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2005−2006 Ski Jumping トピックス




[FISワールドカップスキージャンプ リザルト]


[2006 トリノ冬季オリンピック スキージャンプ リザルト]


[2006 世界スキーフライング選手権 リザルト]


[FISグランプリスキージャンプ リザルト]



■国内公式戦(3月)■2006年3月27日
 2月にトリノ冬季五輪が行われる影響で、国内での大規模な公式戦も2月はほぼ休止状態でした。 3月に入ってからは、シーズンの終盤を締めくくるお馴染みの大会が目白押しです。 下旬には今シーズンをもって引退する選手達の最後の試合となる伊藤杯ファイナルナイタージャンプ大会が行われ、2005-2006シーズンの全ての日程を終えました。

●3月1日 第18回国際蔵王ジャンプ大会兼NHK杯ジャンプ大会
兼FISコンチネンタルカップスキージャンプレディース(女子組)
蔵王ジャンプ台 ノーマルヒル HS100

 毎年蔵王で行われるこの大会、以前はコンチネンタルカップでしたが、現在は男子組がFISカップの扱いです。 今シーズンからは女子組の競技がコンチネンタルカップとして行われました。 男子の陰に隠れてしまうことが多い女子のスキージャンプですが、競技者のレベルは毎年目を見張るような向上を見せています。 男子で言うところのワールドカップクラスの選手が集まり、賑やかな大会となったようです。
 男子組の優勝はマリオ・インナウアー(AUT)。 1980年レイクプラシッド冬季五輪70m級で金メダルをとったアントン・インナウアー氏のご子息です。 ただ一人2本ともK点を越える98.5mと93.5mを飛んで快勝しました。 2位はグレゴァ・シュリーレンツァウアー(AUT)、3位は宮平秀治(ミズノ)でした。
 女子組は87.0mと89.0mを飛んだヴァン・リンゼィ-M(USA)が優勝、アネッテ・ザーゲン(NOR)が2位、ジェシカ・ジェローム(USA)が3位でした。 日本勢は山田いずみ(ロイズ)が78.5mと77.5mを飛んで6位に入賞。 葛西賀子(日本空調サービス)が9位、渡瀬あゆみ(ロイズ)が16位、金井理恵子(北野建設)が17位、茂野美咲(浅井学園大)が18位、平山友梨香(札幌市立上野幌中)が19位、嘉部恵梨奈(青山学院大)が20位、竹田歩佳(札幌日大高)が21位、笛木美沙(南魚沼私立塩沢中)が22位、本山友香(下高井農林高)が23位でした。

●3月2日 第18回国際蔵王ジャンプ大会兼山形市長杯ジャンプ大会
兼FISコンチネンタルカップスキージャンプレディース(女子組)
蔵王ジャンプ台 ノーマルヒル HS100

 この日の優勝も前日に引き続きマリオ・インナウアー(AUT)。 101.0mと97.0mを飛んでの圧勝です。 2位には宮平秀治(ミズノ)、3位にはヤン・オッタ・アンデルセン(NOR)が入りました。
 女子組はヴァン・リンゼィ-M(USA)が81.0mと97.0mを飛んで、こちらも前日からの連勝。 2位にはアネッテ・ザーゲン(NOR)が入りました。 山田いずみ(ロイズ)は82.5mと86.0mを飛んで3位に入り、表彰台に上がる快挙でした。 以下、渡瀬あゆみ(ロイズ)が11位、葛西賀子(日本空調サービス)が14位タイ、茂野美咲(浅井学園大)が16位、金井理恵子(北野建設)が18位、嘉部恵梨奈(青山学院大)が19位、平山友梨香(札幌市立上野幌中)が20位、竹田歩佳(札幌日大高)が21位、笛木美沙(南魚沼私立塩沢中)が22位、本山友香(下高井農林高)が23位でした。

●3月4日 第77回宮様スキー大会国際競技会 ノーマルヒル競技
宮の森ジャンプ競技場 ノーマルヒル HS100

 FISカップを兼ねて行われる宮様国際スキー大会。 宮の森で開催されたノーマルヒル競技では、グレゴァ・シュリーレンツァウアー(AUT)が91.5mと99.5mを飛んで優勝しました。 2位は渡瀬雄太(チーム雪印)、3位は長男翼(下川商業高)でした。 女子組は茂野美咲(浅井学園大)が79.0mと78.0mで優勝しました。

●3月5日 第77回宮様スキー大会国際競技会 ラージヒル競技
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒル HS134

 大倉山に場所を移して行われた宮様大会ラージヒル。 成年組のこの日の優勝は吉岡和也(土屋ホーム)。 1stラウンドで133.0mを飛ぶと、全体的に飛距離が伸び悩んだ2ndラウンドも100.0mと上手くまとめました。 2位は宮平秀治(ミズノ)、3位は坂野幸夫(チーム雪印)でした。
 この大会の少年組は、上位3名が成年組の選手を大きく上回る成績。 優勝は137.5mと118.0mを飛んだマリオ・インナウアー(AUT)、2位はこの日の最長不倒距離141.5mを1stラウンドにマークしたグレゴァ・シュリーレンツァウアー(AUT)、3位は伊東謙司郎(下川商業高)でした。 優勝したインナウアーと成年組トップの吉岡とのポイント差はなんと45.0。 3位の伊藤のポイントも吉岡を上回り、若手選手の元気さが際だつ結果となりました。
 女子組は前日のノーマルヒルに続いて茂野美咲(浅井学園大)が制しました。

●3月25日 第30回伊藤杯宮の森ナイタージャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒル HS134

 当初3月24日に予定されていたこの大会は、悪天候が回復せず翌日に順延され、3月25日に大倉山で行われる伊藤杯ファイナルの前に1ラウンドだけの競技として行われました。 カンテスピードをノーマルヒル並みに抑えて競技が行われた模様です。 優勝したのはノルディック複合陣のエース、高橋大斗(土屋ホーム)。 95.0mはこのラウンドの最長不倒距離でした。 2位は宮平秀治(ミズノ)、3位は伊藤謙司郎(下川商業高)でした。

●3月25日 第7回伊藤杯シーズンファイナル大倉山ナイタージャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒル HS134

 シーズン最後の試合はお馴染み大倉山での伊藤杯ファイナル。 今シーズンは原田雅彦(チーム雪印)や宮平秀治(ミズノ)、千田侑也(土屋ホーム)ら有名選手の引退が多いとあって、マスコミの注目度も高かったようです。 優勝したのは伊東大貴(土屋ホーム)。 111.5mと126.0mを飛んで実力の差を見せつけた形です。 2位には葛西紀明(土屋ホーム)が入って土屋のワンツーフィニッシュ。 3位は東輝(日本空調サービス)でした。 宮平秀治(ミズノ)は8位、原田雅彦(チーム雪印)は16位でこの試合を終えました。


 これで2005−2006シーズンの公式戦は全ての日程を終了したことになります。 3月に行われた試合で最も象徴的だったのは、やはり宮様大会でしょう。 日本の試合では少年組にエントリーされる若い外国人選手(それもワールドカップ派遣に選ばれないクラスの選手)の前に、日本のコンチネンタルカップ派遣クラスの選手が全く歯が立ちませんでした。 ワールドカップ遠征選手の成績を論じる前に、コンチネンタルカップクラスの選手達の強化策を早急に検討すべきではないかとさえ思えてきます。 そのような状況であるにもかかわらず、オリンピック以降は、日本チームは海外のコンチネンタルカップに選手を派遣しませんでした。 来シーズン以降もこのような状況が続くのであれば、効果的な選手強化は望めません。 今後、日本チームとしての取り組みで、この辺りの事情が一刻も早く改善されることを願うばかりです。

 2005−2006は様々な問題が露呈したシーズンであったといえるかもしれませんね。 何はともあれ、選手の皆様、関係者の皆様、お疲れ様でした。



■FISワールドカップスキージャンプ プラニツァ大会■2006年3月21日
 今シーズンのワールドカップの最後を飾るのは、もはや恒例となったスロヴェニア・プラニツァでのフライングヒル個人戦。 K185、HS215という世界最大のフライングヒルを使用して、豪快なアーチ合戦が繰り広げられます。 今年は3月18日〜19日の二日間で開催されました。

●3月18日 プラニツァ(スロヴェニア) 第24戦 フライングヒル個人 HS215 [リザルト]
 この日の天候は晴れ時々曇り、気温-0.8〜-1.8℃、雪温-2.8℃、風速は0.7〜2.7m/s。 3月中旬ということで寒さも緩み、快適に観戦できそうな気候です。 ラージヒルで行われる普段のワールドカップと違い、フライングヒルのこの試合では本戦に出場できる選手は総勢40名です。
 優勝したのはビョルン・アイナー・ルメレン(NOR)。 この日の最長不倒距離となる224.0mのジャンプを2本揃え、ランディングも完璧に決めて圧勝しました。 2位は、2ndラウンドで220.5mを飛んで追い上げたロアー・ヨケルソイ(NOR)、3位はマルティン・コッホ(AUT)でした。
 日本勢は、日本人のフライングヒル最長飛距離記録を持つ伊東大貴(土屋ホーム)が202.5mと219.0mを飛んで12位に食い込んだのが最高。 岡部孝信(チーム雪印)は202.0mと207.0mで17位、葛西紀明(土屋ホーム)は194.0mと193.5mで31位でした。 一戸剛(アインズ)と東輝(日本空調サービス)は予選を通過することができませんでした。

●3月19日 プラニツァ(スロヴェニア) 第25戦 フライングヒル個人 HS215 [リザルト]
 ルールにより、前日までの個人総合成績上位30位までの選手のみで行われた、プラニツァ大会二日目。 この試合が今シーズンの最終戦です。 天候は晴れ、気温は前日よりも上がって0.3〜2.5℃、雪温は-0.5℃、風速は1.1〜4.3m/s。 ここのシャンツェは昼が近づくにつれて風が強くなる傾向にあります。 風の条件の差で、選手によって運不運が分かれたケースもあったかもしれませんね。
 この日の優勝は、今シーズンから頭角を現してきたフィンランドの新鋭ヤンネ・ハッポネン(FIN)。 1stラウンドは225.5m、2ndラウンドは226.5mを飛んで、今シーズン2勝目を挙げました。 2位は222.5mのジャンプを2本揃えたマルティン・コッホ(AUT)、3位は今シーズン今ひとつ精彩を欠くジャンプが多かった地元スロヴェニアのエース、ロベルト・クラニェチ(SLO)でした。
 日本勢では岡部孝信(チーム雪印)が206.5mと215.5mを飛んで11位、伊東大貴(土屋ホーム)は193.0mと208.5mで20位、葛西紀明(土屋ホーム)は190.0mと189.5mで28位でした。



 この試合をもって今シーズンのワールドカップの日程は全て終了し、総合成績が確定しました。 来シーズン開幕戦で予選免除のシード権を得る上位15名の選手と日本人選手の成績は次のようになりました。
 1. Jakub Janda (CZE)            1151
 2. Janne Ahonen (FIN)           1024
 3. Andreas Kuettel (SUI)         980
 4. Roar Ljoekelsoey (NOR)        875
 5. Thomas Morgenstern (AUT)      846
 6. Bjoern Einar Romoeren (NOR)   757
 7. Andreas Kofler (AUT)          699
 8. Michael Uhrmann (GER)         681
 9. Adam Malysz (POL)             634
10. Andreas Widhoelzl (AUT)       594
11. Matti Hautamaeki (FIN)        563
12. 岡部孝信 (チーム雪印)         500
13. Lars Bystoel (NOR)            495
14. Janne Happonen (FIN)          484
15. Martin Koch (AUT)             383
19. 伊東大貴 (土屋ホーム)         267
21. 葛西紀明 (土屋ホーム)         249
44. 坂野幸夫 (チーム雪印)          42
48. 一戸剛 (アインズ)              34
49. 吉岡和也 (土屋ホーム)          29
50. 上野真吾 (NTT東日本北海道)     26
60. 宮平秀治 (ミズノ)              15
73. 山田大起 (北野建設)             7
85. 渡瀬雄太 (チーム雪印)           1
 また、国別成績は次のようになりました。
 1. Austria                      3611
 2. Norway                       3525
 3. Finland                      3456
 4. Germany                      1869
 5. Switzerland                  1675
 6. Japan                        1620
 7. Czech Republic               1388
 8. Slovenia                      915
 9. Poland                        786
10. Russian Federation            389
11. Italy                          92
12. France                         27
13. Kazakhstan                     25
14. Estonia                        16
15. Korea                          10
15. Canada                         10
17. United States of America        5
18. Slovakia                        2
 今シーズンは2月にトリノ冬季五輪が開催される関係で、選手やチーム毎に調整の進め方がいつものシーズンと比べて異なっていたのでしょう。 試合の主導権を握る選手の顔ぶれは、五輪を境にして一変した印象があります。 シーズン序盤から中盤までで強烈な存在感を示したのは、総合成績トップ2である、ヤクブ・ヤンダ(CZE)とヤンネ・アホネン(FIN)。 ジャンプ週間総合成績でこの二人が同点優勝したのが象徴的です。 一方シーズン終盤では、トリノ冬季五輪で活躍した選手を中心に熾烈な優勝争いが繰り広げられ、レベルの高い試合が最後まで続きました。 シーズン全体を振り返ると、ちょうど国別成績の順位がそのまま今シーズンの「勢力図」となっていたと言えるでしょう。

