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2002−2003 Ski Jumping トピックス |
少し遅くなってしまいましたが、2月下旬から3月にかけて国内で開催された主な大会の結果をまとめてみます。
●2月25日 第58回国民体育大会冬季大会スキー競技会(なよろサンピラー国体)
名寄ピヤシリシャンツェ ノーマルヒルK90
スペシャルジャンプ競技は成年男子A・成年男子B・成年男子C・少年男子の4つのカテゴリに分けて行われました。 それぞれのカテゴリでの上位入賞選手は次の通りです。
成年男子A:
1位:山田大起(北野建設)/2位:金子祐介(東京美装)/3位:一戸剛(アインズ)
成年男子B:
1位:原田雅彦(雪印乳業)/2位:岡部孝信(雪印乳業)/3位:萩原貴則(トーエネック)
成年男子C:
1位:清水久之(妙高高原町役場)/2位:松井直也(ベラーク)/3位:関朋広(志賀高原スキークラブ)
少年男子:
1位:湯本史寿(下高井農林高)/2位:佐藤和也(八海高)/3位:伊東大貴(下川商業高)
●3月8日 第74回宮様スキー大会国際競技会ノーマルヒル競技
宮ノ森ジャンプ競技場 ノーマルヒルK90
FISの公認大会である宮様スキー大会。 この大会のスペシャルジャンプ競技では、全ての選手が1stラウンド、2ndラウンドとも参加できます。 時期的にワールドカップ終盤戦と重なるために、近年は国内のトップ選手達が参加する機会が少ないのが残念なところです。
成年の部の優勝は岸本誉(土屋ホーム)。 飛距離は91.5mと92.0mでそれぞれラウンドの3位の成績ですが、総合ポイントで他の選手を上回っての優勝です。 2位はシュテファン・カイゼル(AUT)、3位は山田大起(北野建設)でした。
少年の部はハッリ・オッリ(FIN)が優勝、壮年の部は佐々木三雄(札幌ジャンプクラブ)がただ一人の参加でした。
●3月9日 第74回宮様スキー大会国際競技会ラージヒル競技
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒルK120
悪天候のために1stラウンドの結果のみで順位が確定した試合でした。 成年の部の優勝は一戸剛(アインズ)。 ただ一人130mを越える137.0mのジャンプで今シーズン2勝目です。 2位はノーマルヒルの覇者、岸本誉(土屋ホーム)、3位はシュテファン・カイゼル(AUT)でした。
少年の部はクリストフ・シュトリックナー(AUT)が124.0mを飛んで優勝しました。
●3月12日 第15回国際蔵王ジャンプ大会山形市長杯
蔵王ジャンプ競技場 ノーマルヒルK90
コンチネンタルカップを兼ねて毎年行われている蔵王ジャンプ大会。 一日目の山形市長杯を制したのは、99.5mと102.5mを飛んだ東輝(日本空調サービス)でした。 2位はトマス・ロベン(NOR)、3位は岡部孝信(雪印乳業)でした。
●3月13日 第15回国際蔵王ジャンプ大会NHK杯
蔵王ジャンプ競技場 ノーマルヒルK90
蔵王ジャンプ大会の二日目はNHK杯。 優勝は95.0mと93.0mを飛んだ金子祐介(東京美装)でした。 2位はジム・デニー(USA)、3位は山田大起(北野建設)でした。
蔵王ジャンプ大会は毎年二日間の日程で行われる大規模な大会です。 何故か平日の開催となるのが常なのでテレビの全国放送もありませんが、ワールドカップ遠征組への昇格を狙う若手達がコンチネンタルカップポイントを狙う試合としては非常に重要な位置づけの大会です。 今後の開催日程がどうなるかわかりませんが、いずれ日本全国にTV中継がネットされるようになることを祈りたいところです。
●3月20日 第27回伊藤杯宮の森ナイタージャンプ大会
宮ノ森ジャンプ競技場 ノーマルヒルK90
シーズンの最後を締めくくるのは伊藤杯のナイタージャンプ。 まずは宮ノ森でノーマルヒルです。
優勝したのは東輝(日本空調サービス)。 1stラウンドは90.5m、2ndラウンドは92.5mと安定していました。 2位はノルディック複合の日本チームのエース、高橋大斗(北海道東海大)、3位は岡部孝信(雪印乳業)でした。 ワールドカップに遠征している葛西や宮平らはプラニツァ大会と日程が重なっており、この試合には参加していません。
●3月28日 第4回伊藤杯シーズンファイナル大倉山ナイタージャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒルK120
ワールドカップ遠征組も全ての日程を終えて帰国し、この試合でシーズンの最後の最後を締めくくります。 またこの試合では、競技生活の第一線から引退する選手達にとっても「最後の舞台」として重要な試合です。
優勝したのは今シーズン通して日本チームをずっと引っ張り続けてきた葛西紀明(土屋ホーム)。 1stラウンドで129.0m、2ndラウンドでは136.0mを飛び、どちらのジャンプも着地をしっかり決めて世界選手権メダリストの実力を見せつけました。 2位は2本とも安定したジャンプが光った西森享平(丸善食品工業)、3位は2ndラウンドにこの日の最長不倒距離140.5mを飛んだ船木和喜(フィットスキー)でした。
この試合をもって現役生活引退を表明した選手達は次の通りです。
齋藤浩哉(雪印乳業)/安崎直幹(NTT東日本北海道)/野呂田義一(デサント)/中村幸志(東洋実業)/目時慎一(東洋実業)/一戸栄人(旭川大)/平間大介(日本大)/長谷部大樹(北照高)
長野冬季五輪団体戦金メダルのメンバーである齋藤、クラシカルスタイルの時期から一線級のジャンプを続けてきた安崎、葛西と並んで「元祖カミカゼ」と称された野呂田と、今年も有名選手が多いです。 個人的に語りたいことはたくさんありますが、何はともあれ、皆様お疲れ様でした。
今シーズンの総合成績が確定しました。個人総合成績は以下の通りです。1.Adam Malysz (POL) 1357 2.Sven Hannawald (GER) 1235 3.Andreas Widhoelzl (AUT) 1028 4.Janne Ahonen (FIN) 1016 5.Florian Liegl (AUT) 986 6.Martin Hoellwarth (AUT) 925 7. Primoz Peterka (SLO) 805 8.Matti Hautamaeki (FIN) 797 9.Roar Lyoekelsoey (NOR) 757 10.Sigurd Pettersen (NOR) 747 11.宮平秀治 (ミズノ) 639 12.Andreas Goldberger (AUT) 556 13.葛西紀明 (土屋ホーム) 548 14.Bjoern-Einar Romoeren (NOR) 523 15.Michael Uhrmann (GER) 516 30.船木和喜 (フィットスキー) 185 47.高野鉄平 (土屋ホーム) 50 49.東輝 (日本空調サービス) 47また、国別対抗成績は次のようになりました。1.Austria 6117 2.Finland 3716 3.Norway 3273 4.Germany 3101 5.Slovenia 2315 6.Japan 1869 7. Poland 1608 8.Czech Republic 338 9.Italy 283 10.Switzerland 238 11.United States 61 12.Russia 52 13.France 32 14.Estonia 30 15.Sweden 27 16.Slovakia 15 17.The Netherlands 2個人総合優勝はアダム・マリシュ(POL)。 3シーズン連続の総合優勝です。 2位はスヴェン・ハンナヴァルト(GER)、3位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)でした。 今シーズンは開幕当初に上位陣の顔ぶれが目まぐるしく変わり混戦模様でしたが、シーズン後半になって底力の差が成績に出たようです。 マリシュは世界選手権までは1勝もできていませんでしたが、世界選手権で本来のジャンプを取り戻し、その後は彼の独擅場というような試合が続きました。 3シーズン連続の総合優勝は、1979-1980シーズンから始まったワールドカップの歴史の中では初めてのことです。
日本勢は宮平秀治(ミズノ)と葛西紀明(土屋ホーム)の二人が健闘して、総合15位以内に入りました。 宮平は11位、葛西は13位です。 これで来シーズン開幕戦の予選免除のシード権を獲得したことになります。
長野冬季五輪以降の度重なるルール改正と技術改革に対する取り組みの遅れのために、このところ上位争いをすることすら難しい状況が続いていた日本。 しかし今シーズンの宮平や葛西のジャンプを見ると、マリシュやハンナヴァルトら世界のトップ選手達との技術的な差はもうほとんど感じません。 葛西の世界選手権での大活躍とワールドカップ・ヴィリンゲン大会の優勝という、「目に見えてわかりやすい結果」も出せたことですし、この二人の活躍は高く評価できます。 来シーズンの更なる躍進を祈りましょう。 以下、船木和喜(フィットスキー)は30位、高野鉄平(土屋ホーム)は47位タイ、東輝(日本空調サービス)は49位でした。
5節ごとの総合成績で考慮されるワールドカップ遠征枠の基準は、個人総合成績45位以内にその国の選手が何名いるかという点。 今シーズンは宮平と葛西の活躍が目立った反面、その他の選手のワールドカップポイントがあまりに少なく、ワールドカップポイントを取った選手数もたったの5名と、実に寂しい内容でした。 今シーズンはコンチネンタルカップの遠征も行わなかった日本チーム、来シーズンに向けて選手層の充実が大きな課題となります。 高野鉄平(土屋ホーム)、山田大起(北野建設)、渡瀬雄太(雪印乳業)らの世代の選手達が今後どのように育っていくのか、大変気になるところです。
国別対抗成績は、前半戦で圧倒的な強さを発揮したオーストリアが2位以下を大きく引き離してトップ。 2位はフィンランド、3位はノルウェーでした。 結果だけを見るとオーストリアのチーム力がずば抜けていたように見えますが、シーズン中盤以降の不調はあまり印象の良いものではありませんでした。 それよりも、シーズンを通してコンスタントに良い成績を残し続けてきたフィンランドやノルウェーは流石でした。 特にノルウェーは、今シーズンからヘッドコーチに招聘したフィンランド人のミカ・コヨンコスキ氏の手腕に依るところが大きいようで、来シーズン以降の活躍も充分期待できます。 スキージャンプ発祥の地ノルウェーが、ジャンプ強国として復活しつつあると見て良いでしょう。
日本は全体で6位。 シーズン前半の不調と選手層の薄さを考えれば妥当な成績だと言えるでしょう。 欲を言うのなら、宮平や葛西にもっと早い時期に調子を取り戻してほしかった。 シーズンを通じてコンスタントに良い成績を収め続けることがいかに難しくいかに重要か、この結果からも容易に想像できます。 日本チーム全体としては、このところ成績が低迷しているために、今年に入ってからワールドカップ遠征枠が8名から5名に減らされてしまいました。 その影響は、おそらく今後も重くのしかかってきます。 宮平や葛西の活躍で光明を見い出せそうな雰囲気があるとはいえ、若手の育成や各実業団チーム間の連携など、日本チームが抱える課題は山積しています。 チーフコーチ八木弘和氏の苦悩はまだ当分続きそうです。
ワールドカップの最終戦はここ数年はスロヴェニアのプラニツァで開催するのが常となっています。 使用するシャンツェは、K185/ジュリーディスタンス215mのフライングヒル。 現在FISの公認を受けている5つのフライングヒルの中でも最も大きなシャンツェで、ジャンプの内容も試合の盛り上がりも格別のものがあります。 今年は団体戦を1戦、個人戦を2戦行いました。
日本チームのオーダーは、宮平秀治(ミズノ)/葛西紀明(土屋ホーム)/船木和喜(フィットスキー)/高野鉄平(土屋ホーム)の4名。 過去にワールドカップのフライングヒルで優勝経験のある宮平、葛西、船木に加え、プラニツァのフライングは今回が初めてとなる高野がどれだけ大きなジャンプができるかにも注目が集まりました。
●3月21日 団体第2戦 フライングヒルK185(Jury Distance 215m) [リザルト]
大会初日は団体戦です。 フライングヒルの得意な選手が多いフィンランドやノルウェーに対して、他のチームがどれだけ食い下がれるかが試合展開の見所の一つとなります。 優勝したのは4人8本のジャンプのうち7本までが200mを越えた、絶好調フィンランド。 リンドストローム/アホネン/キウル/M.ハウタマキのオーダーで臨み、1stラウンドの2位から逆転で勝利を収めました。 2位は1stラウンドでトップに立っていたノルウェー、3位はオーストリアでした。
日本チームは第3グループの宮平と第4グループの葛西が200mを越えるジャンプで追い上げたものの、第1グループの船木と第2グループの高野の飛距離が伸びず、6位に終わりました。 特に船木のポイントが低かったのが致命的。フライングヒルの経験が浅い高野のジャンプをカバーすることができませんでした。
●3月22日 個人第27戦 フライングヒルK185(Jury Distance 215m) [リザルト]
プラニツァ大会二日目は個人戦。 世界選手権以降圧倒的な強さを発揮するアダム・マリシュ(POL)はプラニツァ入りしてからも絶好調。 公式練習や予選でも他の選手を寄せ付けない飛距離を叩き出しており、この大会でも彼が優勝候補の筆頭でした。
この日優勝したのは、そのマリシュの陰に隠れて今シーズンなかなか優勝できなかったマッティ・ハウタマキ(FIN)でした。 1ndラウンドで214.0mを飛んでマリシュに次ぎ2位につけると、2ndラウンドでは221.0mを飛んでマリシュに大きなプレッシャーをかけ、見事逆転で優勝を決めました。 2位はそのマリシュ。 1stラウンドで224.5mを飛んでトップに立ったものの、2ndラウンドではプレッシャーからか209.5mまでしか飛距離を伸ばせず、惜しくも優勝を逃しました。 3位はマルティン・ヘルヴァルト(AUT)でした。
日本勢は宮平秀治(ミズノ)が安定したジャンプで6位に入賞。 団体戦で奮わなかった船木和喜(フィットスキー)も健闘して10位に入りました。 好調だった葛西紀明(土屋ホーム)は1stラウンドで失敗して36位、高野鉄平(土屋ホーム)は40位で、この二人は2ndラウンドに進むことができませんでした。
●3月23日 個人第28戦 フライングヒルK185(Jury Distance 215m) [リザルト]
プラニツァ大会三日目は、今シーズン最後の個人戦。 プラニツァ大会にエントリーしている選手の中で前日までのワールドカップ個人総合成績の上位30名が参加するという、この日限りの特別ルールが採用されました。
