115 [リザルト]
 ファルンは1993年の世界選手権の舞台となったシャンツェ。 スウェーデンのジャンプのメッカです。 風の条件が悪かったためか予選を途中で中止し、57名の選手が本戦に臨みました。
 優勝はアダム・マリシュ(POL)。 2本のジャンプともそれぞれのラウンドでの最長不倒距離をマークしました。 2位はマリシュにわずかに及ばなかったマルティン・シュミット(GER)、3位はこのところ好調なヴォルフガング・ロイツル(AUT)でした。 日本人選手は葛西紀明(チームマイカル)の8位が最高。 以下、仲村和博(チームマイカル)が15位、吉岡和也(デサント)が22位でした。 また岡村創太(雪印)は31位、渡瀬雄太(札幌日大高)は46位、宮平秀治(ミズノ)は54位で、この3名は2ndラウンドに進むことができませんでした。

●3月9日 第27戦 トロンハイム(ノルウェー) ラージヒルK120 [リザルト]
 1997年の世界選手権で使用されたトロンハイムのラージヒル。 ヨーロッパスタイルの典型といえそうな形状をしたシャンツェでノルディックトーナメント第2戦が行われました。 この日は実力者が軒並み100mにも届かず失速するケースが多く、波乱に富んだ内容だったようです。
 優勝はアダム・マリシュ(POL)、2位はアンドレアス・ゴルトベルガー(AUT)、3位はイロール・メドヴェド(SLO)。 日本人選手は仲村和博(チームマイカル)が8位、吉岡和也(デサント)が16位、宮平秀治(ミズノ)が27位でした。 岡村創太(雪印)は31位、葛西紀明(チームマイカル)は44位で、ともに2ndラウンドに進めませんでした。

●3月11日 第28戦 オスロ/ホルメンコーレン(ノルウェー) ラージヒルK115 [リザルト]
 ノルディックトーナメント最終戦は伝統のオスロ・ホルメンコーレン大会。 かつて「東の大倉、西のホルメンコーレン」と言われ、札幌の大倉山と並んで歴史のあるシャンツェです。
 当日は濃霧のために競技が1stラウンドで打ち切られました。 その結果優勝したのは、やはりアダム・マリシュ(POL)。 この勝利で今シーズン11勝目、一シーズンでの最多優勝回数のタイ記録です。 またマリシュは今シーズンの個人総合成績でも1位が確定しました。 2位はこのところ好調なシュテファン・ホルンガッハ(AUT)、3位はマルティン・シュミット(GER)でした。 日本勢は宮平秀治(ミズノ)の10位が最高。 以下、原田雅彦(雪印)が14位、吉岡和也(デサント)が15位、葛西紀明(チームマイカル)が19位、仲村和博(チームマイカル)は33位、渡瀬雄太(札幌日大高)は47位でした。


■FISワールドカップジャンプ最終戦 プラニツァ大会■
 4ヶ月間続いた今シーズンのワールドカップもこのプラニツァ大会で最後です。 最終戦は”世界最大のシャンツェ”としてお馴染みになったプラニツァのフライングヒル。 K点は185mですが、バッケンレコードは225mという超特大のシャンツェです。 団体戦と個人戦が1戦ずつ行われました。

●3月17日 第29戦 フライングヒル団体K185 [リザルト]
 優勝候補の筆頭フィンランドチームはエースのヤンネ・アホネンが体調不良で不参加、ドイツチームのエース格スヴェン・ハンナヴァルトは早々にワールドカップの戦列から離れて休暇に入り、マルティン・シュミットは個人戦を見越してのことか団体戦に出場せず‥‥と、強豪選手達が顔を揃えなかった団体戦。 その上天候は雨という悪いコンディションでしたが、それでも200mを越えるジャンプが続出して観客は大いに盛り上がったようです。 優勝したのはフィンランド。 若手選手が中心の布陣でしたが、4名の選手が飛んだ8本のジャンプのうち6本が200m越えで、底力を見せつけました。 2位はオーストリア、3位は日本でした。