 日本チームは、岡部孝信(チーム雪印)がシーズンを通して安定して上位に食い込んだことが、今シーズン最大の収穫であり、唯一の拠り所でもありました。 総合成績12位にランクインして来シーズン開幕戦のシード権を得たことは、高く評価できる結果だと思います。 今や日本ジャンプ陣を牽引する最右翼である土屋ホームは、葛西紀明、伊東大貴が昨年に引き続きワールドカップでも活躍しましたが、トリノ冬季五輪に照準を合わせた調整を進めていた結果、シーズン序盤でワールドカップポイントを多く稼ぐことができませんでした。

 一方、ワールドカップ遠征メンバーで上記3名の他の選手、即ち「4人目以降の選手」が確定しないことが、今シーズンもチームのアキレス腱となってしまいました。 単に団体戦の成績のみではなく、普段の個人戦の試合運びにおいても、「4人目以降の選手」達が2ndラウンドはおろか予選を通過することができないのでは、チームとして望ましい状態とは言えません。 ジュニアや少年組の若手選手の育成は推し進めて当然としても、それと同時に20代中盤の世代の選手達の中からワールドカップでの即戦力となる選手を一人でも多く育てていかなければ、今後も苦しい戦いを強いられることになります。 来シーズン以降、ワールドカップは元よりコンチネンタルカップにも積極的に選手を送り出して、選手層を厚くしていってほしいところです。

 今シーズンの海外遠征はこれで全て終了。 ワールドカップ遠征に参加していた選手は日本に戻り、3月24日〜25日に伊藤杯2連戦を行って、シーズンを締めくくることになります。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ オスロ大会■2006年3月13日
 ノルディックトーナメントの最終戦は、ノルウェーのオスロにあるホルメンコーレンのラージヒルでホルメンコーレン・スキーフェスティバル2006の競技を兼ねて行われました。 世界で最も歴史の長い国際大会といわれています。 この試合が今シーズン最後のラージヒルであり、またその結果によっては総合成績も大勢が決するとあって、気合いの入った大ジャンプが多く飛び出しました。

●3月12日 オスロ(ノルウェー) 第23戦 ラージヒル個人 HS128 [リザルト]
 この日の天候は晴れ。 気温1.0℃、雪温-3.8〜-4.3℃、風速は0.1〜3.2m/s。 近年は試合中に霧が出ることがあったこの大会ですが、今年は綺麗に晴れ渡ってくれたようです。
 優勝したのはアダム・マリシュ(POL)。 1stラウンドで130.5mを飛んで2位につけ、2ndラウンドは124.5mまで飛距離を伸ばして逆転優勝しました。 この優勝は彼にとっては今シーズン初勝利で、昨シーズンの1月に行われたリベレツ大会以来約1年2ヶ月ぶりのワールドカップ優勝となります。 2位はトマス・モルゲンシュテルン(AUT)、3位はアンドレアス・コフラー(AUT)でした。 4位にはアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)がつけ、一時はオーストリア勢による表彰台独占なるか、という雰囲気も漂いましたが、マリシュが意地を見せた形になりますね。
 日本勢では前日に行われた予選でトップの成績を出した葛西紀明(土屋ホーム)が121.5mと122.0mで14位に食い込んだのが最高。 次いで岡部孝信(チーム雪印)が119.0mと122.0mで19位に入りました。 以下、東輝(日本空調サービス)が41位、一戸剛(アインズ)が47位で、この両名は2ndラウンドに進めず。 伊東大貴(土屋ホーム)は予選を通過することが出来ませんでした。

 この試合をもってノルディックトーナメントの総合成績が確定しました。 上位選手と日本人選手の成績は次のようになりました。
 1. Thomas Morgenstern (AUT)     1094.4
 2. Andreas Kuettel (SUI)        1079.9
 3. Janne Happonen (FIN)         1074.9
 4. Andreas Kofler (AUT)         1068.8
 5. Adam Malysz (POL)            1068.7
 6. Jakub Janda (CZE)            1067.5
 7. Bjoern Einar Romoeren (NOR)  1059.2
 8. Andreas Widhoelzl (AUT)      1056.9
 9. Martin Koch (AUT)            1044.5
10. Michael Uhrmann (GER)        1042.2
11. Matti Hautamaeki (FIN)       1029.8
12. Tami Kiuru (FIN)             1020.9
13. Lars Bystoel (NOR)           1016.9
14. 岡部孝信 (チーム雪印)        1016.6
15. 葛西紀明 (土屋ホーム)        1012.6
28. 伊東大貴 (土屋ホーム)         603.3
42. 一戸剛 (アインズ)             337.5
43. 東輝 (日本空調サービス)       334.5
 ワールドカップ総合成績は第23戦を終えたところで、1位がヤクブ・ヤンダ(CZE)(1149)、2位がヤンネ・アホネン(FIN)(974)、3位がアンドレアス・キュッテル(SUI)(908)です。 1位のヤンダと2位のアホネンとのポイント差は現在175。 今シーズンの試合は次に控えるプラニツァのフライングヒル個人戦2戦のみですので、アホネンが逆転する可能性はまだゼロではありませんが、ヤンダの総合優勝がだいぶ現実味を帯びてきました。 日本勢は岡部孝信(チーム雪印)(462)が13位、葛西紀明(土屋ホーム)(246)は18位、伊東大貴(土屋ホーム)(234)は21位となっています。 プラニツァ大会の結果如何で、順位が更に変動する可能性があります。
 国別成績は、オーストリア(3307)が遂にトップに立ちました。 2位にはフィンランド(3210)、3位はノルウェー(3124)です。 日本(1546)は依然として6位ですが、5位のスイス(1569)との差は若干縮まりました。 プラニツァ大会での巻き返しと逆転を期待したいところです。

 今シーズンのワールドカップは、あとは次週のプラニツァ大会を残すのみ。 HS215のフライングヒルを使って個人戦が2戦予定されています。 昼を過ぎたら風が強くなってしまうというこのシャンツェ独特の風の条件から、競技は当地の午前中から始められます。 TVの生中継が日本では無いのが残念ですが、シーズンの最後を飾るアーチ合戦を楽しみにしたいと思います。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ リレハンメル大会■2006年3月11日
 ノルディックトーナメントは3戦目からノルウェーに舞台を移します。 ワールドカップ第22戦を兼ねたラージヒル個人戦が、3月10日にリレハンメルで行われました。 今シーズン初めの12月に、トロンハイムで開催予定だった試合が雪不足のためにリレハンメルに会場を変更して開催されていますので、今シーズンはリレハンメルで開催される3戦目のワールドカップとなります。

●3月10日 リレハンメル(ノルウェー) 第22戦 ラージヒル個人 HS134 [リザルト]
 ナイトゲームで行われたこの試合。 天候は快晴、気温-1.7〜-6.8℃、雪温は-8.9℃。 風速は0.7〜2.9m/sとなっていますが、試合の流れをデータで見る限りでは、この数値で表される以上に風向きの変化が極端だったような印象があります。 特に2ndラウンドでは強い追い風が吹いていた模様です。
 優勝したのはトマス・モルゲンシュテルン(AUT)。 1stラウンドでこの日の最長不倒距離となる138.0mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドも132.0mまで飛距離を伸ばして今シーズンのワールドカップ個人戦初勝利を収めました。 彼のワールドカップ個人戦の優勝は、2003年1月のリベレツ大会以来約3年ぶり2回目となります。 2位は2ndラウンドで135.0mを飛んで7位から順位を上げたビョルン・アイナー・ルメレン(NOR)、3位はアンドレアス・コフラー(AUT)でした。 ワールドカップ総合成績トップのヤクブ・ヤンダ(CZE)は17位、前のクォピオ大会を欠場したヤンネ・アホネン(FIN)は25位に終わりました。
 日本勢では葛西紀明(土屋ホーム)が130.5mと130.0mを飛んで13位に入ったのが最高順位。 ここ数試合はトレーニング、予選で良いジャンプを見せても本番で1本は失敗する、というパターンが続いていた葛西ですが、この日はしっかりと2本揃えてきました。 続いて岡部孝信(チーム雪印)が132.0mと129.5mで14位。 伊東大貴(土屋ホーム)は1stラウンドで137.0mを飛んで5位につけましたが、2ndラウンドで116.5mに終わり、24位でした。 東輝(日本空調サービス)は31名が進んだ2ndラウンドで31位となり、惜しくもワールドカップポイント獲得には至りませんでした。 一戸剛(アインズ)は50位で、2ndラウンドに進むことができませんでした。

 第22戦までを終えて総合成績は、1位がヤクブ・ヤンダ(CZE)(1104)、2位がヤンネ・アホネン(FIN)(952)、3位がアンドレアス・キュッテル(SUI)(879)です。 岡部孝信(チーム雪印)(450)は13位、伊東大貴(土屋ホーム)(234)は18位、葛西紀明(土屋ホーム)(228)は順位を一つあげて19位です。 国別成績は、フィンランド(3083)がトップ、2位にはオーストリア(3069)が上がり、ノルウェー(3033)が3位に後退しました。 個人総合成績の争いよりも順位変動が激しくなっています。 日本(1516)はスイス(1540)に次いで6位。 この後の試合の成績如何では、5位に上がれる可能性はまだまだあります。
 ノルディックトーナメントは、1位がトマス・モルゲンシュテルン(AUT)(817.5)、2位がアンドレアス・キュッテル(SUI)(813.9)、3位がヤンネ・ハッポネン(FIN)(804.8)。 岡部孝信(766.8)は12位、葛西紀明(755.3)は17位、伊東大貴(603.3)は24位です。

 次の試合はノルディックトーナメント最終戦。 ノルウェーの首都オスロで、伝統ある「ホルメンコーレン国際ジャンプ大会」としてラージヒル個人戦が行われます。 またこの試合は、今シーズンのワールドカップでは最後のラージヒルとなります。 近年は濃霧など気象条件の悪さに悩まされることが多いホルメンコーレン大会ですが、今年の天候は大丈夫でしょうか。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ クォピオ大会■2006年3月8日
 ノルディックトーナメント2戦目としてラハティ大会から連戦で臨むのは、クォピオ大会。 ラハティと同じように異なる大きさのシャンツェが3基併設されているこのクォピオで、今回使用するのはHS127のラージヒル。 追い風が強く吹くことでも有名で、小振りなヒルサイズの割には難易度が高い台です。

●3月7日 クォピオ(フィンランド) 第21戦 ラージヒル個人 HS127 [リザルト]
 この日の天候は快晴。 気温-13.0〜-14.0℃、雪温-14.0〜-15.0℃、風速は0.1〜1.1m/s。 フィンランドの国土の中央付近に位置するクォピオは、3月とはいえ相当な冷え込みです。 雪が固く締まっていたためか、予選ではランディングバーンでスキーを取られて転倒する選手も出た模様です。
 優勝したのはアンドレアス・キュッテル(SUI)。 1stラウンドでこの日の最長不倒距離132.0mをマークしてトップに立つと、2ndラウンドも129.0mまで飛距離を伸ばして、今シーズン3勝目を飾りました。 2位はトリノ五輪ラージヒルの覇者トマス・モルゲンシュテルン(AUT)、3位はアダム・マリシュ(POL)でした。 マリシュは今シーズン初めての表彰台です。 フィンランドのエース、ヤンネ・アホネンは、この試合を欠場しました。
 日本勢は伊東大貴(土屋ホーム)が126.0mと127.0mを飛んで15位に入ったのが最高。 以下、岡部孝信(チーム雪印)が127.0mと126.0mで16位、葛西紀明(土屋ホーム)が126.0mと122.0mで19位でした。 一戸剛(アインズ)は46位で2ndラウンドに進めずに終わり、東輝(日本空調サービス)は予選を通過することが出来ませんでした。

 第21戦までを終えて総合成績は、1位がヤクブ・ヤンダ(CZE)(1090)、2位がヤンネ・アホネン(FIN)(946)、3位がアンドレアス・キュッテル(SUI)(839)です。 岡部孝信(チーム雪印)(432)は順位を下げて13位、伊東大貴(土屋ホーム)(227)は18位、葛西紀明(土屋ホーム)(208)は20位です。 国別成績は、フィンランド(3026)がトップ、2位はノルウェー(2963)、3位はオーストリア(2851)です。 日本(1471)はスイス(1484)に抜かれて6位に順位を下げてしまいました。
 ノルディックトーナメントの総合順位は、トップがアンドレアス・キュッテル(SUI)(537.6)、2位がヤンネ・ハッポネン(FIN)(529.9)、3位がヤクブ・ヤンダ(CZE)(528.6)となっています。 日本勢では岡部孝信(496.6)の14位が最高です。