優勝はこの日もマッティ・ハウタマキ(FIN)。 1stラウンドでプラニツァのヒルレコードとなる231.0mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドも224.0mまで飛距離を伸ばして、他の選手を圧倒しました。 2位は世界選手権以降今ひとつ調子に乗れていなかったスヴェン・ハンナヴァルト(GER)、3位は2ndラウンドで213.5mを飛んで1stラウンドの10位から一気に順位を上げた宮平秀治(ミズノ)でした。 宮平、シーズン最終戦で嬉しい表彰台です。
前日の個人戦で奮わなかった葛西紀明(土屋ホーム)は、2ndラウンドで宮平と同じ213.5mを飛んで1stラウンドの13位から順位を上げ、7位に食い込みました。 船木和喜(フィットスキー)は2本とも安定したジャンプを揃えて13位に入りました。 日本勢は3名とも最終戦にふさわしい頑張りを見せてくれました。
ラージヒル、フライングヒルとも破格の大きさを誇るプラニツァ。 特にフライングヒルは、ヒルレコードを更新したらそれがそのままフライングヒルの飛距離世界記録となるだけに、選手達だけでなく観客やマスコミの注目度も特別のものがあるようです。 ただし困ったことに、最終戦を行うこの時期はプラニツァにも春が訪れつつあり、気温や雪温も高く、気象条件は決してベストとは言えないでしょう。 また、昼頃から強くなるプラニツァ特有の風に対しては細心の注意を払わねばならず、大会の運営はあらゆる面で非常にシビアです。 誰がどのような成績をあげるかということよりも、競技が無事に終了するかどうかの方が私にとっては気がかりでした。 幸いにも今大会では大怪我をする選手は出なかったようで、何よりでした。 ようやく終わったな、という安堵感がこみ上げてきます。
([ワールドカップ全日程])
ワールドカップスキージャンプ個人第25戦と第26戦は、フィンランドのラハティでラージヒルK116で行われました。 ラハティといえばフィンランドのスキージャンプ競技のメッカ。 ラージヒル、ノーマルヒル、ミディアムヒルの3つのシャンツェがずらっと並ぶ光景は、ヨーロッパのスキージャンプファンには既にお馴染みです。 強い向かい風が吹くことでも有名なラハティでどんなジャンプが見られるのか、注目が集まります。 両日ともナイトゲームでの試合となりました。
●3月14日 個人第25戦 ラージヒルK116(Jury Distance 128m) [リザルト]
この日の気温は2.0℃〜3.5℃と若干高め、雪温は-0.7℃〜-0.9℃、風速は0.1m/s〜1.5m/s。 雪も降らず天候は穏やかで、まずまずのコンディションでした。 ただ、ランディングバーンの雪が堅く締まっていて、着地で足を取られる選手も何名かいた模様です。 優勝はアダム・マリシュ(POL)。 1stラウンドで122.0mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドでもジュリーディスタンスに届く128.0mで逃げ切りました。 2位は2ndラウンドに128.5mの最長不倒距離をマークしたマッティ・ハウタマキ(FIN)、3位はスヴェン・ハンナヴァルト(GER)でした。
日本人選手は、予選で葛西紀明(土屋ホーム)が転倒して怪我が心配されたものの、本戦では落ち着いたジャンプを見せて6位に入賞しました。 以下、宮平秀治(ミズノ)は15位、船木和喜(フィットスキー)は30位でした。 高野鉄平(土屋ホーム)は45位で2ndラウンドに進むことができませんでした。
●3月15日 個人第26戦 ラージヒルK116(Jury Distance 128m) [リザルト]
この日は前日よりも若干気温が下がったようですが、雪温、風速などはほぼ同じような条件。 ラハティ独特の風に悩まされた選手もいたはずですが、試合そのものは順調に進められました。 優勝はまたもやアダム・マリシュ(POL)。 1stラウンドで129.5m、2ndラウンドでは132.0mと2本ともジュリーディスタンスを越えた上でランディングも決めました。 これでワールドカップ3連勝です。 2位は前日に引き続きマッティ・ハウタマキ(FIN)、3位はタミ・キウル(FIN)でした。
日本勢は宮平秀治(ミズノ)が健闘してマルティン・シュミット(GER)と並んで7位タイ。 葛西紀明(土屋ホーム)は今ひとつ飛距離が伸びずに16位でした。 船木和喜(フィットスキー)は31位、高野鉄平(土屋ホーム)は33位で、この両名は2ndラウンドに進むことができませんでした。
ラハティ大会を終えた時点でのワールドカップ個人総合成績は、トップが1227ポイントのアダム・マリシュ(POL)、2位が1185ポイントのスヴェン・ハンナヴァルト(GER)、3位が1016ポイントのアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)、4位が1002ポイントのヤンネ・アホネン(FIN)となっています。 今シーズンの個人戦はあと2戦ありますから、総合優勝はおそらくこの4名の中の誰かになるでしょう。 ジャンプの調子を見ればマリシュがダントツで有利。 2位につけたハンナヴァルトが、あと2戦でどこまでマリシュに肉薄できるかが見物です。
日本人選手は宮平秀治(ミズノ)が539ポイントで12位、葛西紀明(土屋ホーム)が512ポイントで13位と、それぞれ順位を上げました。 船木和喜(フィットスキー)は139ポイントで35位、高野鉄平(土屋ホーム)は50ポイントで46位です。 今大会に参加していない東輝(日本空調サービス)は47ポイントで47位です。 総合成績45位以内にその国から何名の選手が入っているかが、ワールドカップ遠征人数枠の重要な判断基準とされますから、現在46位の高野にはあと2戦で頑張ってもらって、何としても順位を上げてほしいところです。 高野の上の順位にいる選手を見ると、54ポイントで44位にいるマキシミリァン・メヒラー(GER)はこのところワールドカップメンバーに選ばれていないようなので、高野があと2戦で4ポイント以上を稼いでメヒラーを抜く可能性は充分にあります。 次のシーズンに繋がる成績を目指して、貪欲にポイントを稼いでほしいものです。
次のワールドカップはスロヴェニアのプラニツァ。 K185のフライングヒルを使用して3連戦を行う、今シーズン最終戦です。 1戦目は団体戦、2戦目と3戦目は個人戦の予定です。 3戦目は個人総合成績30位以上の選手だけが出場できる試合になるという情報もあります。 泣いても笑っても今シーズン最後のワールドカップですから、タイトル争い、賞金争い、スポンサーへのアピール、イタチの最後っ屁(<失礼/笑)など、それぞれの選手の思惑も様々でしょう。 どのような大会になるのか、楽しみにしていたいと思います。([ワールドカップ全日程])
世界選手権の開催で中断されていたワールドカップが再開されました。 シーズン終盤の目玉となるのは北欧諸国を転戦して総合成績を競うノルディックトーナメント。 今年はノルウェーのオスロとフィンランドのラハティで団体戦1戦を含む計4戦が行われます。 まずはオスロ大会。 スキージャンプの国際大会としては世界で一番古い歴史を持つといわれるホルメンコーレン国際ジャンプ大会を兼ねて行われました。
●3月8日 団体第1戦 ラージヒルK115(Jury Distance 128m) [リザルト]
一日目は団体戦。 ワールドカップの団体戦は今シーズンこれが初めてとなります。 世界選手権の団体戦では良いところがなかったオーストリアやドイツがどのようなジャンプを見せるか、また日本や地元ノルウェーは世界選手権に続いて表彰台に上がることができるのか、注目が集まりました。
優勝したのはオーストリア。 トマス・モルゲンシュテルン/クリスチャン・ナギラー/フロリアン・リーグル/アンドレアス・ヴィドヘルツルのオーダーで臨み、全員が安定したジャンプを揃えて見事優勝しました。 特に第1グループで2本のジャンプともトップのポイントを稼いだモルゲンシュテルンの活躍が光ります。 今シーズンの国別対抗成績トップの面目躍如というところでしょう。 2位は好調を持続しているフィンランド、3位はドイツでした。 世界選手権ではハンナヴァルトのジャンプがのびずにメダルに手が届かなかったドイツ、今回はその雪辱を果たしました。
日本チームは船木和喜/高野鉄平/宮平秀治/葛西紀明のオーダーで臨みましたが、船木と高野の飛距離が伸びず4位に終わりました。 また地元開催で意気上がるノルウェーは、エースのトミー・インゲブリットセンを体調不良のためかオーダーに入れることができず、7位に終わりました。
●3月9日 個人第24戦 ラージヒルK115(Jury Distance 128m) [リザルト]
濃い霧の中行われた個人戦。 2ndラウンドは、1stラウンドで5位だった葛西紀明(土屋ホーム)が飛び終わったところで中止され、1stラウンドの結果だけで順位が確定しました。 優勝は124.5mの大ジャンプを決めたアダム・マリシュ(POL)。 ワールドカップ今季初優勝です。 2位はフロリアン・リーグル(AUT)とロアー・ヨケルソイ(NOR)が同ポイントで並び、4位にはマッティ・ハウタマキ(FIN)が入りました。
日本勢は115.0mを飛んだ葛西紀明(土屋ホーム)がシモン・アマン(SUI)と並んで5位タイに入賞したのが最高。 キャンセルになった2ndラウンドでは飛距離が出ずに順位を下げていたので、この結果はラッキーでした。 以下、宮平秀治(ミズノ)が10位タイ、高野鉄平(土屋ホーム)は36位、船木和喜(フィットスキー)は37位でした。
オスロ大会を終えて個人総合成績はアダム・マリシュ(POL)が1027ポイントでトップに躍り出ました。 2位は1019ポイントのスヴェン・ハンナヴァルト(GER)、3位は1016ポイントのアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)です。 日本勢は宮平秀治(ミズノ)が487ポイントで12位、葛西紀明(土屋ホーム)が457ポイントで14位です。 35位の船木和喜(フィットスキー)と44位の高野鉄平(土屋ホーム)はポイントの加算はありませんでした。
次週は舞台をフィンランドのラハティに移して、ラージヒル個人戦を2戦行います。 ミディアムヒル・ノーマルヒル・ラージヒルの3台のシャンツェが併設された、フィンランドのスキージャンプ競技のメッカです。 風が強いことで有名なシャンツェですので、当日の気象条件が競技結果に及ぼす影響は非常に大きいと予想されます。 今回のオスロ大会は気象条件に恵まれませんでしたが、ラハティは良い天気となることを祈りましょう。([ワールドカップ全日程])
世界選手権の最後の種目はノーマルヒル個人(K95 / Jury Distance 105m)。 今や通常のワールドカップでは競技が行われなくなったノーマルヒルですが、ラージヒルと比べてシャンツェの大きさが小さい故にそれなりの難しさもあり、決して侮ることはできない競技です。 前回の世界選手権(1999年ラハティで開催)ではノーマルヒルの団体戦も併せて行われましたが、今回は個人戦のみです。 日本勢は、宮平秀治(ミズノ)/葛西紀明(土屋ホーム)/船木和喜(フィットスキー)/高野鉄平(土屋ホーム)の4名がエントリーし、全員が予選を通過して本戦に出場しました。
●2月28日 個人 ノーマルヒルK95(Jury Distance 105m) [リザルト]
この日の試合の流れとして注目されたのは、アダム・マリシュ(POL)とフィンランド勢(マッティ・ハウタマキ/タミ・キウル/アルツ・ラッピ/ヴェリ・マッティ・リンドストローム)の強さでした。 公式練習や予選でも彼らの強さと安定感はひときわ目立っており、本戦でも彼らを中心に優勝争いが繰り広げられるのではないかと思われました。
1stラウンドでトップに立ったのはやはりアダム・マリシュ(POL)。 このラウンドで最高の104.0mを飛んで、ポイント差がつきにくい熾烈な上位争いから一歩抜け出た形になりました。 2位につけたのは101.0mを飛んだ宮平秀治(ミズノ)、3位は同じく101.0mだったマッティ・ハウタマキ(FIN)。 葛西紀明(土屋ホーム)は99.0mで7位でしたが、メダル圏内である3位のハウタマキとのポイント差がわずか5点で、まだチャンスは充分にあります。 予選から好調だったトミー・インゲブリットセン(NOR)は100.5mを飛んで6位につけ、葛西と同じくメダルを狙える絶好の位置につけました。
2ndラウンドは気温が多少下がって雪の滑りが良くなったのか、スタートゲートは変更されませんでしたが各選手の飛距離が全体的に伸びました。 転倒者も二人出て、最後のラウンドの「一発」にかける選手達の強い闘志が感じられました。 激しい上位争いの末に見事金メダルを獲得したのはアダム・マリシュ。 この日の最長不倒距離となる107.5mを飛び、2位に16ポイントの差をつけて圧勝しました。 2位は105.0mを飛んで1stラウンドの6位から順位を上げたトミー・インゲブリットセン、3位は104.0mを飛んだ葛西紀明でした。 1stラウンドで2位に立っていた宮平秀治は101.0mで惜しくもメダルに届かず、4位に順位を下げてしまいました。 試合前のトライアルラウンドで強さを見せていたフィンランド勢も健闘して10位以内に4人全員が入りましたが、いずれもメダルには手が届きませんでした。
この他の日本人選手は、船木和喜(フィットスキー)が15位、高野鉄平(土屋ホーム)が26位でした。 船木が本戦で飛距離が伸びなかったのは残念ですが、調子は上向いてきているようなので、3月のワールドカップ遠征にも期待がもてます。 19歳の高野は初めての世界選手権参加。 26位とはいえ2ndラウンドに進むことができたのですから、充分健闘したと言って良いでしょう。
世界選手権が開幕する直前までのワールドカップでは、オーストリア勢やワールドカップポイント1位のスヴェン・ハンナヴァルト(GER)の活躍が目立ち、世界選手権でも試合の主導権を握るのではないかと思われました。 しかし蓋を開けてみればそのオーストリア勢とハンナヴァルトが全く良いところを発揮できず、代わりにフィンランドや日本、ノルウェーが大暴れしました。 個人戦を連勝したアダム・マリシュ(POL)も今シーズンのワールドカップではまだ勝利をあげておらず、世界選手権前の下馬評は決して高くなかったのではないかと思います。 このように予想外の展開になるのが世界選手権の醍醐味(?)。 日本人選手の大活躍もあって非常にエキサイティングな大会となりました。
個人戦を全て制したアダム・マリシュは、世界選手権に入ってから本来の力強いサッツが戻ってきました。 サッツの完了の素早さと飛び出した直後のフライトの高さは、全選手の中でも群を抜いています。 ワールドカップでは今ひとつだった彼のジャンプもここへ来て完全復調したようで、今後のワールドカップ総合優勝争いはより一層厳しいものになるでしょう。
一方、不振を極めた選手の代表格がスヴェン・ハンナヴァルト。 何処から歯車が狂ってしまったのか世界選手権ではラウンドの最長不倒距離を記録することもできず、まるで別人のような元気のないジャンプが続きました。 また、オーストリア勢も悪い流れにはまっていたようで、ドイツとともに今大会はメダル無しに終わりました。