●3月18日 第30戦 フライングヒルK185 [リザルト]
 最後の試合となったこの個人戦では、既に個人総合優勝を決めているアダム・マリシュ(POL)が一シーズン最多優勝回数の「12」を達成することができるのか、それともマルティン・シュミット(GER)らがマリシュの優勝を阻止するのか、という大きな見どころがありました。 天候は晴れてコンディションは悪くなかったようですが、2ndラウンド開始直前から横風が強く吹き始めたため2ndラウンドがキャンセルされ、1stラウンドの成績のみで順位が確定しました。 優勝はマルティン・シュミット。 218.0mという大ジャンプでも着地でテレマーク姿勢を決め、高い飛型点で逃げ切りました。 2位はリスト・ユシライネン(FIN)、3位はトミー・インゲブリットセン(NOR)で、注目のマリシュは4位に終わりました。
 日本人選手は宮平秀治(ミズノ)の12位が最高。 以下、葛西紀明(チームマイカル)が18位、仲村和博(チームマイカル)が26位、原田雅彦(雪印)が29位、船木和喜(フィットスキー)が37位、吉岡和也(デサント)が43位、渡瀬雄太(札幌日大高)が50位でした。 残念ながら表彰台は逃しましたが、今シーズンずっとアプローチの姿勢で苦しんでいた宮平が絶好調時の感覚を取り戻したような素晴らしいジャンプを見せてくれたのは、来シーズンに向けて明るい材料となるでしょう。



■2000−2001FISワールドカップスキージャンプ 最終成績■
 2000−2001ワールドカップジャンプの個人総合成績です。
     1.Adam Malysz(POL)        1531
     2.Martin Schmitt(GER)     1173
     3.Risto Jussilainen(FIN)   938
     4.葛西紀明(チームマイカル) 728
     5.Janne Ahonen(FIN)        686
     6.Matti Hautamaeki(FIN)    648
     7.Wolfgang Loitzl(AUT)     614
     8.Stefan Horngacher(AUT)   566
     9.Sven Hannawald(GER)      462
    10.Jani Soininen(FIN)       394
    11.Tommy Ingebrigtsen(NOR)  391
    12.Andreas Widhoelzl(AUT)   388
    13.Martin Hoellwarth(AUT)   374
    14.Andreas Goldberger(AUT)  373
    15.Jussi Hautamaeki(FIN)    328
    16.宮平秀治(ミズノ)         302
    20.吉岡和也(デサント)       237
    26.原田雅彦(雪印)           167
    30.船木和喜(フィットスキー) 144
    41.仲村和博(チームマイカル)  91
    49.岡部孝信(雪印)            57
    56.渡瀬雄太(札幌日大高)      35
    67.岡村創太(雪印)            12
    68.吹田幸隆(雪印)            10
2000−2001ワールドカップジャンプ団体戦の国別成績(ネイションズカップ)です。
     1.Finland         680
     2.Austria         600
     3.Japan           530
     4.Norway          460
     5.Germany         370
     6.Poland          260
     7.Slovenia        100


■国内戦(3月10日〜24日)■
 今シーズンの最後を締めくくる3月後半の国内戦のダイジェストです。

●3月10日 第72回宮様スキー大会国際競技会 ノーマルヒル(K90)〜宮ノ森シャンツェ
 コンチネンタルカップを兼ねた宮様大会の緒戦、外国勢が活躍しました。 優勝は2ndラウンドに94.5mの最長不倒距離をマークしたシモン・ポドレベルセック(SLO)、2位はキモ・ユリリースト(FIN)、3位はフロリアン・リーグル(AUT)。 日本勢は樋口大二郎(北照高)が6位に入ったのが最高でした。