 次の試合はノルウェーのリレハンメルで、3月10日にHS134のラージヒルを使って個人戦が行われます。 今シーズンは、序盤のワールドカップで雪不足のトロンハイムの代替開催としてリレハンメルのラージヒルを使っており、同じシーズンにワールドカップが二度開催される珍しい事態となります。 過密スケジュールで選手達の疲労も極限に達しているかもしれませんが、白熱した展開の試合はこの先も続きそうです。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ ラハティ大会■2006年3月6日
 トリノ冬季オリンピックが終了し、約一ヶ月間中断していたワールドカップが再開されました。 場所はフィンランドのスキージャンプ競技のメッカ、ラハティです。 HS130のラージヒルを使って、団体戦と個人戦を1戦ずつ行いました。 個人戦は、フィンランドとノルウェーの4カ所のシャンツェを転戦して総合成績を競う「ノルディックトーナメント」の緒戦でもあります。 シーズン最後を締めくくるピリオドですので、総合成績争い、次シーズンを見越したポイント獲得競争など、ノルディックトーナメントの結果以外にも注目すべき点はありますね。

 日本チームは、岡部孝信(チーム雪印)/伊東大貴(土屋ホーム)/葛西紀明(土屋ホーム)/一戸剛(アインズ)/東輝(日本空調サービス) の5名を派遣し、このメンバーでシーズン最終戦まで戦うことになります。

●3月4日 ラハティ(フィンランド) 第19戦 ラージヒル団体 HS130 [リザルト]
 ナイトゲームで行われた団体戦。 この日の天候は曇り空で、時々雪がちらついていた模様。 気温-9.0℃、雪温-16.0〜-16.5℃、風速は1.7〜4.8m/sと、風が強いラハティのシャンツェ特有の気象条件だったようです。 全12チームが参加して競技が行われました。
 優勝したのはオーストリア(ヴィドヘルツル/コフラー/コッホ/モルゲンシュテルン)。 第1グループのヴィドヘルツルの大ジャンプで他チームを大きくリードし、好調なコフラー、コッホと繋ぎ、第4グループでは飛型点が高く安定感も抜群のモルゲンシュテルンが”とどめを刺す”という、典型的な先行逃げ切り型の布陣です。 ヴィドヘルツルが135.5mの最長不倒距離を飛ぶなど、K点を大きく越える飛距離を多数叩き出して、完勝しました。 2位はノルウェー(ルメレン/インゲブリットセン/ビストール/ヨケルソイ)。 トリノのメダリスト、ビストールとヨケルソイの追い上げが見事でした。 3位は地元フィンランド(ハッポネン/ユシライネン/アホネン/M.ハウタマキ)でした。
 日本(伊東/一戸/葛西/岡部)はドイツ、スイスなどと激しい4位争い。 2ndラウンドでは伊東が128.0m、葛西が127.5mを飛ぶなど健闘し、4位に入賞しました。

●3月5日 ラハティ(フィンランド) 第20戦 ラージヒル個人 HS130 [リザルト]
 ノルディックトーナメントの緒戦となるラージヒル個人戦。 この日の天候は曇り、気温-5.5〜-6.0℃、雪温-12.5〜-13.0℃、風速0.6〜3.9m/s。 1stラウンドが途中でキャンセルされるなど、風の条件が落ち着かない厳しい試合だったようです。 優勝はヤンネ・ハッポネン(FIN)。 124.0mと129.0mを飛んで、自身初めてのワールドカップの優勝です。 フィンランドナショナルチームにまた頼もしい新人が増えたことになりますね。 2位は1stラウンドで128.0mを飛んでトップに立っていたヤクブ・ヤンダ(CZE)、3位はミヒャエル・ウアマン(GER)でした。 地元開催で優勝も期待されたヤンネ・アホネン(FIN)は1stラウンドの失敗ジャンプが響き、20位に終わりました。
 日本勢は岡部孝信(チーム雪印)が123.0mと117.5mを飛んで12位に入ったのが最高。 葛西紀明(土屋ホーム)は120.5mと116.5mで19位でした。 一戸剛(アインズ)は32位、伊東大貴(土屋ホーム)は34位で、この2名は2ndラウンドに進めず。 東輝(日本空調サービス)は予選を通過することが出来ませんでした。

 第20戦までを終えて総合成績は、1位がヤクブ・ヤンダ(CZE)(1058)、2位がヤンネ・アホネン(FIN)(946)、3位がアンドレアス・キュッテル(SUI)(739)となりました。 岡部孝信(チーム雪印)(417)は11位、伊東大貴(土屋ホーム)(211)は18位、葛西紀明(土屋ホーム)(196)は19位です。 国別成績は、フィンランド(2926)がトップ、2位はノルウェー(2771)、3位はオーストリア(2676)。 日本(1428)は5位で、4位のドイツとは250ポイントの差があります。

 ラハティ大会が終わってすぐに、選手達は次の試合が行われるフィンランドのクォピオに向かいます。 3月7日にノルディックトーナメント2戦目となるラージヒル個人戦が行われます。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■トリノ冬季オリンピック ラージヒル団体■2006年2月19日
 トリノ冬季オリンピック、スキージャンプ種目の最後を飾るのはラージヒル団体戦です。 オリンピックで行われる団体戦としては過去最多となる16カ国がエントリーして、チームの総合力を競いました。 日本チームはラージヒル個人戦と同じメンバーをエントリーし、伊東大貴(土屋ホーム)/一戸剛(アインズ)/葛西紀明(土屋ホーム)/岡部孝信(チーム雪印) のオーダーで本戦に臨みました。

●2月20日 ラージヒル団体 HS140 [リザルト]
 この日の競技もナイトゲームで行われました。 トライアルラウンドから1stラウンドの前半にかけては霧が立ちこめていましたが、気温が下がり始めるとその霧も晴れて、追い風基調ながらも比較的安定した天候になったようです。 公式記録によるとこの日の天候は曇り、気温は-3.8〜-4.8℃、雪温は-2.3〜-4.1℃、風速は0.2〜2.8m/s。 カンテスピードは選手によっては97km/h台が出る高速設定でしたが、高地の薄い空気と追い風の影響はここでも大きかったようで、K点に達しないジャンプも多く見られました。

 この団体戦を制したのは、オーストリア(ヴィドヘルツル/コフラー/コッホ/モルゲンシュテルン)。 ラージヒルのメダリストを2人揃えて臨んだ試合で、実力通りの大ジャンプを連発。 2ndラウンド最終ジャンパーとなったトマス・モルゲンシュテルンは140.5mを飛んで、息づまるような激しい上位争いに決着をつけました。 オリンピックの団体戦でオーストリアが優勝したのはこれが初めてです。 2位はフィンランド(キウル/ハッポネン/アホネン/M.ハウタマキ)、3位はノルウェー(ビストール/ルメレン/インゲブリットセン/ヨケルソイ)でした。 上位3チームの実力は伯仲しており、どのチームが勝ってもおかしくない状況ではありましたが、調子を落としている選手がいなかったオーストリアが安定感では頭抜けていた形です。

 日本チームはノーマルヒル個人戦と同様に随所に固さが見られ、4名8本のジャンプのうちK点を越えたのは2ndラウンドの葛西紀明(130.5m)と岡部孝信(132.0m)の2本だけと奮わず、6位に終わりました。 ユリアンティラ・ヘッドコーチが当初立てていた「6位入賞」の目標は達成したものの、本番の大舞台で各々が持てる実力を十分発揮しきれない「脆さ」が露呈しました。



 マスコミや世間の注目度の高さ故に起こる「悲喜交々」はオリンピックにはつきものですが、今大会のメダリストの顔ぶれを見ると、前評判の高い実力者と上り調子な若手選手の明暗の対比が大きかったように思います。 特にワールドカップ総合成績1位(ヤクブ・ヤンダ(CZE))と2位(ヤンネ・アホネン(FIN))の二人は、シーズンここまでの成績からすればメダルに手が届く最有力候補であったにもかかわらず、いざ本番ではそれが叶わず、多くのファンを落胆させました。 それとは正反対に、ラース・ビストール(NOR)やトマス・モルゲンシュテルン(AUT)、アンドレアス・コフラー(AUT)らの好調さは群を抜いており、オリンピック期間にぴったりピークが合った彼らのジャンプはいずれも素晴らしい内容でした。 「高地・追い風」というシャンツェ特有の難条件もジュリーの絶妙なゲート設定でカバーして、結果的にこのオリンピックのスキージャンプ種目は大成功に終わったと言っていいでしょう。

 一方日本チームは、一言で表現するなら「不完全燃焼」という言葉が最も妥当でしょうか。 TVの画面で見ている限りでは、どの選手も100%の力を出し切れておらず(それはジャンプの動作の端々に垣間見えます)、技術面だけではなく大舞台でのメンタルコントロールの面でも諸外国の強豪選手とは開きがあることが再認識される結果となりました。 2010年バンクーバー冬季五輪に向けて強化策を始動させた最初のシーズン、何とも厳しいオリンピックだったということになるでしょうか。

 3月に入ってから、オリンピック開催のために中断されていたワールドカップが再開されます。 まずはフィンランドのラハティでラージヒル団体戦と個人戦を1試合ずつ。 シーズン終盤恒例のノルディックトーナメントの開幕大会でもありますから、オリンピックに勝るとも劣らぬレベルの高い試合になることでしょう。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■トリノ冬季オリンピック ラージヒル個人■2006年2月19日
 トリノ冬季オリンピック、スキージャンプ種目の2試合目はラージヒル個人戦です。 使用するプラジェラートのラージヒルは、K点が125m、HSは140mと、ラージヒルの中では大きめの部類に入る台です。 ノーマルヒルと同じようにナイトゲームで競技が行われました。

 4人目の選考が話題になる日本チームは、17日の予選の直前に行われた公式練習の結果から、一戸剛(アインズ)をエントリーしました。 予選では日本勢4名ともが決勝進出を決めて、ノーマルヒルで力を出し切れなかった雪辱を期します。

●2月18日 ラージヒル個人 HS140 [リザルト]
 この日の天候は曇り、気温は-0.7〜-1.1℃、雪温は-2.6〜-3.7℃、風速は0.6〜3.2m/s。 終始追い風が吹く条件はノーマルヒルと同様でしたが、風向の表示を見ている限りではノーマルヒルよりも風向きの変化は少なく、突発的に横風に煽られたりする選手はいなかったように思います。

 この日優勝したのはトマス・モルゲンシュテルン(AUT)。 1stラウンドで133.0mを飛んで2位につけると、2ndラウンドではこの日の最長不倒距離となる140.0mを飛んで逆転、オーストリアにアルベールヴィル大会以来4大会ぶりのスキージャンプ種目の金メダルをもたらしました。 2位は1stラウンドで134.0mを飛んでトップに立っていたアンドレアス・コフラー(AUT)。 2ndラウンドも139.5mを飛んでモルゲンシュテルンに迫りましたが、ランディングが決まらずに僅か0.1ポイント差で2位にとどまりました。 3位はノーマルヒル個人戦の覇者ラース・ビストール(NOR)。 127.5mと131.0mを飛んでこの日も安定感は抜群でした。

 ワールドカップ総合トップのヤクブ・ヤンダ(CZE)はこの日も低調なジャンプが続き、122.0mと128.0mで10位に終わりました。 ヤンネ・アホネン(FIN)は123.5mと128.5mで9位となり、今大会でも個人戦のメダルには手が届かず終わってしまいました。 オリンピックで勝つことの難しさが再認識された結果となりました。

 日本勢で最も成績が良かったのは岡部孝信(チーム雪印)。 125.0mと128.5mを飛んで8位に入賞しました。 以下、葛西紀明(土屋ホーム)が120.0mと128.5mで12位、一戸剛(アインズ)は122.5mと115.5mで25位でした。 伊東大貴(土屋ホーム)は1stラウンドで飛距離が伸ばせず、42位となって、2ndラウンドに進むことができませんでした。

 カンテでの平均時速が95km/hを越える高速設定で行われたラージヒル個人戦。 風向きの変化が少なかったためか、追い風であっても競技中断はほとんど無く、HSを大きく越える選手も転倒する選手も出ませんでしたから、今回のジュリーのゲート設定は大成功だったといえるでしょう。 優勝したモルゲンシュテルンは今季のワールドカップの勝利がありませんが、ラージヒルの公式練習から大ジャンプを連発していて、決勝でも非常に完成度の高いジャンプを見せました。 2位に入ったコフラー共々、オリンピックの試合で久しぶりに「強いオーストリア」を見せてくれましたね。 次に控えるラージヒル団体戦でも、彼ら二人のジャンプはオーストリアにとって強力な武器となるでしょう。