日本チームは当初の期待以上の結果を出してくれました。 何といっても葛西紀明の大活躍はオールドファンにとっては嬉しいもの。 これまで長らく日本スキージャンプ陣を牽引してきた大黒柱の一人であるにもかかわらず、オリンピックや世界選手権では個人のメダルに縁がありませんでした。 今大会ではラージヒル個人戦の銅メダル、ラージヒル団体戦の銀メダル、ノーマルヒル個人戦の銅メダルと3つのメダルを獲得。 日本チーム全体に低迷ムードが漂って久しいこの時期にこれだけのメダルを獲ったことは、メダルの色以上の重みがあります。
葛西の陰に隠れてしまいがちだった宮平秀治も見事なジャンプを見せてくれました。 惜しくも個人戦のメダルには手が届きませんでしたが、宮平の安定したジャンプが日本チームの士気を支えていたのは紛れもない事実です。 この活躍は大いに讃えたいと思います。
次週からはまたワールドカップが始まります。 まずは北欧諸国を転戦するノルディックトーナメント。 緒戦はノルウェーのオスロ、世界で最も古い歴史を持つホルメンコーレン大会です。 ([ワールドカップ全日程])
世界選手権のスキージャンプ種目、お次はラージヒル団体戦です。 オリンピックと同じように各国4名ずつをエントリーし、4人全員のポイント合計で勝負を競います。 ラージヒル個人戦での葛西の銅メダルで意気上がる日本チームに、今大会二つ目のメダルの期待がかかりました。
●2月23日 団体 ラージヒルK120(Jury Distance 132m) [リザルト]
日本チームのオーダーは、船木和喜(フィットスキー)/東輝(日本空調サービス)/宮平秀治(ミズノ)/葛西紀明(土屋ホーム)の順でした。 世界選手権に入ってからの各選手の調子を考慮した上での選考です。 トレーニングの成績などではフィンランドが優勝候補の筆頭。 そこに日本やノルウェーがどれだけ肉薄できるか、ワールドカップで抜群のチーム力を見せるオーストリアが意地を見せるのか、見所が非常に多い試合となりました。
1stラウンドでトップに立ったのはフィンランド。 第1グループのヤンネ・アホネンが飛距離を伸ばすことができませんでしたが、若いタミ・キウルやアルツ・ラッピの大ジャンプがそれをカバーしました。 2位は全員がそつのないジャンプをこなした日本、3位は第1グループのトミー・インゲブリットセンの頑張りが効いたノルウェーでした。 オーストリアは第4グループのフロリアン・リーグルが転倒して大きく順位を下げ、6位。 早くも優勝争いから外れてしまいました。
2ndラウンドでもフィンランドの勢いは止まりません。 1stラウンドで精彩を欠いたヤンネ・アホネンも無難にまとめ、タミ・キウルとマッティ・ハウタマキが130mを越えるジャンプを見せて独走し、1997年の世界選手権トロンハイム大会以来6年ぶりの団体戦優勝を果たしました。
一方、2位の座は日本とノルウェーで熾烈な争いとなりました。 日本は第1グループの船木がまさかの転倒。 着地後にバランスを崩して手をついてしまい、一旦は3位に後退しました。 しかし東、宮平、葛西の3名が奮起してそれぞれ飛距離を伸ばします。 特に第3及び第4グループでは国際大会の経験が浅いノルウェーの若手選手が飛距離を伸ばせないのに対し、日本は宮平と葛西が会心のジャンプを見せ、ノルウェーに18ポイント以上の差をつけて逆転しました。 日本チーム、1999年の世界選手権ラムサウ大会以来の団体戦銀メダルです。 3位銅メダルはノルウェー、4位はドイツでした。 オーストリアは2ndラウンドで挽回しましたが、メダル争いに絡むことはできず5位に終わりました。
元々団体戦は4人の選手のうち成績の良い3名のポイントの合計で競うというルールから始まりましたが、現在は全てのジャンプのポイントを合計します。 すなわち、4人の選手が飛ぶ8本のジャンプの中で失敗ジャンプをどれだけ減らせるかが、勝負を大きく左右するわけです 全員が失敗をしないことが一番ですが、大舞台での緊張からベストのジャンプを2本揃えることは非常に難しく、ここで真のチーム力が問われます。
優勝したフィンランドは、大黒柱のアホネンの不調をものともしない若手選手の勢いが印象的でした。 日本は船木が2ndラウンドで転倒してしまいましたが、仮に転倒しなかったとしてもフィンランドのポイントには追いつかなかったでしょう。 選手層の厚さ、大会に照準を合わせて調整を進めるスケジューリングの素晴らしさが、この試合の結果に表れたというわけです。
日本は細かいミスはいくつかあったものの、試合の流れの中でそのミスを最小限に食い止めることができました。 葛西や宮平は落ち着いたジャンプで取りこぼし無くポイントを稼ぎ、現状で期待しうる最良の結果を出してくれました。 またこの試合で第2グループの東が2本ともK点を越えたことが、日本の銀メダルに大きく貢献したことを見逃してはなりません。 今大会が始まってからも大きなジャンプがなかなか出ずに苦しんでいた東でしたが、団体戦のトレーニングラウンドから一つコツをつかんだようで、サッツは個人戦の時とは見違えるほど良くなりました。 「栄光の日の丸飛行隊」復活の足がかりとして、この銀メダルは非常に重要な意味を持つはずです。
ノルウェーは日本と激しく争う結果となりましたが、明暗を分けたのは第3及び第4グループのジャンプでした。 国際大会や大舞台の経験が豊富な宮平や葛西に比べ、ペテルセンやルメレンは今シーズンから頭角を現したばかり。 世界選手権の団体戦で重責を果たすには力不足だったのではと考えざるを得ません。 かといって、今回のノルウェーチームで経験が最も豊富なインゲブリットセンを第4グループに選んだとしても、この結果が覆るかどうかはわかりません。 長らく世界のトップランクから遠ざかっていたノルウェーには高すぎる壁だったということでしょうか。
スキージャンプ種目、残るはノーマルヒル個人戦です。 現地時間の2月28日に、ラージヒルに併設されたK95のシャンツェを使って行われます。 葛西には今大会3つ目のメダルの期待もかかります。注目しましょう。
2年に一度行われる世界選手権、今年はイタリアのヴァル・ディ・フィエンメで開かれました。 当地では1991年にも世界選手権が行われており、実に12年ぶりの開催となります。 出場枠は各国4名まで。 他に、前回の世界選手権優勝者にはその種目のディフェンディングチャンピオンとしてのシード権が与えられます。 最初の種目は現地時間2月22日に行われたラージヒル個人戦です。 日本勢は、宮平秀治(ミズノ)/葛西紀明(土屋ホーム)/船木和喜(フィットスキー)/東輝(日本空調サービス)のオーダーで臨みました。
●2月22日 個人 ラージヒルK120(Jury Distance 132m) [リザルト]
ナイトゲームで行われたこの試合。 天候は快晴、気温は1.4〜-0.9℃、雪温は-0.2〜-0.9℃、風速は0.5〜2.3m/sと、比較的穏やかな条件下で競技が進みました。
19日から20日にかけて行われた公式練習と21日の予選までのジャンプを見ると、全選手中最も好調だったのはマッティ・ハウタマキ(FIN)でした。 また葛西紀明(土屋ホーム)も絶好調で、予選ではトップの成績で本戦に出場を決めていました。 その一方で気になったのは、これまで行われてきたワールドカップの各試合で強さが際立っていたオーストリア勢の不振。 特に今シーズンから頭角を現してきたクリスチャン・ナギラーや大きなシャンツェで良い成績を残してきたフロリアン・リーグルの飛距離が伸びず、先行きに不安を感じさせます。 対照的に世界選手権に入ってから調子を上げてきたフィンランドや日本とは、明らかに違う雰囲気が感じられました。
本戦は予選で良いジャンプを見せていた選手が順当に成績を伸ばしてきました。 1stラウンドはマッティ・ハウタマキ(FIN)が134.0mを飛んでトップ、2位はハウタマキと同じ飛距離で飛型点でわずかに及ばなかったアダム・マリシュ(POL)、3位は131.0mを飛んだ葛西紀明(土屋ホーム)でした。 ワールドカップの成績からの予想で大本命の一人と思われていたアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)は11位で優勝争いから外れ、個人総合成績3位のヤンネ・アホネン(FIN)はかろうじてK点に届く程度のジャンプで転倒してしまい、2ndラウンドにも進めませんでした。 葛西以外の日本勢は、宮平秀治(ミズノ)が5位、船木和喜(フィットスキー)は13位で2ndラウンドに進みましたが、東輝(日本空調サービス)は38位で2ndラウンドに進むことができませんでした。
2ndラウンドも全般的に番狂わせのない展開。 安定感に欠ける選手は2本のジャンプを揃えられずに順位を落とし、失敗をしない選手は実力通りの飛距離で成績を伸ばす、というような印象を受けました。 特に上位選手の130mを越えるジャンプの応酬は素晴らしいものでした。 優勝したのは2ndラウンドに136.0mの最長不倒距離を記録したアダム・マリシュ(POL)。 1stラウンドでトップだったマッティ・ハウタマキ(FIN)は133.5mとマリシュの飛距離に及ばず2位に順位を下げました。 3位は2ndラウンドも130.5mの安定したジャンプを見せた葛西紀明(土屋ホーム)でした。 葛西はオリンピックと世界選手権を通じて初めての個人のメダルです。 優勝候補の一人で1stラウンドで4位につけていた、ワールドカップ個人総合成績1位のスヴェン・ハンナヴァルト(GER)は7位に終わりました。
日本勢は葛西の銅メダルの他に、宮平が2ndラウンドも130.5mと飛距離を伸ばして5位に入賞しました。 船木は力んだのか2ndラウンドでK点を越えられず、16位に順位を下げてしまいました。 しかし、前回2001年の世界選手権では入賞者を出すことすらできなかったラージヒル個人戦で今回は銅メダルと5位入賞ですから、これは非常に立派な成績です。 世界選手権のメダルは1999年のラムサウ大会以来となります。
ヴァル・ディ・フィエンメといえば、オールドファンが真っ先に思い出すのは1991年の世界選手権でしょう。 日本チームが低迷を極めた1988年のカルガリー冬季五輪以降、国際大会で優勝はおろか上位入賞すらできない状態が続いていた時期でしたが、東輝の兄である東和広(日本空調サービス)が90m級で10位、70m級で5位に入賞し(70m級では1stラウンドを終えた時点でトップだった!)、日本復活のきっかけを作った大会でした。 また今回銅メダルを取った葛西は、1993年に当地で開かれたワールドカップで優勝しており、縁起の良いシャンツェだと言っても良いでしょう。
シャンツェのプロフィールはインラン(助走路)の傾斜が多少緩やかである以外は割とオーソドックスで、どちらかというとパワージャンプが信条の選手が飛びやすい台だと思われます。 一つだけ不安となる要素は夜間照明が暗いといわれる点で、これは設備が整えられた1990年代初頭から指摘されていたものでした。 今回の大会でもその点は完璧に解消されたわけではないようで、7位に終わったハンナヴァルトはドイツのメディアのインタビューで「暗いから飛びにくい」というコメントを残しています。 ナイーブな性格の彼らしいコメントです。
競技はこの後23日(日本時間24日未明)にラージヒル団体戦を行います。 個人戦の結果だけを見ると4名の選手のポイント合計で圧倒的に強いのはフィンランドですが、日本もそれに続くポイントを上げており、「3人目と4人目」の選手がどれだけポイントを稼げるかが勝負の分かれ目となりそうです。 オーストリアが調子を落とし、ノルウェーも今ひとつ大きなジャンプが出ていない状況を考えると、団体戦は個人戦以上の混戦が予想されます。 日本チームにとっては、今後の成績の浮沈を占う上でも非常に重要な試合となるはず。 果敢に攻めるジャンプに期待しましょう。
世界選手権を目前に控えたこの時期は国内の公式戦でも重要な位置づけの試合が開かれます。 伝統あるNHK杯と全日本選手権です。 それぞれの試合の結果を簡単にまとめてみます。
●2月11日 第44回NHK杯ジャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒルK120
この日の試合展開は、世界選手権代表の東輝(日本空調サービス)と船木和喜(フィットスキー)が全体を引っ張る形になりました。 優勝したのは船木。 133.5mと131.5mを飛んで実力の差を見せつけました。 2位はTVh杯ラージヒルを制して現在絶好調の一戸剛(アインズ)、3位は原田雅彦(雪印乳業)でした。 東は1stラウンドで132.0mを飛んでトップに立っていましたが、2ndラウンドのスタート直前にスキーのビンディングが壊れるアクシデントで途中棄権し、24位に終わりました。 良いジャンプが続いていただけに、本人も無念でしょう。
●2月15日 第80回全日本スキー選手権大会(ノーマルヒル)兼第8回NBS北野杯白馬ジャンプ大会
白馬ジャンプ競技場 ノーマルヒルK90
今年の全日本選手権は白馬での開催です。 世界選手権の代表となっている宮平、葛西、船木、東、高野の5名は出場しませんでした。 まずはNBS北野杯を兼ねたノーマルヒル。 優勝は地元長野出身の山田大起(北野建設)でした。 94.5mと95.5mを飛び、全日本選手権初勝利です。 2位は山田に惜しくも0.5ポイント届かなかった原田雅彦(雪印乳業)、3位は1stラウンドでトップに立っていた岡部孝信(雪印乳業)でした。
女子の部は第一人者、山田いずみ(ロイズ)が84.0mと85.0mの安定したジャンプで優勝しました。 2位は金井理恵子(大東文化大)、3位は葛西賀子(北海道工業大)でした。
●2月16日 第80回全日本スキー選手権大会(ラージヒル)兼第8回SBC杯白馬ジャンプ大会
白馬ジャンプ競技場 ラージヒルK120
SBC杯と兼ねて行われたラージヒル。 優勝したのは岡部孝信(雪印乳業)でした。 116.5mと112.0mと、2本のジャンプともK点には届きませんでしたが、安定感で他の選手を圧倒しました。 2位は1stラウンドでこの日の最長不倒距離120.5mをマークした一戸剛(アインズ)、3位は伊東大貴(下川商業高)でした。 ノーマルヒルを制した山田大起(北野建設)は6位に終わりました。
女子の部は前日のノーマルヒルで2位だった金井理恵子(大東文化大)が優勝、山田いずみ(ロイズ)は2位でした。 3位には前日に引き続き葛西賀子(北海道工業大)が入賞しています。
ワールドカップの長期遠征が当たり前のことになってから、全日本選手権にはそのシーズンで一番強い選手達がエントリーすることが難しくなってきています。 「全日本」という名に多少の疑問を抱かざるを得ない状況ではありますが、実際に出場する選手達にとっては是非とも手にしたいタイトルでしょう。 今年は一言で言えば世界選手権の代表に漏れた選手達の争い。 スピードの設定もラージヒルはワールドカップ並みの厳しい条件で、その選手の真の実力が問われる試合だったと思われます。 誰が誰に勝ったかというより、その条件でどんなジャンプができたか、どの程度飛距離が伸ばせたのかが、分析のポイントとしては重要でしょう。
