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1997−1998 日本国内戦 総括 |
毎年日本国内で行われる競技会もその規模は様々ですが、ここではテレビや新聞で報道されるような大きな大会を中心に見ていきます。
私自身、ジャンプ競技にほとんど縁のない土地(…神戸(笑))に住んでいる上、大会の情報はそのほとんどがテレビ・新聞・インターネットからによるものなので、内容にかなりの偏りがあります。あらかじめご了承下さい。 …とはいっても、それをいえばこのコーナー全てが偏っている訳なんですけどね(笑)。
近年の傾向として、ナショナルA指定の、いわゆるトップクラスの選手はシーズンのほとんどをワールドカップの遠征に割くため、国内の大会にはなかなか出る機会がありません。 そのため、国内戦に参加する選手達はナショナルB指定以下、あるいはジュニアの若い選手になります。 今後の日本チームを担う若い人材、現在のチームを支える厚い選手層などを見てゆく楽しみがあると思います。今年は長野オリンピックが行われるということで、国内戦の見どころは誰がオリンピック代表に選ばれるかという点に絞られました。 ワールドカップで実績のある船木和喜(デサント)・原田雅彦・斎藤浩哉・岡部孝信(以上、雪印)・葛西紀明(地崎工業)はほぼ当確でしたから、代表8人のうち残り3人を選ぶ争いになりました。 候補としては、デサントの吉岡和也・野呂田義一、 雪印の西方仁也・伊藤直人・吹田幸隆、 東京美装の須田健仁・笠間法考、 ニッカウヰスキーの東輝、 NTT北海道の安崎直幹・佐藤昌幸、 ミズノの宮平秀治、 東洋実業の千葉勝利、 日大の金子祐介らが挙げられました(もちろん、他にも有力選手はたくさんいますが)。
ワールドカップ遠征に船木和喜・原田雅彦・斎藤浩哉・岡部孝信・葛西紀明・吉岡和也・宮平秀治・東輝が参加。 シーズン開幕を告げる名寄ピヤシリシャンツェの2連戦(13日名寄ピヤシリジャンプ大会、14日吉田杯)は野呂田義一が連勝しました。 少年組では北照高の仲村和博が連勝、成年組と互角のジャンプをして上位に食い込みました。 須田健仁・安崎直幹・吹田幸隆らも好調です。
年明け11日の雪印杯ノーマルヒル(宮ノ森K90)は成年組は西方仁也が、少年組は西下和記(北照高)が優勝。 須田健仁・野呂田義一が1月11日のラムソー(AUT)のワールドカップに出場し、その後宮平秀治や不調だった岡部孝信とともに帰国して国内戦に臨みます。15日の札幌五輪記念ノーマルヒル(宮ノ森)は岡部孝信が優勝。 西方仁也・須田健仁がそれぞれ3、4位に入り、オリンピック代表へ大きくアピールします。 この試合では耳が不自由ながら毎年確実に上達している高橋竜二(水戸歯科スキークラブ)が健闘し7位に入ります。
17、18日は大倉山(K120)でHTB杯・STV杯の2連戦。 HTB杯は宮平秀治が優勝、以下岡部孝信、東輝、野呂田義一、伊藤直人と強豪選手が順当に成績を伸ばします。
STV杯では高橋竜二が130mの大ジャンプで、復調の兆しが見える岡部孝信を抑え初優勝。 耳の障害を乗り越えての優勝に翌日の新聞各紙は沸きました。
STV杯後の発表で、長野オリンピックの代表は船木和喜・原田雅彦・斎藤浩哉・岡部孝信・葛西紀明・吉岡和也・須田健仁・宮平秀治の8人に決定しました。 その時点での調子とワールドカップ遠征での成績が評価された結果でしょう。
25日は大倉山で全日本兼NHK杯ラージヒル。 オリンピックに向けて調整のため帰国した原田雅彦・斎藤浩哉が実力通りの強さを発揮し、結果は優勝が原田雅彦、2位に斎藤浩哉、3位に岡部孝信が入ります。
翌26日宮ノ森での全日本ノーマルヒルは優勝原田雅彦、2位西方仁也、3位岡部孝信。 原田の強さばかり目立ってしまいますが、西方らオリンピック代表に選ばれなかった選手達も、オリンピックに向けて気合いが高まっていくのがわかります。