 3位に入ったビストールも見事なジャンプ。 4位にはロアー・ヨケルソイ(NOR)が入賞しており、オーストリアと並んでノルウェーも団体戦では優勝候補となりますね。 一方、アホネンとヤンダのメダル獲得は、このラージヒル個人戦でも実現しませんでした。 史上初のジャンプ週間同点総合優勝を決めたこの二人は、結果的にオリンピックにピークを持ってくることができなかったということになります。 4年に一度という特殊な環境で行われる試合に勝つことがいかに難しいか、この二人のリザルトがそれを示しています。

 日本勢はメダルに手は届かなかったものの、緊張で凝り固まっていた雰囲気のノーマルヒル個人戦よりも、はるかに落ち着いたジャンプができていたように思います。 8位入賞を決めた岡部の1stラウンドのジャンプと、12位の葛西が飛んだ2ndラウンドのジャンプは、現在彼らが持っている技術力の高さが存分に発揮されたものでした。 25位の一戸も難しい条件下で良いジャンプを決めましたし、ノーマルヒルと比べて各選手がそれぞれ自分のやるべきことをしっかりこなせたという印象が強い試合でした。 残念だったのは2ndラウンドに進めなかった伊東。 1stラウンドのジャンプは悪い内容ではありませんでしたが、3m/s近い強い追い風が吹く難条件では、K点に届くジャンプは至難の業だったということでしょう。

 次の試合はオリンピックのスキージャンプ種目の最後を締めくくるラージヒル団体戦。 一国4人ずつがエントリーして、2本ずつ計8本のジャンプの合計ポイントを競います。 現地時間2月20日の18時から競技開始です。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■トリノ冬季オリンピック ノーマルヒル個人■2006年2月13日
 今シーズン最大規模の大会となるトリノ冬季オリンピックが開幕しました。 このオリンピックのために昨年新設されたプラジェラートのシャンツェで、ノーマルヒル個人・ラージヒル個人・ラージヒル団体の3種目を行います。 最初に行われるのはノーマルヒル個人戦です。

 開会式の翌日に行われた予選では、葛西紀明(土屋ホーム)が絶好調。 100mを越えるジャンプを連発した公式練習の勢いそのままに、シード権を持っていない選手の中では最高の成績となる4位で予選を通過、本戦での活躍が期待されました。 伊東大貴(土屋ホーム)は17位で予選を通過し、シード権を持つ岡部孝信(チーム雪印)と共に本戦出場を決めました。 公式練習の結果で好調さを買われて「4人目」の参加選手の座を射止めた原田雅彦(チーム雪印)は、予選のジャンプが終わった後に行われた体重検査で規定体重よりも軽かったことが判明し、失格となりました。
 外国勢ではシーズン通じて好調なアンドレアス・キュッテル(SUI)とアンドレアス・コフラー(AUT)が同ポイントで予選トップ。 ヤンネ・アホネン(FIN)が3位に続き、アダム・マリシュ(POL)が5位に食い込むなど、お馴染みの強豪選手の名前が軒を連ねました。 一方で、ワールドカップ総合成績トップのヤクブ・ヤンダ(CZE)は安定感を欠き、ワールドカップで上位に顔を見せる機会が少なかったロシアの選手達がこぞって飛距離を伸ばしてくるなど、波乱を予感させる兆候も見られました。

 競技はオリンピックのスキージャンプ種目としては珍しく、全てナイトゲームで行われました。

●2月12日 ノーマルヒル個人 HS106 [リザルト]
 この日の気温は-5.0〜6.9℃、雪温-9.6〜-9.9℃、風速は0.1〜2.1m/s。 追い風基調のシャンツェであること、標高が高く風圧を小さく感じるために飛距離が伸びにくいことなどから、普段のワールドカップやコンチネンタルカップよりも高速の設定で競技が進められました。 人工雪を貼り付けたランディングバーンで、着地の際にスキー板をとられる選手もいて、高い技術が要求される試合となりました。

 優勝したのはラース・ビストール(NOR)。 1stラウンドで101.5mを飛んで6位につけると、2ndラウンドでは103.5mまで飛距離を伸ばして勝利をさらいました。 ワールドカップでは今シーズンのジャンプ週間で1勝したことがあるだけの「ダークホース」的な選手ですが、オリンピックの本番にしっかりピークを合わせてきたのは見事です。 2位は1月後半から絶好調なマッティ・ハウタマキ(FIN)、3位はロアー・ヨケルソイ(NOR)でした。

 ワールドカップで数々の勝利を挙げ、今回のオリンピックでも優勝候補の筆頭だったヤンネ・アホネン(FIN)は6位、今シーズンのワールドカップで個人総合トップのヤクブ・ヤンダ(CZE)は13位と、二人ともメダルには届きませんでした。 1stラウンドで104.5mを飛んでトップだったドミトリ・ワシリエフ(RUS)は、2ndラウンドで飛距離が伸びず10位に終わりました。

 日本勢は伊東大貴(土屋ホーム)が100.0mと96.0mで18位に入ったのが最高順位。 葛西紀明(土屋ホーム)は100.0mと95.5mで20位、岡部孝信(チーム雪印)は96.5mと94.5mで23位に終わりました。 緊張のために力んでしまったのか、3選手とも固さが見られるジャンプでした。

 次はラージヒル個人。 HS140のラージヒルを使って、2月17日に予選、同18日に決勝を行います。 当初ノーマルヒル限定の出場と報道されていた原田雅彦(チーム雪印)もラージヒルの公式練習には参加するようで、一戸剛(アインズ)、伊藤謙司郎(下川商業高)らとともに再び「4人目の座」をかけた争いが繰り広げられることになりそうです。 ノーマルヒルで実力を出し切れなかった選手達にも、ラージヒルでの雪辱を期待しましょう。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ ヴィリンゲン大会■2006年2月6日
 トリノ冬季五輪を目前に控えたこの時季、ワールドカップはドイツのヴィリンゲンで個人戦と団体戦を行い、その後は五輪終了後まで一旦中断されます。 毎年ジャンプ週間の4試合に次ぐ優勝賞金が出るヴィリンゲン大会ですから、ヨーロッパでの注目度も重要度も相当なものがあると思われます。 日本チームはトリノ五輪代表の 岡部孝信(チーム雪印)/葛西紀明(土屋ホーム)/伊東大貴(土屋ホーム)/一戸剛(アインズ) の4名で臨みました。 風の変化が激しいことでも有名なシャンツェなので、良い風に恵まれたかそうでないかで明暗が分かれる試合となったようです。

●2月4日 ヴィリンゲン(ドイツ) 第17戦 ラージヒル個人 HS145 [リザルト]
 この日の天候は若干の雪。 気温は0.1〜0.3℃、雪温は-0.1℃、風速は0.3〜2.8m/sと、気温が高く風の変化が激しい難しい条件だった模様です。 1stラウンドでは風の条件が悪かったためか、スタート順前半25名の選手の記録がキャンセルとなり、飛び直しになりました。
 優勝したのはアンドレアス・コフラー(AUT)。 1stラウンドで143.0mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドも138.5mまで飛距離を伸ばして逃げ切りました。 コフラーはこれがワールドカップ初勝利となります。 2位は2ndラウンドで最長不倒距離の145.0mを飛んだトマス・モルゲンシュテルン(AUT)、3位はアンドレアス・キュッテル(SUI)でした。
 日本勢は伊東大貴(土屋ホーム)が1stラウンドで136.0mを飛んで2位につけましたが、優勝争いをする強豪選手が140m前後まで飛距離を伸ばしてきた2ndラウンドでは135.0mに終わり、惜しくも表彰台には届かず4位となりました。 岡部孝信(チーム雪印)は127.5mと137.5mで12位。 1stラウンドで風の条件が悪くなったところでスタートのタイミングを待たされたのは、不運だったかもしれません。 以下、葛西紀明(土屋ホーム)は21位、一戸剛(アインズ)は28位で、エントリーした4名全員がワールドカップポイントを獲得することができました。

●2月5日 ヴィリンゲン(ドイツ) 第18戦 ラージヒル団体 HS145 [リザルト]
 ワールドカップの試合として行われる今シーズン初の団体戦です。 この日の天候は曇り。 気温は-1.2〜-1.6℃、雪温-0.3〜-0.8℃、風速は0.1〜2.1m/sと、この日の風の条件も穏やかとは言い難い激しい変化があったようです。
 優勝したのはフィンランド(キウル/ハッポネン/M.ハウタマキ/アホネン)。 全員が失敗のないジャンプを揃え、トップで折り返した1stラウンドのリードを守りきりました。 2位はオーストリア(コフラー/ヴィドヘルツル/コッホ/モルゲンシュテルン)、3位はノルウェー(ルメレン/ビストール/ペテルセン/ヨケルソイ)でした。 日本は 伊東/一戸/葛西/岡部 のオーダーで臨み、5位に入りました。

 個人第17戦までを終えて総合成績は、ヤクブ・ヤンダ(CZE)(978)が1位、ヤンネ・アホネン(FIN)(935)が2位、アンドレアス・コフラー(AUT)(689)が3位となっています。 日本勢は岡部孝信(チーム雪印)(395)が11位でシード権を確保、伊東大貴(土屋ホーム)(211)が17位、葛西紀明(土屋ホーム)(184)が18位です。 一戸剛(アインズ)(34)は今季4試合目のポイント獲得で47位です。
 国別成績はフィンランド(2464)が1位、ノルウェー(2353)が2位、3位はオーストリア(2151)と続き、日本(1144)は6位につけています。

 現在ワールドカップで使用されているラージヒルの中では最も大きなヴィリンゲンのシャンツェ。 スケールの大きさが人気の大会ですが、風の変化が激しいことでも有名で、飛ぶ時の条件によっては順番が一人違うだけで数十mもの差がつくことも珍しくありません。 今大会でも風の運不運に泣かされた選手は非常に多かったようです。 幸い本戦で転倒した選手はおらず、トリノ冬季五輪の開幕を一週間後に控えた”力試し”の大会としてはなかなか興味深い結果に終わったと言えるでしょう。
 個人戦で優勝したコフラーは、これが自身初のワールドカップ優勝。 選手層の厚いオーストリアではモルゲンシュテルンらと共に五輪ではチームの中軸となって活躍すると思われます。 他にも、ヤンダやアホネン、ヨケルソイら個人総合成績上位の選手達も揃って大きなジャンプを見せており、五輪本戦でもこれらの選手が試合の流れを作っていくと予想されます。
 日本勢では伊東大貴がトレーニング、予選、本戦を通じて好調で、個人戦では4位に入賞する健闘を見せました。 相変わらずの安定感が頼もしい岡部孝信と共に、五輪で大暴れしてくれることを期待したいところです。 一方、今大会で今ひとつ精彩を欠いたのが葛西紀明。 二日間でK点(=130m)を越えたジャンプは個人戦トレーニングの1本だけで、五輪に向けての調整途上であるのか、調子が悪い部分があるのか、観客としては少々気になるところではあります。 少しずつ調子が上向いてきた一戸剛や、世界ジュニア選手権に参加している伊藤謙司郎、国内で調整を続ける原田雅彦ら、他の代表選手達と足並みが上手く揃い、五輪ではチーム一丸となって戦い、且つ個々の選手がそれぞれにベストのジャンプを見せてほしいものです。

 トリノ冬季五輪のスキージャンプ種目は、2月11日に行われるノーマルヒル個人戦の予選を皮切りに2月20日のラージヒル団体戦まで、予選を含めると計5試合。 いずれも現地時間18時以降の開始となるナイトゲーム主体のスケジュールです。 今シーズン最大の”山場”まであと少し、緊張感がいよいよ高まってきました。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■国内公式戦 1月28日〜2月5日■2006年2月6日
 ワールドカップ札幌大会が終わり、いよいよトリノ冬季五輪に向けて秒読みの段階となりました。 国内公式戦はトリノ代表選手の多くを遠征と調整のために欠き、トリノの先の目標に向かって歩み始める選手達が鎬を削る試合になります。 大倉山のラージヒルを中心に、一シーズンにおいてウェイトの大きな試合が続きました。

●1月28日 第84回全日本スキー選手権大会(ノーマルヒル競技)
宮の森ジャンプ競技場 ノーマルヒル HS100

 全日本選手権のノーマルヒルはお馴染み宮の森シャンツェで。 91.5mを93.0mを飛んだ宮平秀治(ミズノ)が優勝しました。 2位は2ndラウンドでこの日の最長不倒距離98.5mを飛んだ渡瀬雄太(チーム雪印)、3位は坂野幸夫(チーム雪印)でした。
 女子はエース山田いずみ(ロイズ)が95.0mと87.5mを飛んで優勝しました。

●1月29日 第84回全日本スキー選手権大会(ラージヒル競技)兼第47回NHK杯ジャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒル HS134