ノーマルヒルで優勝した山田大起(北野建設)は、シーズン開幕当初のワールドカップ遠征で結果が出せず、これまでずっと苦しみ続けてきた選手です。 怪我が続き練習も満足にできない時もあったようですが、ノーマルの優勝、ラージの6位という結果はなかなかのもの。 この調子で自分のジャンプを取り戻してほしいものです。
またこの数試合は一戸剛(アインズ)の健闘が光ります。 TVh杯の優勝で勢いがついたのか、特にラージヒルで大きなジャンプが続いています。 現在は26歳。 昨シーズンまではノルディック複合の選手でしたが、今シーズンからは純ジャンプに転向、その素質が早速開花し始めたというところでしょう。 ジャンプ選手としては珍しい滋賀県の出身で、北海道と東北・甲信越出身の選手達がほとんどの世界では異色の存在に見えます。 ジャンプのスタイルは主にオーストリアの選手を熱心に研究しているとのこと。 柔らかいサッツ、頭や上半身を決しておこしすぎない姿勢、スムーズな重心移動と、飛距離を伸ばす要素はたくさんある選手です。 今後の活躍に期待したいと思います。
女子の部は今年から全日本選手権に設けられました。 エントリーした選手は全6名。 ノーマルヒル、ラージヒルとも、実力の差がそのまま結果に表れたと見ていいと思います。 ただ、ラージヒルでの最長不倒距離は優勝した金井の86.5mで、ノーマルヒルで彼女自身が記録した最長不倒距離88.0mに届いていません。 他の選手もラージヒルはたいへん苦労していたようで、女子の部としてラージヒルを飛ばせるのはまだちょっと厳しい、という状況なのかもしれません。 今後少しずつでも選手層が厚くなり、各選手の実力が磨かれていくことを願いましょう。
個人第22戦と第23戦はドイツのヴィリンゲンで行われました。 K120のラージヒル、ジュリーディスタンスは143m。 現在ワールドカップで定期的に試合が開催されるラージヒルの中では最も大きなシャンツェです。 前週はバートミッテルンドルフのフライングヒル、今週はヴィリンゲンの特大ラージヒルと、大きなシャンツェでの試合が続きます。
●2月8日 個人第22戦 ラージヒルK120(Jury Distance 143m) [リザルト]
天候曇り、気温2.6℃、雪温-0.1℃、最大風速は1.4m/sと、比較的穏やかな気象条件の下で行われた一日目。 優勝は予選を棄権して本番一発勝負に出たスヴェン・ハンナヴァルト(GER)でした。 1stラウンドは142.0m、2ndラウンドは147.0m、飛型点はどちらのジャンプも60点満点と完璧なジャンプを2本揃えての圧勝です。 2位は予選でトップだったアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)、3位はフロリアン・リーグル(AUT)でした。
日本勢は公式練習で140mを越える大きなジャンプを見せていた宮平秀治(ミズノ)が本戦でも健闘し、131.5mと135.5mを飛んで6位に入賞しました。 また同じく公式練習で大ジャンプを見せていた葛西紀明(土屋ホーム)は12位とそこそこの結果、高野鉄平(土屋ホーム)は42位で残念ながら2ndラウンドに進むことができませんでした。
●2月9日 個人第23戦 ラージヒルK120(Jury Distance 143m) [リザルト]
この日の展開は荒れ模様。 天候は曇り、気温0.6℃、雪温-0.1℃、風は0.6m/s〜3.5m/sと、公式記録だけ見ても風の条件が非常に悪かったことが伺えます。 結局競技は1stラウンド終了後に中断され、1stラウンドの結果だけで最終成績が確定しました。 優勝は147.0mを飛んだ葛西紀明(土屋ホーム)、2位は142.0mの宮平秀治(ミズノ)と、日本勢のワンツーフィニッシュです。 3位はこのところ非常に好調なロベルト・クラニェツ(SLO)でした。 また高野鉄平(土屋ホーム)も130.0mで9位に入る大健闘。 彼自身のワールドカップ最高順位です。
ヴィリンゲン大会を終えて個人総合成績は、1位が1001ポイントのスヴェン・ハンナヴァルト(GER)、2位は990ポイントのアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)、3位は964ポイントのヤンネ・アホネン(FIN)という順位になっています。 また日本人選手は、宮平秀治(ミズノ)が461ポイントで12位、葛西紀明(土屋ホーム)が412ポイントで14位に順位を上げ、この両名は予選免除のシード権を獲得しました。 それ以外では、船木和喜(フィットスキー)が34位、高野鉄平(土屋ホーム)が44位、東輝(日本空調サービス)が45位です。
ワールドカップ第5ピリオドはこの大会で終了。 ここでワールドカップは3月まで一時中断し、次はいよいよイタリアのヴァル・ディ・フィエンメでノルディックスキー世界選手権の開幕です。 スキージャンプの日程は以下の通り。
2003.02.22 ラージヒル個人 K120(ナイトゲーム)
2003.02.23 ラージヒル団体 K120(ナイトゲーム)
2003.02.28 ノーマルヒル個人 K90(ナイトゲーム)
世界選手権は2年に一度行われます。 各国の出場選手枠はオリンピックと同じ4名。 但し前大会でその種目を制した選手にはディフェンディングチャンピオンとしてのシード権が与えられ、そのチームの出場枠に関係なく競技にエントリーすることができます。 2001年にフィンランドのラハティで行われた前回の世界選手権では、ラージヒル個人でマルティン・シュミット(GER)、ノーマルヒル個人でアダム・マリシュ(POL)、ラージヒル団体ではドイツが、それぞれ優勝しています。 (前回の世界選手権の結果は[こちら])
今シーズンのこれまでの流れを見ると、個人戦ではワールドカップ個人総合成績の上位選手が実力通りの力を発揮しそうですし、団体戦ではチーム力がダントツのオーストリアが有利かと思われます。 但し選手達の力が拮抗しているので、個人戦も団体戦も上位争いはかなり厳しいものとなるはずです。 日本チームとしては個人戦で何としても6位入賞以上を、団体戦では昨年のソルトレイクシティ冬季五輪の5位以上の成績を目指して臨まねばなりません。 団体戦ではドイツやノルウェー、スロヴェニアが日本の強敵となるでしょう。
世界選手権の日本チーム代表選手は次の5名で確定しています。
宮平秀治(ミズノ)
葛西紀明(土屋ホーム)
船木和喜(フィットスキー)
東輝(日本空調サービス)
高野鉄平(土屋ホーム)
1月下旬のワールドカップ札幌大会終了時でワールドカップポイントを獲得している選手が、順当に選考された結果です。 5名のうち1名は補欠という扱いですが、誰が補欠になるのかはその時の好不調の様子を考慮した上で当地で決定されるでしょう。 宮平、葛西、高野は現在日本チームの中で最も調子が良いと見込まれてワールドカップ遠征に選ばれているはずですし、国内に残って調整を続ける船木や東も冬季アジア大会では悪くないジャンプを続けていました。 現在の日本勢と世界のトップレベルの選手達とではそれなりの実力の開きがあるのは否めませんが、オリンピックよりも勝つのが難しいと言われる世界選手権ですから、どんな結果になるのか予想はできません。 メダルは無理と諦めたりせず、大舞台にふさわしい”果敢に攻めるジャンプ”を見せてほしいところです。
([ワールドカップ全日程])
青森の大鰐町で開かれた冬季アジア大会。 今大会からスキージャンプが正式種目に採用されました。 日本チームは船木和喜(フィットスキー)、東輝(日本空調サービス)、柴田康宏(東京美装)、渡瀬雄太(雪印乳業)の4名のオーダーで臨みました。 当初出場が予定されていた原田雅彦(雪印乳業)は大会直前に義母が逝去したため欠場、渡瀬は原田の代わりとしての出場でした。
●2月4日 ノーマルヒル個人 滝ノ沢シャンツェ K90
12名の選手がエントリーして行われたノーマルヒル個人、優勝したのは船木和喜(フィットスキー)でした。 1stラウンドで95.0m、2ndラウンドでは89.5mと、両ラウンドとも全体のトップのポイントで圧勝しました。 貫禄勝ちと言っても良いでしょう。 2位は90.5mと87.5mを飛んだ東輝(日本空調サービス)、3位はチェ・フンチョル(KOR)でした。 柴田康宏(東京美装)は7位に終わり、渡瀬雄太(雪印乳業)はこの試合にエントリーしませんでした。
●2月6日 ノーマルヒル団体 滝ノ沢シャンツェ K90
日本、韓国、カザフスタンの3カ国がエントリーして行われた団体戦です。 優勝は韓国でした。 4名の選手のうち3名が10代の若いチームですが、イタリアで行われたユニバーシアードの団体戦も制するなど、めきめきと力を上げてきています。 この優勝もまさしく実力でもぎ取ったもの。見事な金メダルです。 日本は船木が2ndラウンドでバッケンレコードとなる98.0mを飛んで追い上げましたが韓国には届かず、結局2位に終わりました。 3位はカザフスタンでした。
個人戦は実力と経験の差を考えれば順当な結果でした。 飛距離の差がつきにくいノーマルヒルだったことを差し引いても、船木の優勝と東の2位は当然の結果。 むしろ3位に入ったチェの健闘が光ります。
4人全員でいかに失敗の少ないジャンプを揃えられるかが課題となる団体戦では、韓国のチーム力が頭抜けていました。 競技人口は日本よりも圧倒的に少ない国ですが、ドイツからヨハン・ダンネベルク氏(1976年インスブルック冬季五輪70m級銀メダリスト)をヘッドコーチに招聘して英才教育を行ってきた成果が少しずつ現れてきているようです。 この調子で強化が進めば、世界の強豪がひしめくワールドカップで韓国人選手が優勝するのも時間の問題でしょう。
個人戦に引き続き金メダルが期待された日本チームには、代表選手の選考に問題がありました。 エントリーした4人の中で一線級の実力を持つと言えるのは船木と東だけ。 今シーズン不調続きの渡瀬と国際大会の経験が乏しい柴田のジャンプでは、成長著しい韓国チームの勢いを止めることはできませんでした。 メンバーに選ばれなかった他の選手の中には、現時点で渡瀬や柴田よりも調子の良い選手や、ワールドカップの経験が豊富な選手もいます。 ワールドカップ遠征枠に2名の余裕を残し、さらには海外のコンチネンタルカップへの選手派遣も行っていない現状を考えると、アジア大会で良い結果を出すためのベストメンバーとして今回の代表選考は明らかに失敗だったと言えるでしょう。 SAJ(全日本スキー連盟)他、競技を運営し選手達を指導していく立場の所謂「お偉いさん」の慢心や怠慢が非難されても仕方ありません。
今回の結果は「近い将来強大なライバルとなるであろう韓国に自信をつけさせた」だけでは済まされない、日本にとっては大変憂慮すべき失態でした。 選手達だけでなく指導者、管理者とも長野冬季五輪の「過去の栄光」は捨てて、一刻も早く世界のトップを目指して真摯な態度で突き進んでほしいものです。
ワールドカップ第5ピリオドへの遠征メンバーを宮平秀治(ミズノ)・葛西紀明(土屋ホーム)・高野鉄平(土屋ホーム)の3名に絞ったSAJ(全日本スキー連盟)。 国内では青森で行われる冬季アジア大会や2月下旬のノルディックスキー世界選手権に向けての調整が行われています。 公式戦はこの時期おなじみの大倉山2連戦が行われました。
●2月1日 札幌スキー連盟会長杯ジャンプ大会兼第14回TVh杯ジャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒルK120
断続的に降り続く雪と目まぐるしく変化する風向きに悩まされ、1stラウンドの結果のみで順位が確定しました。 優勝は一戸剛(アインズ)。 完璧なサッツで飛び出してから60m以降の向かい風に乗り、ただ一人K点を超える135.5mのジャンプで圧勝しました。 2位は岡部孝信(雪印乳業)、3位は吉岡和也(デサント)でした。
●2月2日 札幌スキー連盟会長杯ジャンプ大会兼第15回UHB杯ジャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒルK120
この日の優勝は船木和喜(フィットスキー)。 飛距離は124.5mと120.5m。ただ一人、2本ともK点を超えるジャンプを見せて、今季初勝利です。 国内大会とはいえ、最近は久しく表彰台の一番上に立っていなかった船木ですから、喜びも格別のものがあるでしょう。 2位は前日に引き続き安定したジャンプを見せた岡部孝信(雪印乳業)、3位は金子祐介(東京美装)でした。
オーストリアのバートミッテルンドルフで行われた個人第20戦及び21戦は、K185、ジュリーディスタンス203mのフライングヒル。 サッツ(踏切動作)時の速度は約100km/h、速度も飛距離もラージヒルとは比べものにならないくらい大きいシャンツェです。
●2月1日 個人第20戦 フライングヒルK185(Jury Distance 203m) [リザルト]
一日目の優勝はフロリアン・リーグル(AUT)。 1stラウンドで208.5mの最長不倒距離をマークし、2ndラウンドでも194.5mまで飛距離を伸ばして逃げ切りました。 リーグルはこれがワールドカップ初優勝です。 2位はスヴェン・ハンナヴァルト(GER)、3位はアダム・マリシュ(POL)でした。
日本勢はトライアルラウンドで葛西紀明(土屋ホーム)が全体のトップとなる205.0mを飛んで上位入賞を期待されましたが、本戦では飛距離が伸びず10位に終わりました。 宮平秀治(ミズノ)は11位、高野鉄平(土屋ホーム)は予選を通過することができませんでした。
●2月2日 個人第21戦 フライングヒルK185(Jury Distance 203m) [リザルト]
雪が降りしきる中行われた二日目、スヴェン・ハンナヴァルト(GER)が安定感を発揮し、195.0mと196.5mを飛んで優勝しました。 2位は前日の優勝者フロリアン・リーグル(AUT)、3位はマッティ・ハウタマキ(FIN)でした。
日本勢は前日に引き続き葛西が好調で、予選では全体の2位となる207.0mを飛んでいましたが、本戦ではまたもや辛酸をなめて10位に終わりました。 宮平秀治(ミズノ)は40位で2ndラウンドに進めず、高野鉄平(土屋ホーム)は予選を通過することができませんでした。
ワールドカップで使用されるフライングヒルは全世界でたったの5カ所。 そのうちの一つ、このバートミッテルンドルフのクルムシャンツェは歴史も深く、大会運営もスムーズで人気があります。 日本国内のシャンツェでは決して味わえないスケールの大きなジャンプ(というか、フライング)はヨーロッパでも多くの観客を集めるスポーツイベントで、通常のラージヒルとはまた違った選手達の駆け引きが楽しめます。 今年も残念ながら国内でのTV放送はありませんでしたが、録画中継でもいいから是非放映してほしいところです。
フライングヒルは選手達にとっては非常に過酷な競技です。 ラージヒルと比べて速度は約10km/h速くなり、その分、気象条件や風向きなどがシビアにジャンプに響いてきます。 1986年のこの大会で秋元正博(当時 地崎工業)が転倒して重傷を負ったことも忘れてはならない事故でしょう。 今年の大会は雪と微妙な風向きの変化に悩まされた部分があったようですが、今後も選手達の安全を第一に大会を運営してほしいものです。