●3月11日 第72回宮様スキー大会国際競技会 ラージヒル(K120)〜大倉山シャンツェ
 外国勢の勢いはこの日も止まりませんでした。 優勝は1stラウンドに127.0mの最長不倒距離をマークしたキモ・ユリリースト(FIN)、2位はシモン・ポドレベルセック(SLO)、3位はヨステン・スメビー(NOR)。 日本勢は西方仁也(雪印)が4位に入ったのが最高でした。

●3月14日 第13回国際蔵王ジャンプ大会山形市長杯兼FISコンチネンタルカップジャンプ大会2001 ノーマルヒル(K90)〜蔵王ジャンプ台
 コンチネンタルカップの日本シリーズもこの蔵王大会が山場。 ここまで外国勢に押されていた日本人選手が巻き返しを図ります。 優勝したのは西方仁也(雪印)。 1stラウンドの96.0mはこの日の最長不倒距離です。 2位はキモ・ユリリースト(FIN)、3位は千葉勝利(東洋実業グループ)でした。

●3月15日 第13回国際蔵王ジャンプ大会NHK杯兼FISコンチネンタルカップジャンプ大会2001 ノーマルヒル(K90)〜蔵王ジャンプ台
 蔵王のシャンツェは日本勢に向いているのか、この日も優勝は日本人選手。 千葉勝利(東洋実業グループ)が1stラウンドに96.0mの最長不倒距離をマークして逃げ切りました。 2位は昨日に引き続きキモ・ユリリースト(FIN)、3位はフロリアン・リーグル(AUT)でした。

●3月18日 第35回雪印杯全日本ジャンプ旭川大会 ノーマルヒル(K76)〜嵐山シャンツェ
 この日優勝したのは、ワールドカップの戦列を離れて一足先に帰国していた岡部孝信(雪印)でした。 1stラウンドに2位につけた岡部、2ndラウンドで76.5mを飛んで逆転しました。 2位は1stラウンドでトップに立った一戸剛(アインズ)、3位は西方仁也(雪印)でした。

●3月23日 第25回伊藤杯宮の森ナイタージャンプ大会 ノーマルヒル(K90)〜宮ノ森シャンツェ
 当初20日に予定されていた伊藤杯宮の森ナイタージャンプ大会、天候不順で23日に順延されての開催でした。 しかしこの日も天候は安定せず、1stラウンドだけで順位が確定しました。 優勝は86.5mを飛んだ千葉勝利(東洋実業グループ)、2位は西方仁也(雪印)、3位は木元克成(東京美装)でした。

●3月24日 第2回伊藤杯シーズンファイナル大倉山ナイター・ジャンプ大会 ラージヒル(K120)〜大倉山シャンツェ
 国内での今シーズン最終戦となる大倉山ナイタージャンプ大会。 ワールドカップ遠征を終えた選手も帰国し、豪華なメンバーで行われました。 優勝は今シーズン今ひとつ良い成績をおさめられなかった船木和喜(フィットスキー)。 2ndラウンドで飛んだ130.5mのジャンプはこの日の最長不倒距離です。 2位は2ndラウンドで船木と同じ130.5mを飛んだ吉岡和也(デサント)、3位は渡瀬雄太(札幌日大高)でした。 他のワールドカップ遠征組は、原田雅彦(雪印)は4位、仲村和博(チームマイカル)は6位、葛西紀明(チームマイカル)は7位、宮平秀治(ミズノ)は14位でした。 またコンバインドの選手では、今シーズン著しい成長を見せた高橋大斗(北海道東海大)が大健闘して8位に入りました。

 24日の大倉山ナイタージャンプ大会は今シーズンを限りに引退する選手たちにとっては最後の大会となります。 西方仁也(雪印)、千葉勝利、千葉努(共に東洋実業グループ)、大洞崇之(東京美装)、久保勝裕(北海道東海大)の各選手が引退を表明しています。 皆様お疲れ様でした。

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