 NHK杯を兼ねて行われた全日本選手権ラージヒル。 優勝したのは128.0mと131.0mを飛んだ吉岡和也(土屋ホーム)でした。 2位は飛型点で僅かに及ばなかった宮平秀治(ミズノ)、3位は坂野幸夫(チーム雪印)でした。
 女子は116.0mと110.0mを飛んだ山田いずみ(ロイズ)がノーマルヒルに続いて連勝しました。

●2月4日  第18回UHB杯ジャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒル HS134

 降雪のため競技は中止となりました。

●2月5日 札幌スキー連盟会長杯ジャンプ大会兼第17回TVh杯ジャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージルヒル HS134

 この日の優勝は東輝(日本空調サービス)。 129.0mと133.0mを飛んで、TVh杯3連勝を飾りました。 2位は吉岡和也(土屋ホーム)、3位は宮平秀治(ミズノ)でした。
 女子は山田いずみ(ロイズ)が怪我で欠場。 葛西賀子(日本空調サービス)が122.0mと113.0mを飛んで優勝しました。


■FISワールドカップスキージャンプ ザコパネ大会■2006年1月30日
 ワールドカップは札幌大会を終えてまたヨーロッパに戻ります。 ポーランドのザコパネでラージヒル個人戦が2戦行われました。 日本チームはこの大会に参加しませんでしたが、札幌大会に参加したノルウェー勢などは引き続いてザコパネ大会にもエントリーしています。

●1月28日 ザコパネ(ポーランド) 第15戦 ラージヒル個人 HS134 [リザルト]
 大会一日目の競技は、天候快晴、気温は-0.8〜-1.8℃、雪温は-1.7〜-3.2℃、風速は0.1〜2.0m/s。 転倒者はあったものの、条件はさほど悪くはなかったようです。 この日の優勝はマッティ・ハウタマキ(FIN)。 1stラウンドで132.0mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドでも131.5mを飛んで逃げ切りました。 以下、2位はタミ・キウル(FIN)、3位はヤンネ・アホネン(FIN)と、表彰台をフィンランド勢が独占。 地元ポーランドのエース、アダム・マリシュ(POL)は4位に終わりました。

●1月29日 ザコパネ(ポーランド) 第16戦 ラージヒル個人 HS134 [リザルト]
 この日の天候は曇り。 気温-1.7〜-2.2℃、雪温-3.3〜-3.8℃、風速は0.1〜1.2m/s。 前日と比べて条件は良かったようで、スタートゲートも2段下げて競技が行われました。 優勝はマッティ・ハウタマキ(FIN)。 133.0mと132.0mを飛び、どちらのラウンドもトップのポイントで連勝しました。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はトマス・モルゲンシュテルン(AUT)でした。 アダム・マリシュ(POL)は今ひとつ飛距離が伸びず、128.0mと127.0mで14位に終わりました。

 個人第16戦までを終えて総合成績は、1位がヤクブ・ヤンダ(CZE)(946)、2位はヤンネ・アホネン(FIN)(895)、3位はロアー・ヨケルソイ(NOR)(664)です。 今大会に参加していない日本勢はポイントの加算がありませんが、岡部孝信(チーム雪印)(373)は11位で予選免除のシード権を確保しています。 国別成績はトップ争いが熾烈になってきて、現在1位はノルウェー(1968)、2位はフィンランド(1950)、3位はオーストリア(1571)となっています。 日本(859)の順位は7位になりました。

 次週はドイツのヴィリンゲンに舞台を移し、HS145の特大のラージヒルで個人戦と団体戦を1試合ずつ行う予定です。 トリノ冬季五輪直前の大会で日本チームも参加しますし、優勝賞金の金額の高い大会でもありますので(笑)、非常に盛り上がる試合になると予想されます。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ 札幌大会■2006年1月27日
 2007年にはノルディックスキー世界選手権の開催が決まっている札幌。 今シーズンのワールドカップ札幌大会は、その世界選手権のプレシーズンマッチを兼ねています。 トリノ冬季五輪に向けた調整のために、ヨーロッパ各国の強豪選手の多くが欠場する中、エース格の選手も参加したノルウェーやオーストリアを日本勢がどのように迎え撃つか、という構図になりますね。 日本勢は、五輪代表選手を含む12名の選手がエントリーし、地元開催の地の利を活かして少しでも多くワールドカップポイントを稼いでおきたいところです。

 この大会は、私も現地に観戦に行って参りました。

●1月21日 札幌/大倉山(日本) 第13戦 ラージヒル個人 HS134 [リザルト] [フォトレポート]
 夕方から行われた個人第13戦。 この日の天候は小雪が舞う程度の雪。 気温は低く-8.5〜-9.4℃、雪温は-9.4〜-9.5℃、風速は0.2〜2.7m/s。 トライアルラウンドと1stラウンドでは雪の影響は全くないと言って良く、向かい風の強弱が若干ある程度の比較的安定した条件でしたが、2ndラウンドになってからは雪の降りが強くなり、条件は厳しくなりました。 スロースピード設定の中、いかに正確且つ強いサッツができるか、選手達の技量が強く問われる試合内容であったと思います。
 この日の優勝はビョルン・アイナー・ルメレン(NOR)。 1stラウンドで132.5mを飛んで3位につけると、2ndラウンドでは128.0mまで飛距離を伸ばして逆転優勝しました。 2位には大倉山には滅法強いロアー・ヨケルソイ(NOR)が食い込み、ノルウェー勢のワンツーフィニッシュとなりました。
 日本勢はエントリーした12名が全員予選を通過。 本戦でも元気の良いジャンプが多く見られました。 日本勢で最高の成績を収めたのは岡部孝信(チーム雪印)。 133.0mと121.5mで3位に入り、今シーズン初めて表彰台に上がることになりました。 続いては、1stラウンドで134.5mの最長不倒距離をマークした伊東大貴(土屋ホーム)が4位に入る健闘を見せました。 以下、坂野幸夫(チーム雪印)が11位、一戸剛(アインズ)が14位、吉岡和也(土屋ホーム)が15位、宮平秀治(ミズノ)が16位、葛西紀明(土屋ホーム)が24位、上野真吾(NTT東日本北海道)が25位、渡瀬雄太(チーム雪印)が30位、山田大起(北野建設)が31位でした。 栃本翔平(北海道尚志学園高)は32位、伊藤謙司郎(下川商業高)が37位で、この二人は2ndラウンドに進むことができませんでした。

●1月22日 札幌/大倉山(日本) 第14戦 ラージヒル個人 HS134 [リザルト] [フォトレポート]
 大会二日目は個人第14戦。 この日の大倉山は朝から雲一つない快晴で、気温は低くても天候は穏やかそのもの。 昼が近づくにつれて風の変化が激しくなり飛距離も落ち込みましたが、底力のある選手は強いサッツでぐんぐん飛距離を伸ばしました。 FISの公式記録では、天候は晴れ後曇り、気温-6.7〜-7.6℃、雪温は-5.2〜-6.1℃、風速は0.1〜3.0m/sでした。
 この日優勝したのは「大倉男」ロアー・ヨケルソイ(NOR)。 1stラウンドで140.0mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドはやや失敗気味のジャンプながらも125.5mまで飛距離を伸ばして、逃げ切りで勝利を決めました。 2位は137.5mと128.0mを飛んだ伊東大貴(土屋ホーム)、3位は117.5mと137.5mを飛んだ岡部孝信(チーム雪印)でした。 伊東は今シーズン初の表彰台であり、彼自身のワールドカップ個人戦最高順位です。
 その他の日本勢は、4位に124.5mと123.5mを飛んだ葛西紀明(チーム雪印)が入る健闘を見せ、以下13位に上野真吾(NTT東日本北海道)、14位に坂野幸夫(チーム雪印)、18位に吉岡和也(土屋ホーム)、24オモ山田大起(北野建設)、27位には一戸剛(アインズ)という成績でした。 それ以外では、伊藤謙司郎(下川商業高)が35位、栃本翔平(尚志学園高)が45位で、2ndラウンドに進むことができませんでした。

 個人第14戦までを終了し、ワールドカップ個人総合成績は、ヤクブ・ヤンダ(CZE)(872)が1位、ヤンネ・アホネン(FIN)(755)が2位で、坦懐に参加しなかったこの二人の得点と順位は変わりません。 3位にはロアー・ヨケルソイ(NOR)(590)が食い込んでいます。 日本勢は岡部孝信(チーム雪印)(373)が大きく順位を上げて7位、葛西紀明(土屋ホーム)(174)が17位、伊東大貴(土屋ホーム)(161)‥‥と続きます。 国別成績は、ノルウェー(1767)がトップ、2位はフィンランド(1452)、3位はオーストリア(1346)で、日本(859)はスイスと同ポイントで6位タイにつけています。

 この後日本勢は、次週に迫ったワールドカップ・ザコパネ大会には出場せず、トリノ冬季五輪に向けた最終調整に入ります。

 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■2006世界スキーフライング選手権■2006年1月16日
 2年に一度行われるスキーフライングの世界選手権が、今年はオーストリアのクルム/バートミッテルンドルフで行われました。 個人戦は二日間で飛んだ4本のジャンプの総合得点を、団体戦では各国4人ずつのチームでの成績を、それぞれ競います。 日本チームはトリノ冬季五輪代表選手を温存し、その代わりに竹内択(飯山市スキークラブ)/渡瀬雄太(チーム雪印)/梅崎慶大(チーム雪印)の3名を個人戦にエントリー。 団体戦にはエントリーしませんでした。
 年末年始のジャンプ週間が終わったばかりであること、翌週にはワールドカップがヨーロッパを離れて日本の札幌で行われることなどから、この大会を一つの区切りにして今後の調整を行う選手も多いはず。 五輪代表選手を派遣しなかった日本とは違い、ヨーロッパ各国は五輪代表格の一線級の選手をこぞって参加させ、試合は非常にハイレベルなものになりました。

●1月13日〜14日 個人戦 フライングヒル HS200 [リザルト]
 天候は一日目、二日目とも晴れ、気温は-3.4〜-5.7℃、雪温は-6.0〜-8.0℃、風速は0.0〜2.1m/sと、安定した好条件で行われた個人戦。 ロアー・ヨケルソイ(NOR)が、一日目に202.5mと207.5m、二日目には190.0mと207.5mを飛んで優勝しました。 2位はアンドレアス・ヴィドヘルツル(AUT)、3位はトマス・モルゲンシュテルン(AUT)でした。 現時点でワールドカップ個人総合1位のヤクブ・ヤンダ(CZE)は7位に終わりました。 モルゲンシュテルンが二日目のファイナルラウンドでマークした210.5mが、個人戦での最長不倒距離となりました。
 日本勢は、エントリーした3名ともが予選を通過することができませんでした。

●1月15日 団体戦 フライングヒル HS200 [リザルト]
 団体戦は9カ国が参加。 天候は個人戦と同様に晴れ、気温-5.6〜6.6℃、雪温-10.0〜-10.1℃、風速は0.3〜1.9m/sと、数字の上ではこの日も条件は良かったように見えます。
 優勝したのはノルウェー(ルメレン/ビストール/インゲブリットセン/ヨケルソイ)でした。 2位はフィンランド(ハッポネン/キウル/M.ハウタマキ/アホネン)、3位はドイツ(ノイマイヤー/シュペート/ヘル/ウアマン)となりました。 地元オーストリア(コッホ/モルゲンシュテルン/コフラー/ヴィドヘルツル)は、第3グループに配されたコフラーの失敗ジャンプをカバーしきれず、4位に終わりました。

 ワールドカップの成績上位選手が多く参加したこの大会では、その結果も現在の実力を反映する順当な内容だったように思います。 特に目を引いたのはノルウェーの選手達の好調さ。 ノルウェーの選手は風に強い、大きな台に強い、とは昔から言われることですが、チーム単位での調整の流れとしてこの大会に一つのピークを持ってくるのが実にノルウェーらしいと感じます。 この後に控えるワールドカップ札幌大会にはエントリーせずに、自国へ帰って休養と調整を行うチームもあり、ジャンプ週間とトリノ冬季五輪の間に組まれたこの日程は、ヨーロッパの選手から見れば実に絶妙なものだったかもしれません。