今シーズンのワールドカップで行われるフライングヒルは、このバートミッテルンドルフ大会(個人2戦)と最終戦のプラニツァ大会(個人2戦、団体1戦)だけ。 来週からはまたラージヒルの試合が続きます。 フライングヒルとラージヒルではジャンプの技術や感覚も変わりますから、選手達にとっては「フライングヒルに慣れすぎない」ことも重要かもしれません。 次のワールドカップはドイツのヴィリンゲン大会。 K120、ジュリーディスタンス143mのラージヒルで個人戦が2戦予定されています。([ワールドカップ全日程])
1月25日から26日にかけては、お馴染み札幌大会。 大倉山ジャンプ競技場のラージヒル(K120/Jury Distace 138m)を使用して個人戦が2戦行われました。 白馬大会で今シーズン初めての表彰台に立った宮平秀治(ミズノ)がどこまで成績を伸ばすことができるのか、多くの観客の期待が集まる大会となりました。
●1月25日 個人第18戦 ラージヒルK120(Jury Distance 138m) [リザルト]
この日の試合はナイトゲームで行われました。 雪と風が強く、当初予定されていた予選はキャンセルされて、エントリーした60名の選手全員が本戦に出場することができました。
優勝はロアー・ヨケルソイ(NOR)。 1stラウンドにこの日の最長不倒距離となる137.5mを飛び、2ndラウンドも128.5mと大きなジャンプを揃えて逃げ切りました。 ヨケルソイはワールドカップ初優勝です。 2位は白馬大会の優勝者、クリスチャン・ナギラー(AUT)、3位はビョルン・アイナール・ルメレン(NOR)でした。 ノルウェー勢が表彰台に2人上がるのは今シーズン初めてのことです。
日本勢は宮平秀治(ミズノ)が2ndラウンドに133.5mを飛んで追い上げましたが、結局5位に終わりました。 葛西紀明(土屋ホーム)は10位、高野鉄平(土屋ホーム)は16位、東輝(日本空調サービス)は18位、船木和喜(フィットスキー)は30位に終わりました。 その他の日本人選手は2ndラウンドに進むことができませんでした。
●1月26日 個人第19戦 ラージヒルK120(Jury Distance 138m) [リザルト]
前日に引き続き、この日の札幌も雪。 気温雪温ともに約-4℃ほど。 風は弱く、K点付近にわずかな向かい風が吹くかどうかで飛距離は20m以上変わってきてしまうような、厳しいコンディションでした。
優勝したのはシグール・ペテルセン(NOR)。 1stラウンドで129.0m、2ndラウンドでは最長不倒距離の131.5mを飛んで、今季2勝目です。 2位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)、3位はフロリアン・リーグル(AUT)でした。 この試合でもノルウェーとオーストリアの強さが際立ちました。
日本勢は宮平秀治(ミズノ)が2ndラウンドで119.5mを飛んで順位を上げましたが、入賞には及ばず、10位に終わりました。 以下、東輝(日本空調サービス)が19位、葛西紀明(土屋ホーム)は22位、高野鉄平(土屋ホーム)は25位でした。 その他の日本人選手は2ndラウンドに進むことができませんでした。 どの選手も飛距離が伸びずに苦労していたようです。
白馬と札幌を転戦した日本シリーズもこれで終了です。 個人総合成績はヤンネ・アホネン(FIN)がトップ、2位がアダム・マリシュ(POL)、3位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)です。 日本勢は宮平秀治(ミズノ)が15位、葛西紀明(土屋ホーム)が18位、船木和喜(フィットスキー)が29位、東輝(日本空調サービス)が42位、高野鉄平(土屋ホーム)が50位となっています。 宮平はこれでシード権を再び獲得。 次の試合では予選が免除されます。 また東と高野がポイントを獲得したのも嬉しいことです。
次のワールドカップはフライングヒル。 2月1日〜2日にかけて、オーストリアのバートミッテルンドルフで個人戦が行われます。([ワールドカップ全日程])
ワールドカップはいよいよ日本を転戦するシリーズとなりました。 緒戦は個人第17戦、白馬大会。 ラージヒルK120、ジュリーディスタンス131mのお馴染みのシャンツェです。 私も冬の白馬大会としては2年ぶりに現地へ観戦しに行ってきました。
●1月23日 個人第17戦 ラージヒルK120(Jury Distance 131m) [リザルト] [フォトレポート]
この日の天候は朝から雪。 日中に激しく降り続いた雪のためにランディングバーンの整備が追いつかず、17時から予定されていたトライアルラウンドをキャンセルして本番一発勝負となりました。 予選は前日に行われましたが、エントリーした選手が本戦出場枠と同じ50名ちょうどだったために、全員が本戦に出場することになりました。
優勝したのはオーストリアの若手成長株、クリスチャン・ナギラー(AUT)。 1stラウンドではK点付近の向かい風を上手に捉えて飛距離を伸ばし、この日の最長不倒距離132.5mをマーク。 2ndラウンドでもK点を越える122.0mを飛んで、見事ワールドカップ初優勝を決めました。 2位は白馬に入ってから調子を上げてきたマッティ・ハウタマキ(FIN)、3位は宮平秀治(ミズノ)でした。 宮平は前日のトレーニングから好調で、この日のジャンプも安定感抜群。 2ndラウンドでは、60m付近は左側からの横風、K点付近は全くの無風の状態という悪い条件をものともせず、このラウンドでトップタイとなる123.5mまで飛距離を伸ばしました。 3位入賞は今シーズンの日本人選手最高の成績で、また宮平自身は4シーズンぶりの表彰台となります。
その他の日本人選手は、葛西紀明(土屋ホーム)が9位、東輝(日本空調サービス)が12位、船木和喜(フィットスキー)が30位でした。 金子祐介(東京美装)は37位、上野真吾(NTT東日本北海道)は39位で、この両名は2ndラウンドに進むことができませんでした。
さて、実際に白馬の観客席から競技を見ていた感想を少し。
先にも触れたように、この日は雪が降り続いていたのでランディングバーンの整備に相当手間取ったらしく、残念ながらトライアルラウンドがキャンセルされてしまいました。 白馬のシャンツェでは夕方以降は風が止む傾向があるのですが、競技時間中の風の傾向は、カンテ(踏切台)付近と60m付近は左側からの横風もしくは追い風、K点付近はほぼ無風という条件が続きました。 その結果、完成度の高いサッツ(踏切動作)をして60mまでの横風を上手く乗りきれるかどうか、横風をしのいだ上で更にK点付近の向かい風が当たるかどうかが、飛距離に大きく影響したように思います。 1stラウンドと2ndラウンドでは2ndラウンドの方が風向きの変化が激しく、観客席で感じる風は弱いものの、選手達にとっては非常にシビアな条件だったのでしょう。
優勝したナギラーは1stラウンドで全選手中もっとも強いK点付近の向かい風をもらい、見事ジュリーディスタンスを越えました。 2ndラウンドのジャンプも立派でしたが、1stラウンドでの大きな”貯金”が最後までものを言う結果となったわけです。 このようなある種の”幸運”を引き寄せられるのも底力があってこそのこと。 ジャンプの内容やその後の札幌大会の結果を見ても、彼のこの優勝は決してフロックではないと断言しても良いでしょう。
その他の選手ではやはり宮平に注目しないわけにはいきません。 前日のトレーニングと当日の本番、合計4本のジャンプは全てK点を越えており、安定感では全選手中最高でした。 惜しむらくはナギラーに当たったK点付近の向かい風が、宮平の時は吹かなかったことが無念でなりません。 2本のジャンプとも天候や風の条件はほぼ同じでさほど良くありませんでしたが、完全に無風に近い状態でK点を越えた2ndラウンドのジャンプは高く評価したいところです。 ワールドカップ総合成績の上位を争うために必要なジャンプは充分できているといって良いでしょう。
白馬大会を終えたら、選手達はすぐに札幌に移動して大倉山でのラージヒル2連戦を戦います。 札幌大会の一日目はナイトゲームで行われます。 ([ワールドカップ全日程])
ワールドカップ個人第15戦と16戦は1月18日から19日にかけてポーランドのザコパネで行われました。 何度か改修工事が行われたシャンツェですが、建造はかなり古い台なのでそれなりに癖もあるようです。 両日とも比較的落ち着いた天候の下、競技が行われました。
●1月18日 個人第15戦 ラージヒルK120(Jury Distance 134m) [リザルト]
ナイトゲームで行われた一日目、優勝したのはスヴェン・ハンナヴァルト(GER)でした。 1stラウンドで140.0mの大ジャンプでトップに立ち、2ndラウンドでも134.0mと上手くまとめて逃げ切りました。 2位はフロリアン・リーグル(AUT)、3位はアダム・マリシュ(POL)でした。
●1月19日 個人第16戦 ラージヒルK120(Jury Distance 134m) [リザルト]
二日目は昼間に競技が行われました。 優勝は前日に引き続きスヴェン・ハンナヴァルト(GER)。 128.5mと130.5mを飛び、各ラウンドともトップのポイントでの完璧な勝利です。 2位はフロリアン・リーグル(AUT)、3位はアダム・マリシュ(POL)と、少々台に上がった3名の顔ぶれが二日間とも全く同じでした。 地元開催で活躍が期待されたマリシュは結局優勝することができませんでした。
ハンナヴァルトの2連勝で終わったザコパネ大会。 シーズン開幕当初は予選を通過できないほど調子が悪かったとは思えないくらい、今はジャンプが安定しています。 総合成績でもトップのヤンネ・アホネン(FIN)をだいぶ追い上げてきました。 混戦模様の上位争いも少しずつ雰囲気が変わってきているのかもしれません。
次はいよいよ日本でのワールドカップです。 23日に白馬、25日と26日に札幌で、それぞれラージヒル個人戦が行われます。 23日の白馬大会は2年ぶりに現地へ観戦しに行ってきます。 雪が降りやすいこの時期、当日は良い天気に恵まれることを祈りましょう。([ワールドカップ全日程])
1月に入って国内のスキージャンプもシーズン本番。 TV中継がある大会も多いため、ニュースなどで目にする機会も増えます。 ここでは1月中旬までの大きな大会をまとめてみます。
●1月5日 第44回雪印杯全日本ジャンプ大会
宮ノ森ジャンプ競技場 ノーマルヒルK90
年明け最初の大会として定着している雪印杯。 TVの放送も毎年ありますので、正月休みの合間に放送を見た人も多いことでしょう。
今年の雪印杯、成年の部の優勝は上野真吾(NTT東日本北海道)でした。 1stラウンドで93.0mを飛んで6位につけると、2ndラウンドでも90.5mと安定したジャンプを見せ、雪印杯初優勝です。 2位は岡村創太(雪印乳業)、3位は金子祐介(東京美装)でした。
少年の部は伊東大貴(下川商業高)が、ジュニアの部は山本健太(余市西中)が、女子の部は葛西賀子(北海道工業大)がそれぞれ優勝しました。
●1月10日 第31回札幌オリンピック記念国際スキージャンプ競技大会
兼FISコンチネンタルカップジャンプ大会2003
宮ノ森ジャンプ競技場 ノーマルヒルK90
コンチネンタルカップを兼ねた3連戦の緒戦となる札幌五輪記念大会。 優勝したのは93.5mと94.0mを飛んだモルテン・ソレム(NOR)でした。 2位はフェルディナント・バダー(GER)、3位は上野真吾(NTT東日本北海道)でした。 ワールドカップ遠征から一時帰国した選手は、宮平秀治(ミズノ)、葛西紀明(土屋ホーム)、船木和喜(フィットスキー)の3名が体調不良などで欠場、その他の選手も精彩を欠いたジャンプが続き、良い成績をあげることはできませんでした。
●1月11日 第30回HTBカップ国際スキージャンプ競技大会
兼FISコンチネンタルカップジャンプ大会2003
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒルK120
今シーズン最初の大倉山での試合です。 ワールドカップ遠征から一時帰国している選手達も全員出場し、見応えのある内容となりました。 優勝したのは宮平秀治(ミズノ)。 1stラウンドで138.0m、2ndラウンドでは139.0mとただ一人だけ130mを越え、他の選手を寄せ付けない圧勝でした。 2位はペッカ・サルミネン(FIN)、3位は東輝(日本空調サービス)でした。
●1月12日 第42回STVカップ国際スキージャンプ競技大会
兼FISコンチネンタルカップジャンプ大会2003
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒルK120
コンチネンタルカップ3連戦の最終戦となるこの試合、宮平秀治(ミズノ)の強さが際立ちました。 1stラウンドではバッケンレコードにあと1.5mと迫る139.5mを飛び、2ndラウンドでも129.0mまで飛距離を伸ばして、前日に引き続き連勝しました。 2位はペッカ・サルミネン(FIN)、3位は葛西紀明(土屋ホーム)でした。
●1月13日 第45回HBCカップジャンプ競技会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒルK120
ほとんど風がない厳しい条件で行われたこの試合。 優勝したのはやはり宮平秀治(ミズノ)でした。 1stラウンドでは117.0m、スタートゲートが上げられた2ndラウンドでは139.5mを飛んで、2位に60ポイント以上の差をつけました。 2位は葛西紀明(土屋ホーム)、3位は金子祐介(東京美装)でした。
11日からはワールドカップ遠征組も全員揃って競技が行われましたが、宮平一人の独擅場となりました。 特に13日のHBC杯の2ndラウンドは圧巻。 無駄な動きのないほぼ完璧なジャンプは、国内残留組はもとよりワールドカップ遠征組で良い成績があげられていない選手達にも相当な刺激となるはずです。 宮平の3連勝がこのままワールドカップでの良い成績につながるよう、祈りたいものです。
ジャンプ週間が終わってワールドカップは第4ピリオドに入ります。 チェコ、ポーランドと渡り、1月下旬には日本で3戦を行う節です。 まずはチェコのリベレツ。 チェコでのワールドカップ開催地としてはハラホフと並んで有名な土地です。 暖冬による雪不足に悩まされ続けてきた序盤戦でしたが、チェコでは冬らしい気候で競技が行われました。 日本勢は遠征メンバー全員が調整のために一時帰国しており、この大会には参加していません。
●1月11日 個人第13戦 ラージヒルK120(Jury Distance 132m) [リザルト]
この日の天候は曇り。 気温は約-7℃、雪温は約-10℃まで下がりました。 FISの公式記録によると風速が0.4m/s〜3.3m/sで、選手によっては風の条件の差が大きく異なった大会だったようです。