31日から2月1日にかけても大倉山で2連戦。 オーベルシュトドルフ(GER)でのフライング選手権に出場していた船木和喜・東輝・吉岡和也・宮平秀治が帰国して、オリンピックへの調整に入ります。 31日のUHB杯ラージヒルはポーランドのオリンピック代表ヴォイチェク・スクーピエンが優勝。 少年の部では仲村和博が1回目に134mの見事なジャンプを見せて優勝しました。
1日はTVH杯ラージヒル。 優勝は絶・絶・絶好調(本人談/笑)の原田雅彦。 この日は向かい風が強く大ジャンプが続出し、岡部孝信が138.5m、原田雅彦が140.5mとそれぞれ大倉山のバッケンレコードを更新しました。 上位10位以内にオリンピック代表メンバー全員が入り、本番に向けての調整は順調に進んでいるようです。5日はワールドカップ2ndステージ最後の試合、札幌大会が大倉山のラージヒルで行われました。 外国勢がどの様な仕上がりぶりを見せるのかが注目です。 優勝アンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)、2位がヤニ・ソイニネン(FIN)、3位がヤンネ・アホネン(FIN)。 日本勢は思いの外成績が伸びませんでした。 上位に入賞した外国人選手はこの後のオリンピックでも活躍しますが、オリンピックでの各競技の詳細は[1998 長野冬季オリンピック ジャンプ]のページをご覧下さい。
28日は国体の純ジャンプ(ノーマルヒル)。 優勝者は成年Aは佐藤昌幸、成年Bは西方仁也、成年Cは清水久之(妙高高原町教育委員会)、少年組は西下和記、となりました。
3月はジャンプシーズン終盤戦に入ります。 5日は宮ノ森シャンツェで宮様大会ノーマルヒル。 オリンピック代表選考ではあと一歩代表の座に及ばなかった西方仁也が優勝。 少年組は好調西下和記が制しました。翌6日のHBC杯ラージヒルは強風のため中止。 7日の宮様大会ラージヒルはベテラン須田健仁が優勝しました。 2位に西方仁也、3位に吉岡和也、4位に高橋竜二が続きます。 少年組はまたも西下和記が優勝。 3月のこの成績が評価された吉岡と西下はこの試合のあと、ヨーロッパのワールドカップ3rdステージへの遠征に抜擢されます。
11日のFISコンチネンタルカップ蔵王大会(ノーマルヒル)は西方仁也が、13日の伊藤杯ナイタージャンプ大会(宮ノ森)は西森享平(白馬スキークラブ)が、15日の雪印杯旭川大会ノーマルヒルは西方仁也が優勝しました。 今シーズンの国内での大きな大会はこれで終了します。
ここでは高校生以下の選手権などは網羅できませんでした。 現居住地神戸では、情報量の差でいかんともしがたい壁を感じます(笑)。 他に特に地元で詳しい情報を提供してくれるサイトがありますので、探してみて下さい。(すまぬ)大まかに今シーズンを振り返ってみます。 やはり、海外遠征組に次ぐ実力を持った選手が順当に成績を伸ばしたシーズンでした。 特に目立った成績を上げたのは、成年組では西方仁也・須田健仁といったベテラン勢と、STV杯で初勝利を飾った高橋竜二、ワールドカップ遠征にも選ばれた宮平秀治・吉岡和也が挙げられます。 宮平・吉岡は海外でのワールドカップも数多くこなし、次の世代を担う選手として着実に成長を続けています。 二人ともオリンピック代表にも選ばれながらもオリンピック出場は果たせませんでしたが、あの葛西紀明でさえオリンピックのラージヒル個人・団体には選ばれないくらい現在の日本は層が厚いので、これは致し方ないといったところでしょうか。 実に贅沢な悩みです。
少年組では何といっても仲村和博と西下和記が好調でした。 どちらも船木和喜の後輩にあたる北照高で、主要大会の少年組のタイトルはこの二人で総なめしたような形です。 ワールドカップポイントも取得し、来シーズン以降の成長と活躍が非常に楽しみになってきました。
競技人口の減少が深刻化しているジャンプですが、長野オリンピック効果で今後の競技人口の増加に期待したいところです。 また、若手選手は確実に育ってきていますし、ベテラン勢もまだまだ元気で、日本ジャンプ界は今非常にエキサイティングです。 来シーズンの更なる活躍が今から楽しみです。
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