 日本チームは海外遠征の経験が浅い若手選手を中心に3名を派遣。 今後の日本チームを担う若手選手に経験を積ませる意味合いが強い人選です。 しかしそれならば尚更、団体戦にエントリーできる最小限人数の4名以上を派遣しなかったことに、疑問を抱かざるを得ません。 結果的に3名の選手は健闘及ばず個人戦の予選で敗退することになりましたが、そのまま団体戦も「経験」させてやることはできなかったのでしょうか。 経験とは、試合で飛んだ経験のみを差すのではありません。 「飛べなかった経験」も選手達には必要なはずです。 派遣にあたって必要な費用など、素人にはわからぬ複雑な背景事情もありましょうが、五輪代表選手を温存する代わりに派遣する人数として、今回の「3名」という判断の根拠はどのようなものであったのか、SAJ関係者に今一度真意を伺いたいところです。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■国内公式戦 1月13日〜15日■2006年1月16日
 FISコンチネンタルカップを兼ねた国内公式戦3連戦が、1月13日〜15日に札幌で行われました。 13日は宮の森シャンツェで札幌オリンピック記念、14日は大倉山でHTB杯、15日は同じく大倉山でSTV杯です。 日本国内で行われるコンチネンタルカップですから、地元の地の利を活かした戦いを展開して積極的にポイントを狙っていきたいところですね。 トリノ冬季五輪日本代表選手も決まり、大会も報道もいよいよオリンピック色が強くなってきたこともあり、どうしても五輪代表選手ばかりに注目が集まってしまうのは少々寂しくもあります。
 この3連戦ではワールドカップの遠征から帰国した岡部孝信(チーム雪印)が参戦。 実力においては他の選手を圧倒しているので、試合も岡部が中心になって展開していきました。 なお岡部は、コンチネンタルカップの方にはエントリーせず、国内公式戦のみの参加という形になっています。

●1月13日 第34回札幌オリンピック記念国際スキージャンプ競技大会
宮の森ジャンプ競技場 ノーマルヒル HS100

 3連戦の緒戦を制したのは岡部孝信(チーム雪印)。 100.5mと100.0mの2本の100mジャンプを揃え、コンチネンタルカップにエントリーする海外からの強豪選手を抑えました。 2位は2ndラウンドに102.5mを飛んでヒルレコードを更新したアンデルス・バルダル(NOR)、3位はマヌエル・フェットナー(AUT)でした。

●1月14日 第33回HTBカップ国際スキージャンプ競技大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒル HS134

 3連戦の2戦目はHTB杯ラージヒル。 この日の優勝も岡部孝信(チーム雪印)でした。 1stラウンドで136.0m、2ndラウンドでは132.0mを飛んでの圧勝でした。 2位は前日に引き続きアンデルス・バルダル(NOR)、3位はモルテン・ソレム(NOR)でした。

●1月15日 第45回STVカップ国際スキージャンプ競技大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージルヒル HS134

 3連戦の最終戦はSTV杯ラージヒル。 この日も岡部孝信(チーム雪印)の強さが際立ち、139.5mと128.0mを飛んで圧倒的な強さを見せつけました。 2位はラファル・シュリッツ(POL)、3位はマヌエル・フェットナー(AUT)でした。

 コンチネンタルカップということで、ワールドカップよりもスピード設定は速めだったかもしれませんが、それにしても岡部の強さは圧倒的でした。 また、ノルウェーやオーストリア、ポーランドなどのコンチネンタルカップ参加選手達も大きなジャンプでしっかりと自己をアピール。 各々の実力がそのまま素直に結果に反映されたような形です。

 次週はいよいよワールドカップ札幌大会。 大倉山のラージヒルで個人戦を2戦行います。 STV杯終了後に全日本スキー連盟(SAJ)からワールドカップ札幌大会の出場選手の発表がありました。

■ワールドカップクウォーター選手6名
 ・岡部孝信(チーム雪印)
 ・葛西紀明(土屋ホーム)
 ・伊東大貴(土屋ホーム)
 ・一戸剛(アインズ)
 ・伊藤謙司郎(下川商業高)
 ・吉岡和也(土屋ホーム)


■ワールドカップ1Aグループ選手6名
 ・宮平秀治(ミズノ)
 ・坂野幸夫(チーム雪印)
 ・山田大起(北野建設)
 ・渡瀬雄太(チーム雪印)
 ・栃本翔平(北海道尚志学園高)
 ・上野真吾(NTT東日本北海道)


■トリノ冬季五輪 代表選手内定■2006年1月10日
 9日に開かれた全日本スキー連盟の常務理事会で、トリノ冬季五輪スキージャンプ種目の代表選手6名が内定しました。

・岡部孝信(チーム雪印)
・葛西紀明(土屋ホーム)
・伊東大貴(土屋ホーム)
・一戸剛(アインズ)
・原田雅彦(チーム雪印)
・伊藤謙司郎(下川商業高)

 代表枠の半数にあたる3名の選手が8年前の長野冬季五輪の代表選手だったという、現在の日本チームの複雑な事情を反映する人選です。 6名の代表選手は、1月13日から開催される世界スキーフライング選手権には参加せず、トリノ冬季五輪に向けた調整に入ります。


■国内公式戦 1月上旬■2006年1月10日
 年が明けて2006年、スキージャンプの国内公式戦はいよいよ佳境を迎えます。 1月は毎週のように大きな大会が行われますが、まずは7日に行われた雪印杯ノーマルヒルと、9日に行われたHBC杯ラージヒルの結果をまとめておきます。

●1月7日 第47回雪印杯全日本ジャンプ大会
宮の森ジャンプ競技場 ノーマルヒル HS100

 競技途中からの悪天候により、1stラウンドだけで打ち切られてしまった今年の雪印杯。 優勝したのは98.5mの最長不倒距離を飛んだ西森享平(丸善食品工業)でした。 2位は渡瀬雄太(チーム雪印)、3位は梅崎慶大(チーム雪印)でした。
 少年組は92.5mを飛んだ平元陽介(新潟新井高)と、92.0mを飛んだ船渡裕太(札幌日大高)が同ポイントで優勝しました。 ジュニアは渡部弘晃(岩見沢緑中)が、女子組は山田いずみ(ロイズ)が、それぞれ制しました。

●1月9日 第48回HBCカップジャンプ競技会
大倉山ジャンプ競技場 ラージルヒル HS134

 トリノ冬季五輪の代表選手を選考する国内公式戦最後の試合となったのは、HBC杯ラージヒル。 この大会独自のノックアウト方式で、予選の上位16名が勝ち抜きのトーナメントを行い、最終的に残った4名の選手で決勝を行います。 優勝したのは決勝で135.5mを飛んだ吉岡和也(土屋ホーム)、2位は渡瀬雄太(チーム雪印)、3位は細山周作(札幌大)、4位は遠藤悠介(清光社スキークラブ)でした。


■FISワールドカップスキージャンプ ビショフスホーフェン大会■2006年1月7日
 ジャンプ週間の最終戦はワールドカップ個人第12戦となるビショフスホーフェン大会。 ジャンプ週間で使用されているシャンツェの中では最も難易度が高いといわれ、身長が低く体重が軽い選手はスピードが乗らず苦戦する傾向にあるようです。 ジャンプ週間の総合成績がこの試合で決まるとあって、順位の他にいかに多くポイントを稼ぐかも試合に臨む上で重要な要素になります。

●1月6日 ビショフスホーフェン(オーストリア) 第12戦 ラージヒル個人 HS140 [リザルト]
 この日の天候は曇り。 気温は-2.0〜-3.0℃、雪温は-4.0〜-5.0℃、風速は0.1〜1.1m/s。 伊東が表彰台に上がった昨シーズンの試合では濃い霧が出ていましたが、この日はそういうこともなかったようです。
 優勝したのはヤンネ・アホネン(FIN)。 ただ一人2本ともHSを越える141.0mと141.5mを飛んで、貫禄の優勝です。 2位は1stラウンドでトップに立っていたヤクブ・ヤンダ(CZE)、3位はロアー・ヨケルソイ(NOR)でした。
 日本人選手では岡部孝信(チーム雪印)が相変わらずの安定感。 135.5mと131.5mを飛んで6位に入賞しました。 葛西紀明(土屋ホーム)は132.5mと130.0mで11位、伊東大貴(土屋ホーム)は127.5mと128.0mで23位でした。

 この試合でジャンプ週間の全ての日程が終わり、総合成績が出揃いました。 ジャンプ週間の総合成績は4試合で飛んだ8本のジャンプの全合計ポイントで競うため、総合優勝することは 上位選手と日本人選手を抜粋すると以下のような順位になります。
 1. Janne Ahonen (FIN)           1081.5
 1. Jakub Janda (CZE)            1081.5
 3. Roar Ljoekelsoey (NOR)       1057.1
 4. Andreas Kuettel (SUI)        1022.9
 5. Matti Hautamaeki (FIN)       1018.0
 6. 岡部孝信 (チーム雪印)        1017.8
 7. Bjoern Einar Romoeren (NOR)   997.9
 8. Andreas Kofler (AUT)          992.8
 9. 葛西紀明 (土屋ホーム)         981.5
10. Georg Spaeth (GER)            976.7
11. Michael Uhrmann (GER)         975.0
12. Rok Benkovic (SLO)            971.0
13. Simon Ammann (SUI)            964.3
14. Dmitri Vassiliev (RUS)        952.9
15. Sebastian Colloredo (ITA)     932.5
23. 伊東大貴 (土屋ホーム)         793.4
54. 一戸剛 (アインズ)             179.2
69. 山田大起 (北野建設)            82.6
 ジャンプ週間の長い歴史の中で、同ポイントで2人並んで総合優勝を分け合うことは初めてだそうです。

 ワールドカップはこの試合で12戦までを終えました。 総合成績はヤクブ・ヤンダ(CZE)(872)が1位、ヤンネ・アホネン(FIN)(755)が2位、アンドレアス・キュッテル(SUI)(577)が3位となりました。 日本勢は岡部孝信(253)が11位、葛西紀明(117)が20位、伊東大貴(31)が38位、一戸剛(9)が47位です。
 国別成績はノルウェー(1283)が1位、フィンランド(1244)が2位、オーストリア(1241)が3位。 日本(410)は8位につけています。

 ワールドカップはこの試合をもって一時休止。 次週1月13日〜15日の日程では世界フライング選手権が予定されています。 場所はオーストリアのバートミッテルンドルフ、クルムのフライングヒルHS200です。 日本チームでこの世界フライング選手権に参加するのは次の選手達です。

 竹内択(飯山市スキークラブ)/渡瀬雄太(チーム雪印)/梅崎慶大(チーム雪印)

 五輪代表選手は国内で調整を行い、若手選手に経験を積ませるのが目的でしょうか。 フライングヒルはFIS公認シャンツェが現在世界に5カ所しかなく、また大会以外の日程で練習するのは通常は許可されないので、参加する3選手にはまたとないチャンスであるといえます。 派遣選手が3名のみなので団体戦にはエントリーせず、個人戦だけの参加になるとのことです。

 世界フライング選手権が終われば、その後には札幌でのワールドカップが控えています。

 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ インスブルック大会■2006年1月7日
 ジャンプ週間は第3戦からオーストリアに舞台を移します。 ワールドカップの個人第11戦を兼ねるインスブルック大会は、ベルクイーゼルにあるHS130のラージヒルで行われました。

●1月4日 インスブルック(オーストリア) 第11戦 ラージヒル個人 HS130 [リザルト]
 この日の天候は曇り。 気温は-1.0〜-2.0℃、雪温は-3.0℃、風速は0.1〜1.5m/s。 これらの数値を見る限りでは比較的安定した条件のようでしたが、トレーニングや予選ではわずかに変化する風に翻弄された選手もいたようです。
 優勝したのはラース・ビストール(NOR)。 1stラウンドで127.0mを飛んで5位につけると、2ndラウンドでは129.5mまで飛距離を伸ばして逆転。 ワールドカップ初優勝となります。 2位は2ndラウンドに133.0mを飛んで追い上げたヤクブ・ヤンダ(CZE)、3位はビョルン・アイナー・ルメレン(NOR)でした。
 日本人選手では、岡部孝信(チーム雪印)が123.5mと130.0mを飛んで8位に入ったのが最高。 葛西紀明(土屋ホーム)は1stラウンドで128.0mを飛んで4位につけましたが、2ndラウンドでは123.5mと飛距離を伸ばせず9位に後退しました。 伊東大貴(土屋ホーム)は予選で3位に入って上り調子でしたが、本戦では奮わず39位、一戸剛(アインズ)は49位に終わりました。

 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ ガルミッシュ・パルテンキルヘン大会■2006年1月4日
 ジャンプ週間第2戦目は、元日恒例のガルミッシュ・パルテンキルヘン大会ラージヒル。 ヨーロッパでは、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートと並んでTV視聴率の高いイベントなのだそうで、注目度もより一層高まります。 またこのシャンツェは、独特の形状のためか立地の条件が原因か、選手によって得手不得手が比較的はっきり分かれるようです。 ジャンプ週間独自の「KO方式」と相まって、相当盛り上がる試合になったのではないかと思います。

●1月1日 ガルミッシュ・パルテンキルヘン(ドイツ) 第10戦 ラージヒル個人 HS125 [リザルト]
 この日の天候は曇り。 気温は2.2〜3.0℃、雪温は-0.1℃といずれも高め。 風速は0.1〜2.0m/sとの発表です。
 この日の優勝はヤクブ・ヤンダ(CZE)。 1stラウンドで125.0mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドでも121.5mと飛距離を伸ばして、アホネンらの強豪ライバルを退けました。 彼はこの試合で今季5勝目を飾りました。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はマッティ・ハウタマキ(FIN)でした。
 日本勢は岡部孝信(チーム雪印)が116.5mと118.0mで10位に入ったのが最高。 予選でトップの成績を出した葛西紀明(土屋ホーム)は本番で固くなったようで、119.0mと114.5mの12位に終わりました。 伊東大貴(土屋ホーム)は26位に入り、この試合でもワールドカップポイントを稼ぎました。 一戸剛(アインズ)、山田大起(北野建設)、宮平秀治(ミズノ)の3名は予選を通過することができませんでした。