優勝はオーストリアの若手トマス・モルゲンシュテルン(AUT)。 1stラウンドで最長の131.0mを飛び、2ndラウンドでも129.0mと上手にまとめてワールドカップ初優勝を決めました。 わずか16歳、ワールドカップ史上最年少優勝記録かもしれません、 2位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)、3位はヤクブ・ヤンダ(CZE)でした。 この試合でもオーストリア勢は予選から全体的に好調で、モルゲンシュテルンの優勝でより一層勢いが尽きそうな雰囲気です。 また3位には大健闘した地元チェコのヤンダが入り、大会を盛り上げました。
●1月12日 個人第14戦 ラージヒルK120(Jury Distance 132m)
悪天候のためか競技は中止となりました。 代替開催の予定は今のところ無いようです。
リベレツ大会を終えて総合成績の順位は、1位がヤンネ・アホネン(FIN)、2位はマルティン・ヘルヴァルト(AUT)、3位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)となっています。 日本勢は参加していないのでポイント変動はありませんが、優勝したモルゲンシュテルンがポイントを上げて15位に入ったため、宮平秀治(ミズノ)が総合16位に落ちてシード権を失いました。
次の大会はポーランドのザコパネ。 1月18日から19日にかけてラージヒル個人戦が2戦予定されています。([ワールドカップ全日程])
国内でのSAJ(全日本スキー連盟)A級公認大会は、毎年北海道名寄市のピヤシリシャンツェで開幕戦を行います。 今年はシャンツェの改修によりK点が86mから90mに延ばされ、より大きなジャンプが見られるようになりました。
●12月14日 第33回名寄ピヤシリジャンプ大会兼第40回北海道新聞社杯ジャンプ大会
名寄市ピヤシリシャンツェ ノーマルヒルK90
成年の部で優勝したのは東輝(日本空調サービス)。 1stラウンドで92.5m、2ndラウンドでも94.5mとそれぞれのラウンドでトップのポイントを獲得し貫禄の勝利です。 2位は今シーズン好調な金子祐介(東京美装)、3位は安崎直幹(NTT東日本北海道)でした。
少年の部は伊東大貴(下川商業高)が、女子の部では金井理恵子(大東文化大)がそれぞれ優勝しました。
●12月15日 第18回吉田杯ジャンプ大会
名寄市ピヤシリシャンツェ ノーマルヒルK90
成年の部の優勝は岡部孝信(雪印乳業)でした。 1stラウンドで最長不倒距離の95.0mを飛び、2ndラウンドでは80.0mと失速したものの、1stラウンドの貯金が効いて逃げ切りました。 2位は安崎直幹(NTT東日本北海道)、3位は東輝(日本空調サービス)でした。
少年の部は伊東大貴(下川商業高)が、女子の部では山田いずみ(ロイズ)がそれぞれ優勝しました。 少年の部の伊東はピヤシリ大会に続き2連勝です。
ジャンプ週間の最終戦となるビショフスホーフェン大会。 インラン(助走路)の最大傾斜が約27°と極端に緩やかな、癖の強いシャンツェです。 近年のジャンプ週間ではすっかり定着したノックアウト方式を採用せず、通常のワールドカップと同じ方式で競技が行われました。
●1月6日 個人第12戦 ラージヒルK120(Jury Distance 132m) [リザルト]
今シーズンのジャンプ週間はいずれの試合も気温と雪温が高い条件が続きましたが、この日は気温雪温ともに氷点下まで下がり、雪質も若干改善されたかもしれません。 優勝はノルウェーの伏兵ビョルン・アイナール・ルメレン(NOR)。 1stラウンドで126.5mを飛び8位につけると2ndラウンドでは130.5mまで飛距離を伸ばして逆転勝利を収めました。 2位はスヴェン・ハンナヴァルト(GER)とアンドレアス・コフラー(AUT)が同順位、4位にはヤンネ・アホネン(FIN)が入りました。 また5位にはシグード・ペテルセン(NOR)が入賞し、予選、本戦ともにノルウェー勢の活躍が目立ちました。
日本勢はやはりビショフスホーフェンのシャンツェに対して相当な苦手意識を持っているようです。 この日最高の成績だったのは現在最も安定している宮平秀治(ミズノ)の19位。 他の選手は2ndラウンドにも進むことができず、船木和喜(フィットスキー)が38位、葛西紀明(土屋ホーム)が39位でした。
ジャンプ週間の日程を全て終えて、総合優勝の座はヤンネ・アホネン(FIN)が獲得しました。 2位はスヴェン・ハンナヴァルト(GER)、3位はアダム・マリシュ(POL)でした。 日本勢は宮平が11位、葛西が23位、船木が33位でした。
ワールドカップは次の試合から第4ピリオド。 次週11日から12日にかけてはチェコのリベレツでラージヒル個人戦が2戦予定されています。 情報筋によると日本勢はリベレツ大会には出場せずに一旦帰国し、今月下旬に控える白馬大会及び札幌大会に向けての調整に入る模様です。 宮平が総合成績15位に入ってシード権を獲得したばかりのこの時期にワールドカップの戦線から離れるのは残念ですが、現在の日本チーム全体の低調さを考えると致し方ないのかもしれません。 白馬と札幌で少しでも良い成績をあげられるよう、調整に励んでいただきたいものです。([ワールドカップ全日程])
ジャンプ週間第3戦はオーストリアのインスブルック。 舞台となるベルクイーゼルのラージヒルは2001年に新しく作り直したので、今や最新のプロフィールを持ったシャンツェに生まれ変わりました。 相変わらずの雪不足と暖冬でこの試合でも条件は芳しくありませんでした。
●1月4日 個人第11戦 ラージヒルK120(Jury Distance 134m) [リザルト]
気温5.0℃、雪温0.0℃と、ジャンプ週間前半と同じような気象条件。 ランディングバーンは人工雪を無理矢理貼り付けて整備しているのでしょう。 微妙な風の変化がジャンプの内容に大きく影響するシビアな大会となったようです。
優勝はヤンネ・アホネン(FIN)。 1stラウンドでは122.0m、2ndラウンドでも115.5mと上手くまとめて逃げ切りました。 2位はフロリアン・リーグル(AUT)、3位はマルティン・ヘルヴァルト(AUT)でした。 昨年の覇者スヴェン・ハンナヴァルト(GER)は1stラウンドで失敗しましたが、2ndラウンドで117.5mを飛んで追い上げ、4位に食い込みました。
日本勢は宮平秀治(ミズノ)が11位、葛西紀明(土屋ホーム)が13位とまずまずの結果でしたが、船木和喜(フィットスキー)は公式練習や予選から調子が悪く、本戦でも49位に終わりました。
ジャンプ週間の総合成績は、ヤンネ・アホネンが740.6ポイントで頭一つ抜け出しトップ、2位はスヴェン・ハンナヴァルトで713.9ポイント、3位はマルティン・ヘルヴァルトで711.2ポイントとなっています。 日本勢では宮平が10位、葛西が14位、船木が33位です。 残り1戦で総合優勝の行方も見えてきたような雰囲気です。 最終戦は6日、オーストリアのビショフスホーフェンでラージヒル個人戦が行われます。([ワールドカップ全日程])
ジャンプ週間の第2戦となるガルミッシュ・パルテンキルヘン大会。 1936年の冬季オリンピックの舞台となるなど、非常に歴史の深いシャンツェです。 平地にタワー型のシャンツェが建設されているため、遠くから眺めたシルエットは実に独特。 北米大陸やアジアでは見ることのできないスタイルのシャンツェとして、存在感は格別のものがあります。
●1月1日 個人第10戦 ラージヒルK115(Jury Distance 121m) [リザルト]
全体的に雪不足の今年のヨーロッパ。 オーベルシュトドルフ大会に引き続きこのガルミッシュでも気温は高く、本戦では4.0〜6.0℃。 雪温は0.0℃で、おそらく雪質もそんなに良くなかったはずです。 またシャンツェの形状のためか風もあり、転倒者も出ています。
優勝はプリモジュ・ペッテルカ(SLO)。 1stラウンドで123.5mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドでも123.5mと手堅くまとめて逃げ切りました。 今季2勝目です。 2位はアンドレアス・ゴルトベルガー(AUT)とアダム・マリシュ(POL)が同順位でした。
日本勢では宮平秀治(ミズノ)が彼自身今シーズン最高順位の7位に入りました。 以下、葛西紀明(土屋ホーム)が22位、船木和喜(フィットスキー)と山田大起(北野建設)の両名は2ndラウンドに進めずそれぞれ37位と47位に終わりました。
ジャンプ週間の前半2戦を終えて、ジャンプ週間総合成績はトップがヤンネ・アホネン(FIN)、2位はプリモジュ・ペッテルカ(SLO)、3位はロアー・ヨケルソイ(NOR)となっています。 日本勢は宮平が9位、葛西が18位、船木が32位。 宮平が調子を上げて安定してきている反面、船木が良い結果を出せていないのが気になるところです。 ワールドカップの総合成績でも葛西がかろうじて15位でシード権を確保、宮平は16位に順位を上げてきていますが、船木は17位に落ちてシード枠から洩れてしまいました。 2ndラウンドに進めないような状況は何としても打破していただきたいですね。
次の試合は4日、オーストリアのインスブルックでラージヒル個人戦が行われます。([ワールドカップ全日程])
年末年始は毎年恒例のヨーロッパジャンプ週間(Springertornee又は4 Scahnzentornee)です。 ドイツとオーストリアの4カ所のシャンツェを転戦し、その合計ポイントでジャンプ週間の総合優勝を競います。 スポンサーから提供される賞金や賞品も多く、注目度はスキージャンプ界随一なので、その盛り上がりは尋常ではありません。 今年もいよいよジャンプ週間が開幕しました。 まずは緒戦、ドイツのオーベルシュトドルフでラージヒル個人戦です。
●12月29日 個人第9戦 ラージヒルK115(Jury Distance 123m) [リザルト]
公式練習や予選の時から天候に恵まれないオーベルシュトドルフ大会。 本戦でも気温が7℃を超える悪条件の中行われました。 優勝はスヴェン・ハンナヴァルト(GER)。 1stラウンドでジュリーディスタンスを超える125.5mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドも119.0mと上手くまとめて逃げ切りました。 2位はマルティン・ヘルヴァルト(AUT)、3位はヤンネ・アホネン(FIN)でした。 昨シーズン、前人未踏のジャンプ週間全戦全勝を成し遂げたハンナヴァルト。 今年もちゃんとジャンプ週間に合わせて調子を上げてきたのは流石です。
日本勢は宮平秀治(ミズノ)が16位に入ったのが最高順位。 葛西紀明(土屋ホーム)は21位、船木和喜(フィットスキー)は24位でした。 山田大起(北野建設)と吉岡和也(デサント)は予選を通過することができませんでした。
ジャンプ週間の第2戦目は1月1日にドイツのガルミッシュ・パルテンキルヘンで行われます。([ワールドカップ全日程])
年末年始恒例のジャンプ週間を目前に控え、ワールドカップはスイスのエンゲルベルクに舞台を移します。 現在スイスでワールドカップを開催する唯一のシャンツェであるエンゲルベルクのラージヒルは歴史も古く、シャンツェのプロフィールが比較的旧式だと言われています。 前週のノイシュタットと同様、冬としてはまだ寒くなりきっていない天候の中、個人戦が行われました。
●12月21日 個人第7戦 ラージヒルK120(Jury Distance 134m) [リザルト]
優勝したのはヤンネ・アホネン(FIN)。 1stラウンドで128.0mを飛んで4位につけ、2ndラウンドではこの日の最長不倒距離となる132.0mをマークして逆転しました。 アホネンはこれが今季初優勝です。 2位はマティアス・ハーフェレ(AUT)、3位はスヴェン・ハンナヴァルト(GER)でした。 またこの日は2位のハーフェレを筆頭にオーストリア勢が奮闘して、4位にアンドレアス・コフラー、5位にマルティン・ヘルヴァルト、6位にアンドレアス・ヴィドヘルツル、7位にアンドレアス・ゴルトベルガー、8位にはマルティン・コッホと、上位10名の中に6人が入って圧倒的なチーム力を見せつけました。
日本勢は宮平秀治(ミズノ)が今季最高順位の10位に入りました。 以下、葛西紀明(土屋ホーム)が20位、船木和喜(フィットスキー)が24位でした。 山田大起(北野建設)は38位で2ndラウンドに進めませんでした。
●12月22日 個人第8戦 ラージヒルK120(Jury Distance 134m) [リザルト]
この日は雨が降る最悪のコンディション。 気温も雪温も高く、風もそこそこ吹いていて、選手によって条件の差が大きく異なってしまったようです。 優勝したのはスヴェン・ハンナヴァルト(GER)。 1stラウンドに133.0m、2ndラウンドでは132.5mと、悪条件の中でも安定したジャンプを揃え、今季初優勝を飾りました。 2位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)、3位はアンドレアス・ゴルトベルガー(AUT)でした。
日本勢は船木和喜(フィットスキー)が健闘して5位に入賞。 1stラウンドで130.0mを飛んで4位につけ、条件が悪くなった2ndラウンドでも125.0mとうまくまとめて、今季初の6位圏内入賞を果たしました。 以下、葛西紀明(土屋ホーム)が17位に入りましたが、宮平秀治(ミズノ)と山田大起(北野建設)は2ndラウンドに進めず、それぞれ32位と48位に終わりました。
一日目の結果に象徴されるように、ここまでの闘いではオーストリアのチーム力が光ります。 ベテランと若手がチーム内で鎬を削り、相乗効果で全員の調子も上がってきているようです。 また一日目の優勝者アホネンと二日目の優勝者ハンナヴァルトはどちらも今季初勝利。 両名とも現在のスキージャンプ界を代表するビッグネームであるだけに、今後も手強い存在となりそうです。 ジャンプ週間を見据えた調整がうまく軌道に乗っているのでしょう。
日本勢は二日目に船木が今季初めての5位入賞を果たしてくれました。 雨が降る悪条件にも動揺することなく自分のジャンプができた結果なのかもしれません。 船木自身はもとより、宮平や葛西らにも良い刺激になることでしょう。 他国の強豪選手のジャンプと比べて見劣りする部分はまだあると思いますが、技術的に挽回不可能なほど大きな差は無いはずですから、諦めずにラジカルなジャンプを続けていって欲しいものです。
いよいよ来週からは、ドイツとオーストリアを転戦するジャンプ週間(Springertounee)が始まります。 混戦模様の上位陣で一体誰が頭一つ抜け出すのか、日本勢がどこまで食い下がれるのか、TV放送が激減してしまった今シーズンでも見所は満載です。 注目しましょう。([ワールドカップ全日程])
保養地ティティゼーに隣接するノイシュタットの町。 ここのシャンツェは昨年初めてワールドカップで使用されるようになり、今年が2回目の開催です。 建造はだいぶ昔のようですが、ジュリーディスタンスが142mと大きく、大きなジャンプが期待できます。 今大会では気温が1〜2℃、節音が-2〜0℃と高めで、天候よりも雪の滑りが芳しくなかったようです。
●12月14日 個人第5戦 ラージヒルK120(Jury Distance 142m) [リザルト]