 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ オーベルシュトドルフ大会■2006年1月4日
 ワールドカップ個人第9戦は、年末年始恒例のスキージャンプイベント”4Schanzentournee(ジャンプ週間)”の緒戦となるオーベルシュトドルフ大会ラージヒルです。 一年を通じて最も規模が大きく、影響力が強い試合であるだけに、シーズン最初のピークをこの4連戦に合わせてくる選手は相当多いはず。 2月にトリノ冬季五輪を控えて各選手がどのように調整を進めているのか、現時点の勢力地図はどのようになっているのかなどにも注目して観戦したいところです。
 日本チームはメンバーの入れ替えがあり、国内公式戦で好成績を収めた宮平秀治(ミズノ)が新たに加わり、東輝(日本空調サービス)がコンチネンタルカップに回りました。

●12月29日 オーベルシュトドルフ(ドイツ) 第9戦 ラージヒル個人 HS137 [リザルト]
 この日の天候は曇り。 気温-6.0〜-7.6℃、雪温-3.2〜-3.6℃、風速は0.3〜2.6m/s。 風の強弱はあったようですが、条件としては比較的安定していたようです。
 優勝したのはヤンネ・アホネン(FIN)。 1stラウンドで130.5mを飛んでトップに立つと、2ndラウンドでも130.0mまで飛距離を伸ばして逃げ切り、今季初優勝です。 2位はロアー・ヨケルソイ(NOR)、3位はヤクブ・ヤンダ(CZE)でした。
 日本勢は岡部孝信(チーム雪印)が好調。 この日は128.0mと130.5mを飛んで4位に入賞しました。 6位入賞圏内に入ったことで、岡部のトリノ五輪代表選出は事実上内定したことになります。 以下、葛西紀明(土屋ホーム)が13位、伊東大貴(土屋ホーム)が16位でした。 一戸剛(アインズ)は35位、山田大起(北野建設)は44位で、この2名は2ndラウンドに進めず。 宮平秀治(ミズノ)は予選を通過することができませんでした。

 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■国内公式戦開幕■2005年12月24日
 国内公式戦の開幕は、毎年恒例の名寄ピヤシリシャンツェでノーマルヒル2連戦。 今シーズンは国内で調整を続けながらオリンピック代表の座を狙う選手たちの動向が、例年になく注目を集めている様子です。 既にワールドカップやコンチネンタルカップのメンバーに選ばれている選手たちと比べると、この大会に出ざるを得ない選手たちは一足も二足も出遅れてしまったことになり、ピヤシリでの2連戦で如何に良い成績を収めて全日本スキー連盟のお偉方達にアピールするかがポイントとなります。

●12月17日 第36回名寄ピヤシリジャンプ大会兼第43回北海道新聞社杯ジャンプ大会
ノーマルヒル HS100

 開幕緒戦を制したのは宮平秀治(ミズノ)。 89.0mと92.0mを飛ぶ安定感で実力を見せつけました。 2位は坂野幸夫(チーム雪印)、3位は原田雅彦(チーム雪印)でした。 坂野と原田は共に90.0mのジャンプを2本揃えましたが、坂野がポイントでわずかに上回りました。

●12月18日 第21回吉田杯ジャンプ大会 ノーマルヒル HS100
 低気圧の通過で天候が悪化し、1stラウンドのみの一本勝負となった吉田杯。 優勝は93.0mを飛んだ宮平秀治(ミズノ)でした。 2位は坂野幸夫(チーム雪印)、3位は渡瀬雄太(チーム雪印)でした。


 このピヤシリ2連戦の結果を受けて、ワールドカップ及びコンチネンタルカップのメンバーの見直しが行われ、宮平秀治(ミズノ)がワールドカップの遠征に参加することが決定。 代わりに東輝(日本空調サービス)がコンチネンタルカップに回ることになりました。 次のピリオドからのワールドカップ遠征メンバーは次の通りです。

伊東大貴(土屋ホーム)/葛西紀明(土屋ホーム)/宮平秀治(ミズノ)/
岡部孝信(チーム雪印)/山田大起(北野建設)/一戸剛(アインズ)


 また坂野幸夫(チーム雪印)と原田雅彦(チーム雪印)、栃本翔平(北海道尚志学園高)はコンチネンタルカップへの参戦が決まりました。 これまでコンチネンタルカップに参戦していた櫻井一欽(チーム雪印)、船木和喜(フィットスキー)、小山内佳彦(日本大)の3名はメンバーから外れることになりました。 コンチネンタルカップの遠征メンバーは次の通りです。

東輝(日本空調サービス)/坂野幸夫(チーム雪印)/竹内択(飯山市スキークラブ)/
原田雅彦(チーム雪印)/栃本翔平(北海道尚志学園高)


■FISワールドカップスキージャンプ エンゲルベルク大会■2005年12月19日
 ワールドカップの最初のピリオド、締めとなるのはスイス・エンゲルベルク大会です。 今月末から始まる 4Schanzentournee(ジャンプ週間)を控え、どの選手どのチームも調整は最終段階に入る頃でしょうか。 日本チームはメンバーの再選考の結果、コンチネンタルカップで日本選手最高の成績を収めた伊藤謙司郎(下川商業高)をワールドカップに派遣することを決定し、山田大起(北野建設)と入れ替わりでこの大会からメンバーに加わりました。

●12月17日 エンゲルベルク(スイス) 第7戦 ラージヒル個人 HS137 [リザルト]
 激しい雪が降る中行われた1stラウンドは、50名のうち44名までが飛び終わった時点で競技中止が決定されました。

●12月18日 エンゲルベルク(スイス) 第8戦 ラージヒル個人 HS137 [リザルト]
 この日の天候は前日から持ち直して、曇り。 気温-3.8℃、雪温-7.0℃、風速0.7〜2.0m/sという気象条件でした。 2ndラウンドで風の条件が若干厳しくなったような雰囲気でしたが、競技は割とスムーズに進行しました。
 優勝したのはヤクブ・ヤンダ(CZE)。 1stラウンドで129.0mを飛んでトップに立つと、2ndラウンドではこの日の最長不倒距離130.0mをマークし、完勝しました。 2位はミヒャエル・ウアマン(GER)、3位はアンドレアス・コフラー(AUT)でした。
 日本勢は岡部孝信(チーム雪印)が欠場、伊藤謙司郎(下川商業高)が予選でスキー板の長さで違反をとられて失格、東輝(日本空調サービス)と一戸剛(アインズ)は予選落ちと、厳しい状態。 予選から130mに迫るジャンプを見せていた葛西紀明(土屋ホーム)は、118.5mと120.0mを飛んで19位タイに入りました。 予選を通過した伊東大貴(土屋ホーム)は2ndラウンドに進めず、36位に終わりました。

 エンゲルベルク大会を終えて個人総合成績は、ヤクブ・ヤンダ(CZE)(552)が1位、ヤンネ・アホネン(FIN)(436)が2位、アンドレアス・キュッテル(SUI)(430)が3位となっています。 日本勢は岡部孝信(チーム雪印)(105)が16位でシード落ち、葛西紀明(土屋ホーム)(22)が36位です。 国別成績は、オーストリア(841)がトップ、2位がノルウェー(744)、3位がフィンランド(725)。 日本(139)は9位となっています。

 ここまで週末ごとに行われてきたワールドカップは、ひとまずここで一区切り。 少々間を空けて、12月29日からは 4Schanzentournee(ジャンプ週間)が始まります。 ドイツとオーストリアの4カ所のシャンツェを転戦して総合成績を競うこの大会は、シーズン中で知名度も重要性もダントツ。 来年2月に迫るトリノ冬季五輪の行方を占う上でも、非常に重要な大会です。
 日本チームでは、国内で調整を進める選手とのメンバー入れ替えがあるかもしれません。 これまでの試合で決して良い成績を残せてきたとは言えない日本チームですが、この期間でリフレッシュして、ジャンプ週間では貪欲にポイントを稼いでいってほしいと思います。
 ジャンプ週間の緒戦となるワールドカップ個人第9戦は、12月29日にドイツのオーベルシュトドルフで行われます。([ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ ハラホフ大会■2005年12月11日
 個人第5戦及び第6戦はチェコのハラホフでラージヒル。 あらゆる大きさのシャンツェが揃ったハラホフのジャンプ競技場は風が強く不安定なことでも有名で、この大会も風の条件は厳しいものがあったようです。 日本勢はここまで調子がよくなかった東輝(日本空調サービス)が一時的に戦列を離れたため、岡部孝信(チーム雪印)/葛西紀明(土屋ホーム)/一戸剛(アインズ)/伊東大貴(土屋ホーム)/山田大起(北野建設) の5名でこの大会に臨むことになりました。

●12月10日 ハラホフ(チェコ) 第5戦 ラージヒル個人 HS142 [リザルト]
 個人第5戦の天候は曇り、気温-1.2〜-2.0℃、雪温-1.0〜-1.1℃、風速0.2〜3.5m/s。 突発的に吹き上げる良い風が度々あり、それが試合を大きく翻弄したようです。 優勝は136.5mと143.5mを飛んだアンドレアス・キュッテル(SUI)。 2ndラウンドのジャンプはランディングもしっかり決まった完璧なものでした。 2位はミヒャエル・ウアマン(GER)、3位はヤンネ・アホネン(FIN)でした。 ワールドカップ総合成績1位のチェコのエース、ヤクブ・ヤンダ(CZE)は7位に終わりました。
 日本勢は山田大起(北野建設)を除く4名が本戦に進出。 岡部孝信(チーム雪印)が126.5mと125.0mを飛んで18位に入ったのが最高でした。 伊東大貴(土屋ホーム)は127.0mと113.0mで28位、今シーズン初めてのワールドカップポイント獲得です。 以下、葛西紀明(土屋ホーム)は38位、一戸剛(アインズ)は42位で、この両名は2ndラウンドに進むことができませんでした。

●12月11日 ハラホフ(チェコ) 第6戦 ラージヒル個人 HS142 [リザルト]
 大会二日目となる個人第6戦は、天候曇り、気温-1.0〜-1.1℃、雪温-0.1℃、風速0.1〜1.7m/s。 一日目のような突風が吹くことはなく、比較的穏やかな条件だったようです。 この日の優勝はヤクブ・ヤンダ(CZE)。 138.5mと141.0mを飛んで、前日の雪辱を晴らしました。 2位は2ndラウンドに139.0mを飛んで追い上げたヤンネ・アホネン(FIN)、3位は前日の優勝者アンドレアス・キュッテル(SUI)でした。
 日本勢はこの日も山田大起(北野建設)が予選落ち。 135.0mと128.5mを飛んだ岡部孝信(チーム雪印)が10位に食い込んで意地を見せましたが、その他は低調でした。 伊東大貴(土屋ホーム)は32位、葛西紀明(土屋ホーム)は39位、一戸剛(アインズ)は49位に終わり、ワールドカップポイントの獲得はなりませんでした。

 個人第6戦までを終えてワールドカップ個人総合成績は、ヤクブ・ヤンダ(CZE)(452)が1位、2位にはアンドレアス・キュッテル(SUI)(385)とヤンネ・アホネン(FIN)(385)が並びました。 岡部孝信(チーム雪印)(105)は12位でシード権をキープ、葛西紀明(土屋ホーム)(10)が41位、一戸剛(アインズ)(9)が42位タイ、伊東大貴(土屋ホーム)(3)が49位です。 国別成績は、1位フィンランド(664)、2位ノルウェー(654)、3位オーストリア(652)と大接戦。 日本(127)は9位です。

 公式練習や予選も含めてこの大会を振り返ってみると、すでに上位数名は安泰の様相を呈してきたような気がします。 これまで良い成績を残せなかった実力選手が調子を上げてきているケースが多々見られるのも、頼もしいことです。 優勝は、ヤンダが3勝、キュッテルが2勝、クラニェチが1勝と、これまで「伏兵」と見られてきた位置づけの選手たちが奮闘しています。 オリンピックシーズンに合わせて調整を進めてきた賜でしょう。

 日本勢は岡部の好調さが際立つ一方で、それ以外のメンバーの不安定さがたいへん気になります。 公式練習や予選では大きなジャンプを見せる葛西は、今大会は2ndラウンドに進むことができずに終わりました。 今大会で初めてワールドカップポイントを獲得した伊東も、個人第6戦では2ndラウンドに残れず、苦しい戦いが続いています。 岡部の今の状況がそう簡単に覆ることはないにせよ、彼だけが孤軍奮闘する状態はチームとしては好ましくありません。 せめて2ndラウンドに2〜3名は進んで、それぞれのジャンプをフォローしながらポイントを稼いでいってほしいと思います。