ジュリーディスタンスを越えるジャンプは出なかったものの、130m台のジャンプが多く、見応えのある展開となった一日目。 優勝はマルティン・ヘルヴァルト(AUT)。 135.0mと137.0mを飛んで快勝、今季2勝目をあげました。 2位は1stラウンドでトップに立っていたシグード・ペテルセン(NOR)、3位はアダム・マリシュ(POL)でした。
日本勢は葛西紀明(土屋ホーム)が19位、宮平秀治(ミズノ)が20位と奮わず。 原田雅彦(雪印乳業)は35位、船木和喜(フィットスキー)は38位、吉岡和也(デサント)は49位で、この3名は2ndラウンドに進むことができませんでした。
●12月15日 個人第6戦 ラージヒルK120(Jury Distance 142m) [リザルト]
二日目は前日よりも更に雪温が上がり、飛距離の出にくい展開となったようです。 優勝したのはまたもやマルティン・ヘルヴァルト(AUT)。 飛距離の出ない1stラウンドは125.0mと手堅くまとめ、2ndラウンドは最長不倒距離となる137.5mを飛んで圧勝しました。 2位はアンドレアス・ゴルトベルガー(AUT)、3位はアンドレアス・コフラー(AUT)と、オーストリア勢が表彰台を独占しました。
日本選手は宮平秀治(ミズノ)が16位、葛西紀明(土屋ホーム)が17位、船木和喜(フィットスキー)が21位と精彩を欠いた内容でした。 原田雅彦(雪印乳業)は40位、山田大起(北野建設)は41位で2ndラウンドに進むことができませんでした。
人づての話によるとこのノイシュタット大会は、初めてワールドカップを開催することになった昨年の運営委員会と町の観光協会の対応が非常に素晴らしく、選手達も観客も良い雰囲気で試合に臨むことができたそうです。 ワールドカップ誘致にかける地元の人達の熱意がひしひしと伝わってきたとのことで、今年もその辺の対応は期待を裏切らないものであったはずです。
試合はヘルヴァルトの強さがひときわ目立った内容となりました。 また、シーズンオフの時期に怪我をして開幕後から出遅れ気味だった地元のヒーロー、スヴェン・ハンナヴァルトも良いジャンプを見せ、二日目は4位に入賞しています。 今のところチーム力で頭一つぬきんでているオーストリア勢に、ペテルセンやマリシュ、ハンナヴァルトといった強豪選手が立ち向かうような構図で試合が進んだようです。
日本チームはノイシュタットのシャンツェが苦手なのでしょうか。 トロンハイム大会と比べると公式練習や予選から今ひとつ波に乗れず、本戦の成績も芳しくないものでした。 特に気になるのは船木の不安定さ。 トロンハイム大会辺りから”確率”の低さが気になっていましたが、ノイシュタット大会一日目では2ndラウンドに進むことすらできず、何か一つしっくりこないような雰囲気を感じてしまいます。
次の試合は次週21日から22日にかけて、スイスのエンゲルベルクでラージヒル2連戦が予定されています。 年末年始恒例のジャンプ週間を控え、序盤最後の試合となるだけに、これまで上位入賞がなかった日本勢としては何とかここで表彰台に上がって勢いをつけていきたいところです。 ([ワールドカップ全日程])
例年のトロンハイム大会は日程をシーズン終盤に組み込まれるのが常でしたが、今年は序盤のこの時期に行われることになりました。 競技は二日間ともナイトゲームで行われました。
●12月7日 個人第3戦 ラージヒルK120(Jury Distance 132m) [リザルト]
快晴の穏やかな条件で行われた一日目、優勝したのはマルティン・ヘルヴァルト(AUT)。 1stラウンドで129.0m、2ndラウンドで128.5mと2本のジャンプとも無難にまとめ、勝利をもぎ取りました。 2位は2ndラウンドで135.5mの最長不倒距離をマークしたシグード・ペテルセン(NOR)、3位は予選から好調だったミヒャエル・ウアマン(GER)でした。
日本人選手は葛西紀明(土屋ホーム)が11位、宮平秀治(ミズノ)が13位、船木和喜(フィットスキー)が24位でした。 山田大起(北野建設)は39位で2ndラウンドに進むことができませんでした。
●12月8日 個人第4戦 ラージヒルK120(Jury Distance 132m) [リザルト]
この日は雪が降るあいにくのコンディション。 アプローチに雪が積もっていったためか前日よりも助走スピードが落ち、飛距離の出にくい条件の下で試合が行われました。 優勝したのは地元ノルウェーの新鋭シグード・ペテルセン(NOR)でした。 1stラウンドで125.5mを飛び3位につけると、2ndラウンドではこの日の最長不倒距離130.5mを飛んで逆転しました。 2位はミヒャエル・ウアマン(GER)、3位はマルティン・ヘルヴァルト(AUT)でした。
日本人選手は葛西紀明(土屋ホーム)が前日から更に順位を上げて9位に食い込みました。 以下、宮平秀治(ミズノ)は18位、船木和喜(フィットスキー)は22位。 今シーズンに入って初めて予選を通過した原田雅彦(雪印乳業)は31位で惜しくも2ndラウンドに進むことができませんでした。
トロンハイムに入ってからまた少し上位陣の顔ぶれが変わってきました。 クーサモで活躍したプリモジュ・ペッテルカ(SLO)は両日とも奮わず、総合成績トップの座から陥落。 地元ノルウェー勢でただ一人奮闘したペテルセンが総合成績1位に躍り出ました。 ここまで4戦を終えて4戦とも優勝者が違うことは、トップの数名の力が均衡していて各選手ほとんど差がないことの現れです。 1試合毎に取りこぼしなくきちんとポイントを稼いでいけるかどうかが、今後の展開としてより重要になってくるでしょう。
日本人選手の状況は、FISの公式記録を見る限りではさほど大きな変化は無さそうに感じられますが、調子は少しずつ上向いているような雰囲気です。 宮平に少しずつ大きなジャンプが出始めたことと、原田がようやく予選を勝ち抜いたことは、素直に喜んでおきたいところです。 葛西も4戦目でシングルに入り、6位入賞圏内にもあと少しで手に届くところまで来ています。 次の試合ですぐに結果に現れる保証はありませんが、少なくとも今の状況は悲観するほど悪いものではありません。
次は12月14日から15日の二日間、ドイツのノイシュタットでラージヒル2連戦が予定されています。 ([ワールドカップ全日程])
2002−2003シーズンの本番、FISワールドカップスキージャンプがいよいよ開幕しました。 開幕戦の開催地はフィンランドのクーサモ。 ここ数シーズンはワールドカップで使用されなかったシャンツェですが、同国のクォピオのシャンツェが風の条件が大変悪いことを考えると妥当な処置だと思われます。 またクーサモのラージヒルはランディングバーンの裾野が非常に広く、ジュリーディスタンスも142mとラージヒルとしては世界最大クラスを誇るため、大ジャンプ連発の見応えある試合が期待できます。
●11月29日 個人第1戦 ラージヒルK120(Jury Distance 142m) [リザルト]
気温・雪温とも-15℃を更に下回ろうかという厳寒の中行われた開幕戦。 1stラウンド終了後スタートゲートが一段上げられて助走スピードが上がり、2ndラウンドはジュリーディスタンスを超える特大ジャンプが連発し、大変厳しい上位争いとなりました。 開幕戦を制したのはプリモジュ・ペッテルカ(SLO)。 1stラウンドで5位につけると、2ndラウンドでも全体の2位となる143.5mのジャンプでポイントを稼ぎ、見事な逆転優勝を飾りました。 彼は1996−97と1997−98の2シーズン連続でワールドカップ個人総合優勝を果たしている選手ですが、その後は学業に専念するために一時競技生活の一線から退いていたため、ここ数シーズンはワールドカップでも上位入賞はありませんでした。 5シーズンぶりの復活、4年8ヶ月ぶりのワールドカップ優勝となります。 2位は昨シーズンの個人総合優勝者アダム・マリシュ(POL)、3位はヤンネ・アホネン(FIN)でした。
日本人選手では、船木和喜(フィットスキー)が1stラウンドで2位につけましたが、2ndラウンドで139.0mを飛ぶも惜しくも転倒し11位。 飛型フォーム改造が実を結んだのか予選から絶好調だった葛西紀明(土屋ホーム)が12位に、宮平秀治(ミズノ)は17位に入りました。 吉岡和也(デサント)は2ndラウンドに進めず42位に終わりました。
●11月30日 個人第2戦 ラージヒルK120(Jury Distance 142m) [リザルト]
この日は雪温が-20℃まで下がり、助走スピードが上がりやすかったようです。 前日の第1戦とは逆に2ndラウンドでスタートゲートが一段下げられ、130m台を中心とした飛距離で上位争いが繰り広げられました。 優勝したのは夏のサマーグランプリで圧倒的な強さを発揮したアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)。 1stラウンドでは7位でしたが2ndラウンドで143.5mとこの日の最長不倒距離をマークし、逆転しました。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はプリモジュ・ペッテルカ(SLO)でした。
日本人選手は船木和喜(フィットスキー)が10位に入ったのが最高。 葛西紀明(土屋ホーム)は22位、高野鉄平(土屋ホーム)は2ndラウンドに進めず49位に終わりました。
[リザルト]からもわかるように、クーサモ大会は上位入賞6名の顔ぶれが同じで、”飛べた”選手と”飛べなかった”選手の差がはっきり分かれた大会となってしまいました。 シャンツェ独特の癖が各選手のジャンプのスタイルと合致したかどうかも気になるところですが、この後の数試合はクーサモ大会で上位入賞した選手達が中心となって優勝争いが繰り広げられそうな雰囲気です。 特に今シーズンはペッテルカが復活して混戦の様相を呈してきましたから、総合ポイント争いは序盤から相当に厳しいものとなることが予想されます。
日本人選手では今のところ船木と葛西の両名がチームを引っ張る形となっています。 船木の安定感と果敢に攻めていく闘志は相変わらず見事ですが、加えて今シーズンは飛型フォームを大改造した葛西に注目すべきでしょう。 前に鋭く食い込んでいくようなそれまでの”カミカゼスタイル”から、背中を多少丸めて風を懐にため込む現在主流のスタイルに近くなったと報じられています。 クーサモ大会では公式練習、予選とも日本人選手の中では最高のジャンプを見せている反面、本戦でそのジャンプが見られないのはやはり”力み”なのでしょうか。 無冠の帝王葛西がこの後どれだけ成績を伸ばせるかが見物です。
次の大会の開催はノルウェーのトロンハイム。 12月7日〜8日にラージヒル個人2連戦が予定されています。 ([ワールドカップ全日程])
今シーズンのサマージャンプ国内公式戦は9月をもってひとまず終了となります。 シーズン終盤の大きな大会の結果をまとめてみます。
●9月1日 第7回鹿角サマージャンプ大会
鹿角市花輪シャンツェ ノーマルヒルK75
A指定選手のほとんどをヨーロッパ遠征で欠き、主に学生を中心とした大会となりました。 成年組の優勝は上野真吾(NTT東日本北海道)。 2本とも74.0mの最長不倒距離を揃えて堂々の優勝です。 2位は安崎直幹(NTT東日本北海道)、3位は三浦智和(近畿大学)でした。
少年組は地元勢が奮闘、小山内佳彦(花輪高)が優勝しました。
●9月22日 第2回妙高高原サマージャンプ大会
妙高高原赤倉シャンツェ ノーマルヒルK90
成年の部は東輝(日本空調サービス)が92.5mと94.5mの安定したジャンプを揃え、ヨーロッパ遠征から帰国したA指定選手をおさえて優勝しました。 2位には1stラウンドでトップに立った葛西紀明(土屋ホーム)と2ndラウンドのポイントトップの宮平秀治(ミズノ)が並び、4位には山田大起(北野建設)が入りました。
少年の部は樋口大二郎(北照高)が、女子の部では山田いずみ(ロイズ)がそれぞれ優勝しました。
●9月28日 2002 HAKUBAカップサマージャンプ大会 一日目
白馬ジャンプ競技場 ラージヒルK120
サマージャンプシーズンの最後を締めくくるのは白馬ジャンプ競技場でのラージヒル2連戦。 一日目、男子の部では山田大起(北野建設)が2ndラウンドに127.5mの最長不倒距離をマークして逆転優勝しました。 2位は1stラウンドでトップに立っていた葛西紀明(土屋ホーム)、3位は宮平秀治(ミズノ)でした。
女子の部は金井理恵子(大東文化大)が圧勝。 2ndラウンドの117.0mは大変立派な飛距離です。
●9月29日 2002 HAKUBAカップサマージャンプ大会 二日目
白馬ジャンプ競技場 ラージヒルK120
二日目、男子の部は宮平秀治(ミズノ)が126.5mと127.5mを飛ぶ抜群の安定感を見せて優勝しました。 2位は葛西紀明(土屋ホーム)、3位は岡部孝信(雪印乳業)でした。
女子の部はこの日も金井理恵子(大東文化大)が優勝。 ただ一人2本とも110mを越え、他の選手を寄せ付けませんでした。
9月の試合で特に注目されたのはやはり最後の白馬の試合でしょう。 結果的にはヨーロッパ遠征メンバーが上位を占めたわけですが、公式結果やポイント差を見ると、遠征に選ばれなかった選手が際立って成績が悪いわけではありません。 冬場のトレーニングとは違うノウハウが求められるサマージャンプで、冬の本番を見据えた調整をこなしながら試合でも良い結果を目指すのは難しいことなのだと思います。 年末のシーズン本番まであとわずかしかありません。 それまでに各選手がどのように自分のジャンプを磨き上げてくるか、注目したいところです。
グランプリシリーズの後半戦はフィンランドのラハティとオーストリアのインスブルックで行われました。
●9月6日 第4戦 ラハティ(フィンランド) ラージヒルK116
優勝はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)。 2ndラウンドに最長不倒距離となる130.0mを飛んで圧勝しました。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はマルティン・コッホ(AUT)でした。
日本勢は宮平秀治(ミズノ)が18位、葛西紀明(土屋ホーム)が29位と奮わず、35位の原田雅彦(雪印乳業)、37位の山田大起(北野建設)、39位の船木和喜(フィットスキー)、42位の高野鉄平(利根商業高)らは2ndラウンドに進むことができませんでした。
●9月7日 第5戦 ラハティ(フィンランド) ラージヒルK116
優勝はこの日もアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)。 2ndラウンドの125.5mは最長不倒距離でした。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はマルティン・ヘルヴァルト(AUT)でした。
日本人選手は宮平秀治(ミズノ)の18位が最高、以下、船木和喜(フィットスキー)が28位。 32位の山田大起(北野建設)、33位の原田雅彦(雪印乳業)、35位の高野鉄平(利根商業高)は2ndラウンドに進むことができませんでした。
●9月14日 第6戦 インスブルック(オーストリア) ラージヒルK120
スキージャンプ最大のイベント「ジャンプ週間(Springertournee)」の第3戦が行われることで有名なベルクイーゼルのシャンツェ。 昨シーズンに大規模な改装が行われて最新設備が整い、夏はプラスティックシャンツェとして使えるようになりました。 夏のグランプリシリーズがこのシャンツェで開催されるのも今回が初めてです。
優勝はマルティン・ヘルヴァルト(AUT)。 1stラウンドにこの日の最長不倒距離となる131.0mを飛んで逃げ切りました。 2位はクリント・ジョーンズ(USA)、3位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)でした。 ヴィドヘルツルの連勝は5でストップです。
日本人選手は宮平秀治(ミズノ)が順位を上げて10位、船木和喜(フィットスキー)が25位に入りました。 37位の高野鉄平(利根商業高)、38位の葛西紀明(土屋ホーム)、41位の山田大起(北野建設)、44位の原田雅彦(雪印乳業)の4名は2ndラウンドに進むことができませんでした。
これで今シーズンのサマーGPは全日程を終了しました。 オーストリア勢、特にヴィドヘルツルの強さが際だったシリーズでした。 この勢いが冬のワールドカップまで続くかどうかわかりませんが、オフシーズンの調整が非常に順調に進んでいることは確かなようです。
日本勢は5〜6名が本戦に進んで、上位2名がかろうじて2ndラウンドに残るといった苦しい試合運びが続きました。 宮平や船木らはシーズンを通しての安定感が結果に結びついていると見て良いでしょうが、これまで「夏男」とまでいわれてきた原田が精彩を欠いたのはとても残念です。 またチーム全体でも、用具規定違反による失格や予選不通過などで今ひとつ自分達の実力を発揮しきれない雰囲気が感じられ、昨シーズンのワールドカップやソルトレイクシティ冬季五輪で露呈した上位選手との差はまだまだ埋められないでいる様子です。 冬のワールドカップが始まるまであと約2ヶ月。 それまでにチーム内の雰囲気がもっと良くなっていてほしいと願うばかりです。
8月は各地で多くのサマージャンプ大会が開かれました。 主な大会の結果をまとめてみます。
●8月3日 2002 UHB杯大倉山サマージャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒルK120
ヨーロッパのグランプリシリーズ開始直前ということで遠征メンバーも参加し、豪勢な顔ぶれが一同に揃った大会でした。 成年の部の優勝は山田大起(北野建設)。 1stラウンドに128.0m、2ndラウンドに123.5mを飛んで逃げ切りました。 2位は葛西紀明(土屋ホーム)、3位は船木和喜(フィットスキー)でした。
少年の部は伊東大貴(下川商業高)が圧勝。 ただ一人2本とも110mを越えて、非凡な実力を見せつけました。
●8月4日 第19回札幌市長杯宮の森サマージャンプ大会
宮ノ森ジャンプ競技場 ノーマルヒルK90
成年の部は原田雅彦(雪印乳業)が94.0mと93.5mを飛んで優勝。 2位は葛西紀明(土屋ホーム)、3位は岡部孝信(雪印乳業)でした。
少年の部は伊東大貴(下川商業高)1stラウンドに98.5mの最長不倒距離を飛んで優勝、女子の部は小浅星子(札幌大学)が制しました。
●8月25日 第14回塩沢サマージャンプ大会
塩沢町塩沢ジャンプ台 ノーマルヒルK75
大学生が中心となった成年組は梅崎慶大(明治大学)が1stラウンドに84.0mの最長不倒距離を飛んで逃げ切りました。 2位は青木雄二(日本大学)、3位は森崇(明治大学)でした。
少年組は湯本史寿(下高井農林高)、女子組は金井理恵子(大東文化大学)がそれぞれ優勝しました。
夏休み期間ということでジュニアの公式戦が多く行われた8月でしたが、全ての大会の結果資料が収集できませんでしたので、割愛しました。
サマージャンプシーズンの「ワールドカップ」とも言うべきFISグランプリスキージャンプが今年も開幕しました。 8月10日のヒンターツァルテン大会を皮切りに9月14日のインスブルック大会まで約一ヶ月間、計6戦で争う本格的なツアーです。 まずはその前半戦となる第3戦までの結果をまとめます。
●8月10日 第1戦 ヒンターツァルテン(ドイツ) ノーマルヒルK95
緒戦を制したのはアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)でした。 2ndラウンドにはこの日の最長不倒距離となる107.5mを飛び、1stラウンドの2位から逆転しました。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はマッティ・ハウタマキ(FIN)でした。 日本人選手では船木和喜(フィットスキー)が4位に入る健闘を見せましたが、その他は宮平秀治(ミズノ)が38位と奮いませんでした。 山田大起(北野建設)は本戦で失格。渡瀬雄太(雪印乳業)と吉岡和也(デサント)は予選不通過、葛西紀明(土屋ホーム)と原田雅彦(雪印乳業)は予選失格でした。 特に用具規定違反による失格が多かったようで、開幕直後でレギュレーションが混乱した状態が伺えます。
●8月11日 第2戦 ヒンターツァルテン(ドイツ) ノーマルヒルK95
この日の優勝は前日に引き続きアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)。 1stラウンドで108.5mを飛んでトップに立つと、2ndラウンドでも105.5mと安定したジャンプを見せて逃げ切りました。 2位はクリント・ジョーンズ(USA)、3位はマルティン・ヘルヴァルト(AUT)でした。 日本人選手は船木和喜(フィットスキー)の10位が最高。 以下、葛西紀明(土屋ホーム)が16位、原田雅彦(雪印乳業)が22位、山田大起(北野建設)が33位でした。 渡瀬雄太(雪印乳業)と宮平秀治(ミズノ)、吉岡和也(デサント)は予選を通過することができませんでした。
●8月14日 第3戦 クーシュベル(フランス) ラージヒルK120
舞台をフランスに移してもヴィドの勢いは止まりません。 この日も優勝はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)でした。 1stラウンドに127.5m、2ndラウンドには125.0mを飛んでの圧勝です。 2位はクリント・ジョーンズ(USA)、3位はロベルト・クラニェツ(SLO)でした。 日本人選手は宮平秀治(ミズノ)の9位が最高。 以下、原田雅彦(雪印乳業)が14位、船木和喜(フィットスキー)が21位、葛西紀明(土屋ホーム)が35位でした。 吉岡和也(デサント)は予選不通過、渡瀬雄太(雪印乳業)は召集遅刻で予選失格、山田大起(北野建設)は予選を棄権しました。
ここまででひときわ目につくのはアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)の圧倒的な強さです。 元々高い実力を持った選手でしたが、ここ2年ほどは肝心の試合でアダム・マリシュ(POL)やスヴェン・ハンナヴァルト(GER)らの強豪に勝てず、辛酸をなめてきた経緯があります。 持ち味の大きなジャンプに安定感が加われば、それこそ鬼に金棒。 今後の試合でも活躍が期待できそうです。
また、ヴィドヘルツルほどは目立ちませんが、クリント・ジョーンズ(USA)も絶好調のようです。 これまでスキージャンプ競技では表彰台から縁遠かったアメリカ。 今シーズンのジョーンズは、今の勢いが続けられればそのジンクスを破れるかもしれません。 一昨シーズンから頭角を現し始めた彼が今シーズンに見事花開くかどうか、是非とも注目したいと思います。
日本人選手については、FISの公式記録を見る限りでは「DSQ(Disqualified:失格)」「violation against art.222(用具規定違反)」が大変多く、チーム内が運営・サポート面で混乱しているような印象を受けます。 コーチングスタッフの顔ぶれが変わり、チームの運営も昨シーズンと違う部分があるかもしれませんが、シーズン開幕で失格や予選不通過が多いのは百害あって一利無しです。 チームの雰囲気を一刻も早く立て直す必要があります。 幸い、グランプリシリーズの後半戦が始まるまでに約3週間ありますから、その間に運営・サポート面で何らかの対策が取られることを切に願うばかりです。
世界のトップの座を他国に譲り渡してしまい、追いかける立場に逆戻りしたチームジャパン。 でもカルガリーの頃のような無様な姿はもう見たくありません。頑張れ。
グランプリシリーズの前半戦はこれで終了、次の試合は9月6日〜7日のラハティのラージヒルです。
2002−2003シーズンのサマージャンプもいよいよ開幕です。 7月の公式戦でSAJ(全日本スキー連盟)A指定以上の大会をまとめてみます。
●7月14日 第22回朝日町全日本サマージャンプ大会
朝日町三望台シャンツェ ミディアムヒルK60
成年の部は金子祐介(東京美装)が1stラウンドに61.5mを飛んで逃げ切りました。 2位は”夏男”原田雅彦(雪印乳業)、3位は齋藤慎一郎(東京美装)でした。
少年の部は伊東大貴(下川商業高)が2ndラウンドに63.0mの最長不倒距離をマークして逆転優勝、女子の部は山田いずみ(ロイズ)が圧勝しました。
●7月21日 第8回名寄ピヤシリサマージャンプ大会
名寄市ピヤシリシャンツェ ミディアムヒルK65
成年の部は原田雅彦(雪印乳業)が2本ともK点越えとなる66.0mを飛んで圧勝しました。 2位は金子祐介(東京美装)、3位は東輝(日本空調サービス)でした。
少年の部は伊東大貴(下川商業高)が2ndラウンドに67.0mの最長不倒距離で優勝、中学の部は山本健太(余市ジャンプスポーツ少年団)が、女子の部は山田いずみ(ロイズ)がそれぞれ優勝しました。
●7月27日 第3回札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒルK120
成年の部は船木和喜(フィットスキー)が1stラウンドに139.5mを飛ぶなどして安定感を見せ優勝しました。 2位は2ndラウンドに140.5mの最長不倒距離をマークした宮平秀治(ミズノ)、3位は2ndラウンドに131.0mを飛んで追い上げた原田雅彦(雪印乳業)でした。
少年の部は伊東大貴(下川商業高)が格の違いを見せつけ、2ndラウンドに132.5mを飛んで優勝しました。
●7月27日 第6回朝日町全日本ジュニア兼レディースサマージャンプ大会
朝日町三望台シャンツェ ミディアムヒルK60
各セクションの優勝者です。
中学3年生の部:山本健太(余市ジャンプ少年団)
中学2年生の部:和田圭充(余市ジャンプ少年団)
中学1年生の部:栃本翔平(札幌ジャンプ少年団)
女子の部:渡瀬あゆみ(札幌日大高)
小学生の部:原田侑武(札幌ジャンプ少年団)
例年通り夏に強い選手や、スロースターターで冬の本番に向けてじっくりと調整に取り組む選手など、開幕直後は混沌とした状態が見受けられます。 選手自身の思惑や所属チームの方針など事情は様々ですから、これも致し方ないことでしょう。 どうしても目についてしまうのは、8月のヨーロッパ遠征に選ばれる可能性が高い選手達。 7月27日の大倉山では船木和喜(フィットスキー)が優勝しましたが、その他の選手が調子が悪いというわけでもないようです。 今のところナショナルA指定選手(ソルトレイクシティ五輪代表選手など)が順当に好成績を上げており、その中で金子祐介(東京美装)ら現在好調な選手達が存在感を示しているといったところでしょう。
8月に入ってからも国内戦は毎週のように試合が予定されています。 また8月10日からは、ドイツでFISグランプリスキージャンプのシリーズが始まります。 サマージャンプもいよいよ「夏本番」です。
2002〜2003年のFISワールドカップスキージャンプの日程が決定しました。
[第1ピリオド](FISグランプリスキージャンプ)(◆) 2002.08.10 ヒンターツァルテン(GER) K95 2002.08.11 ヒンターツァルテン(GER) K95 2002.08.14 クーシュベル(FRA) K120 2002.09.06 ラハティ(FIN) K116(ナイトゲーム) 2002.09.07 ラハティ(FIN) K116 2002.09.14 インスブルック(AUT) K120 [第2ピリオド] 2002.11.29 クーサモ(FIN) K120(ナイトゲーム) 2002.11.30 クーサモ(FIN) K120(ナイトゲーム) 2002.12.07 トロンハイム(NOR) K120(ナイトゲーム) 2002.12.08 トロンハイム(NOR) K120(ナイトゲーム) 2002.12.14 ノイシュタット(GER) K120 2002.12.15 ノイシュタット(GER) K120 2002.12.21 エンゲルベルク(SUI) K120 2002.12.22 エンゲルベルク(SUI) K120 [第3ピリオド](Springertournee〜ジャンプ週間) 2002.12.29 オーベルシュトドルフ(GER) K115 2003.01.01 ガルミッシュ・パルテンキルヘン(GER) K115 2003.01.04 インスブルック(AUT) K120 2003.01.06 ビショフスホーフェン(AUT) K120 [第4ピリオド] 2003.01.11 リベレツ(CZE) K120 2003.01.12 リベレツ(CZE) K120 開催中止 2003.01.18 ザコパネ(POL) K120(ナイトゲーム) 2003.01.19 ザコパネ(POL) K120 2003.01.23 白馬(JPN) K120(ナイトゲーム) 2003.01.25 札幌(JPN) K120(ナイトゲーム) 2003.01.26 札幌(JPN) K120 [第5ピリオド] 2003.02.01 バートミッテルンドルフ(AUT) K185 2003.02.02 バートミッテルンドルフ(AUT) K185 2003.02.08 ヴィリンゲン(GER) K120 2003.02.09 ヴィリンゲン(GER) K120 [2003年ノルディックスキー世界選手権](◆) 2003.02.22 ヴァル・ディ・フィエンメ(ITA) K120(ナイトゲーム) 2003.02.23 ヴァル・ディ・フィエンメ(ITA) K120団体(ナイトゲーム) 2003.02.28 ヴァル・ディ・フィエンメ(ITA) K90(ナイトゲーム) [第6ピリオド] 2003.03.08 オスロ(NOR) K115団体(ナイトゲーム) 2003.03.09 オスロ(NOR) K115(▲) 2003.03.14 ラハティ(FIN) K116(ナイトゲーム)(▲) 2003.03.15 ラハティ(FIN) K116(ナイトゲーム)(▲) 2003.03.21 プラニツァ(SLO) K185(団体) 2003.03.22 プラニツァ(SLO) K185 2003.03.23 プラニツァ(SLO) K185(◆)成績はワールドカップポイントに加算されません。
(▲)ノルディックトーナメント