 一時的に戦列を離れた東輝は、12月12日には再び合流する予定だそうです。 日本チームはその後、ワールドカップ及びコンチネンタルカップのメンバーの再選考を行うかもしれません。 次のワールドカップは12月17日〜18日、スイスのエンゲルベルクで開かれます。  ([ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ リレハンメル大会■2005年12月5日
 ワールドカップ個人第3戦と第4戦は当初ノルウェーのトロンハイムでの開催が予定されていましたが、当地の雪不足のために急遽リレハンメルに開催地が変更されました。 トロンハイム大会で予定されていたのと同じプログラムで、ラージヒル個人戦HS134が2戦行われました。 日本勢は前週のクーサモ大会に出場した6名がそのまま参戦しています。

●12月3日 リレハンメル(ノルウェー) 第3戦 ラージヒル個人 HS134 [リザルト]
 この日の天候は曇り。 気温は-2.5℃、雪温は-4.3℃、風速は0.1〜1.5m/sと、まずまず安定した気象条件の下、個人第3戦が行われました。 時間帯は夕方でしたが、緯度が高い土地なので、空は真っ暗だったでしょう。 この日はトライアルラウンドからゲート設定が高めで、大ジャンプが多く見られました。 ヒルレコードを更新するジャンプも計4本飛び出し、飛距離が出る選手ほど恐怖感が増す難しいゲート設定だったと思われます。
 優勝したのはアンドレアス・キュッテル(SUI)。 1stラウンドで135.0m、2ndラウンドではヒルレコードを2.5m上回る139.0mを飛んで、1stラウンド5位からの逆転勝利でした。 2位は安定したジャンプを2本揃えたヤクブ・ヤンダ(CZE)、3位はラース・ビストール(NOR)でした。
 日本勢は6名のうち4名が本戦に進出。 岡部孝信(チーム雪印)が130.5mのジャンプを2本揃えて13位に食い込みました。 他の選手はいずれも2ndラウンドの進めず、葛西紀明(土屋ホーム)は121.0mを飛ぶも32位、伊東大貴(土屋ホーム)は37位、山田大起(北野建設)は46位に終わりました。

●12月4日 リレハンメル(ノルウェー) 第4戦 ラージヒル個人 HS134 [リザルト]
 この日の天候は前日と同じく曇り。 気温-1.5〜-1.6℃、雪温-3.8〜-4.9℃、風速0.1〜1.5m/s。 この数値だけ見ると前日と条件はあまり変わらないようですが、スタートゲートは前日よりも1段から2段下げられ、選手たちの飛距離も全体的に伸び悩みました。 風向きの変化が激しかったのか、明らかな失敗ジャンプに終わる選手も多く、前日と比べて波乱含みの展開だったといえるでしょう。
 この日の優勝はヤクブ・ヤンダ(CZE)。 135.5mと131.5mを飛び、抜群の安定感で逃げ切りました。 2位は調子上向きのラース・ビストール(NOR)、3位は前日の優勝者アンドレアス・キュッテル(SUI)でした。
 日本勢はこの日も4名が本戦に進出。 岡部孝信(チーム雪印)が124.5mと125.0mを飛んで10に入る健闘を見せました。 葛西紀明(土屋ホーム)も2ndラウンドで順位を上げて21位に食い込み、今シーズン初のワールドカップポイントを獲得しました。 以下、伊東大貴(土屋ホーム)が38位、東輝(日本空調サービス)は48位で、この両名は2ndラウンドに進むことができませんでした。

 リレハンメル大会を終えた時点での個人総合成績は、ヤクブ・ヤンダ(CZE)(316)が1位、ヤンネ・アホネン(FIN)(245)が2位、アンドレアス・キュッテル(SUI)(225)が3位となりました。 日本勢は岡部孝信(チーム雪印)(66)が14位で予選免除のシード権を獲得、葛西紀明(土屋ホーム)(10)が34位、一戸剛(アインズ)(9)が35位です。 国別成績では、オーストリア(477)がトップ、2位はフィンランド(463)、3位はノルウェー(414)で、日本(85)は9位です。

 天候に翻弄されたクーサモ大会よりも、おそらくははるかに良好な条件で行われたと思われるリレハンメル大会。 しかし初日のスタートゲートの高速設定など、一筋縄では攻略できない面もありました。 個人戦を4戦終えて上位陣がそろそろ固まって来つつありますが、総合成績のポイントがまだ少ない段階ですので、総合成績もかなり流動的です。 総合成績のトップは現在2勝しているヤンダですが、まだ優勝がないアホネンが2位につけているところは流石。 ここまでは実力者が順当に成績を伸ばしているという感じでしょうか。

 日本勢はこの大会からようやくエンジンがかかり始めた印象を受けました。 本戦の結果はともかく、予選を通過する力を出せる選手が最低4人はいないと団体戦を戦えないわけですから、この大会の結果を足がかりにこれから更にテンションを高めていってほしいところです。 2戦続けてワールドカップポイントを獲得した岡部は、ここで無事にシード権を得ることができました。 練習での大きなジャンプが結果に結びつかなかった葛西もようやくワールドカップポイントを獲得し、調子も上向きです。 ベテラン勢2人が引っ張る形で、次週以降のワールドカップを戦っていくことになりますね。 更なる健闘を期待しましょう。

 次の試合は12月10日〜11日、チェコのハラホフでラージヒル個人戦が2戦予定されています。 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■FISワールドカップスキージャンプ クーサモ大会■2005年11月27日
 2005-2006シーズンのワールドカップが開幕しました。 開幕戦となるのは今年のフィンランドのクーサモ。 HS142の大きめのラージヒルで、11月25日から26日にかけて個人戦を2戦行いました。 日本チームは 伊東大貴(土屋ホーム)/葛西紀明(土屋ホーム)/東輝(日本空調サービス)/岡部孝信(チーム雪印)/山田大起(北野建設)/一戸剛(アインズ) の6名がエントリーしました。

●11月26日 クーサモ(フィンランド) 第1戦 ラージヒル個人 HS142 [リザルト]
 今年のクーサモは例年になく気温が高く雪不足。 人工降雪機が公式練習前からフル稼働して雪を貼り付けたようです。 しかしランディングバーンの雪面が柔らかすぎて危険だとジュリーが判断するなど、条件は良好とは言い難く、当初25日に予定されていた第1戦は「悪天候のため」順延、26日の第2戦の前に1ラウンドのみの一発勝負で行われました。 競技中の天候は雪、気温-3.1℃、雪温-2.6℃、風速は0.2〜2.9m/sで、風の条件の変化が大きかったようです。
 優勝したのは140.5mを飛んだヤクブ・ヤンダ(CZE)。140mを越えたのは彼一人だけでした。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はロベルト・クラニェチ(SLO)でした。
 日本勢で本戦に進んだのは、予選免除のシード権を持っていた伊東大貴(土屋ホーム)と予選31位だった一戸剛(アインズ)の2名だけという寂しい内容。 一戸は123.5mを飛んで22位タイとなりワールドカップポイントを獲得しましたが、伊東は107.0mの42位に終わりポイント獲得はなりませんでした。

●11月26日 クーサモ(フィンランド) 第2戦 ラージヒル個人 HS142 [リザルト]
 個人第1戦に続き、個人第2戦の予選と本選を行うという強行軍だった11月26日。 天候は小雪がちらつき、気温-3.3℃、雪温-2.9〜3.0℃、風速は0.3〜3.2m/sと、条件はさほど良くなってはいなかったようです。
 優勝したのは公式練習や予選から大きなジャンプを見せているロベルト・クラニェチ(SLO)。 1stラウンドでヒルサイズを超える144.5mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドでも135.0mまで飛距離を伸ばして逃げ切りました。 2位は前日に引き続きヤンネ・アホネン(FIN)、3位はミヒャエル・ウアマン(GER)でした。
 4人が本戦に進んだ日本勢の中では、岡部孝信(チーム雪印)が孤軍奮闘。 128.5mと133.5mを飛んで13位に入りました。 以下、一戸剛(アインズ)は33位、伊東大貴(土屋ホーム)は35位、葛西紀明(土屋ホーム)は41位で、この3名はワールドカップポイントを獲得することができませんでした。

 クーサモ大会を終えて、個人総合成績はロベルト・クラニェチ(SLO)とヤンネ・アホネン(FIN)が160ポイントでトップに並び、ヤクブ・ヤンダ(CZE)が136ポイントで3位につけました。 日本人選手では岡部孝信(チーム雪印)が20ポイントで23位、一戸剛(アインズ)が9ポイントで28位です。 国別成績はフィンランドが287ポイントでトップ、ドイツが219ポイントで2位、スロヴェニアが209ポイントで3位。 日本は29ポイントで13カ国中9位です。

 気象条件の厳しさに泣かされた印象が強かったクーサモ大会。 公式練習では大きなジャンプが見られた日本勢ですが、その実力を肝心の予選や本戦で発揮することはできませんでした。 ワールドカップポイントを獲得した一戸、岡部両選手の頑張りは十分評価に値するものだとしても、チームとして強豪諸外国勢に太刀打ちできていない状況は憂慮すべきものがあります。 開幕戦で調子が今ひとつな面もあるでしょうけど、それはどの国どの選手も同じこと。 良くないコンディションの中でも、個々の選手が持てる力を最大限発揮した上で、チームとして勢いを作り盛り上げていかねばなりません。 この時期は経験豊富なベテラン勢の失敗が特に響きます。 次の大会、次のジャンプに向けて、悪いイメージを引きずらずに臨んでほしいと思います。

 次の大会は12月3日〜4日、ノルウェーのトロンハイムで、ラージヒル個人戦が2戦予定されています。 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■ジャンプ海外派遣メンバー選考会■2005年10月23日
 11月から開始されるFISワールドカップスキージャンプ、及びコンチネンタルカップスキージャンプに派遣する選手を選ぶ選考会が、10月15日〜16日に白馬ジャンプ競技場のラージヒルを用いて行われました。 例年は前シーズンの実績からそのまま遠征に選ばれていた実力上位の選手達も、今シーズンは事前に行われる選考会で良い成績を残さないと遠征に加われないシステムです。 今シーズンから日本チームのヘッドコーチに就任したカリ・ユリアンティラ氏の意向によるもので、直近では来年2月のトリノ冬季五輪や再来年の札幌世界選手権、将来的には2010年のバンクーバー冬季五輪に向けて、日本チームの本格的な改革が始まったことになります。 9月に行われたサマーGP白馬大会で既に遠征メンバーに内定している東輝(日本空調サービス)と一戸剛(アインズ)も交えて、若手・ベテランが一堂に会してしのぎを削る選考会となりました。

●10月15日 全日本記録会 ラージヒル HS131
 上位の選手でもK点を越えるのがやっと、という内容だった初日の全日本記録会。 1位は121.0mと118.5mを飛んだ地元出身の山田大起(北野建設)、2位は山田にわずか0.1ポイント差まで肉薄した岡部孝信(チーム雪印)、3位はここに来て調子を上げてきた小山内佳彦(日本大)でした。

●10月16日 HAKUBAサマージャンプ記録会 ラージヒル HS131
 女子組も参加して行われた二日目。 男子では129.5mと131.5mを飛んで圧倒的な存在感を示した岡部孝信(チーム雪印)が1位でした。 2位は一戸剛(アインズ)、3位は櫻井一欽(チーム雪印)でした。 女子組は121.0mと123.5mを飛んだ山田いずみ(ロイズ)がダントツのトップでした。

 今回行われた選考会では、ワールドカップとコンチネンタルカップに参加させる計10名の選手を選出し、最終的に具体的なメンバーを決定する2次選考会を11月に行うことになっています。 今回の選考会で選ばれた10名の顔ぶれは次の通りです。

【内定済み】
東輝(日本空調サービス)
一戸剛(アインズ)

【1次選考通過】
岡部孝信(チーム雪印)
櫻井一欽(チーム雪印)
山田大起(北野建設)
竹内択(飯山スキークラブ)
船木和喜(フィットスキー)
伊東大貴(土屋ホーム)
葛西紀明(土屋ホーム)
小山内佳彦(日本大)

 小山内は前シーズンまでの実績からワールドカップ出場資格を満たしていないため、コンチネンタルカップへの参加となります。

 トリノ冬季五輪の代表にはワールドカップで良い成績を出した選手から選ばれることが内定しているため、今回の選考会で選ばれなかった選手達はトリノの代表になる可能性が極めて低くなったと言えます。 また昨シーズンにワールドカップに参戦していた選手達も、11月の2次選考会の結果次第ではコンチネンタルカップに回される可能性があるため、この選考会で選ばれたからといって安穏としてはいられません。 このシステムにより、チーム内での競争が活性化し実力の底上げにつながれば、というのが首脳陣の考えでしょう。

 この選考システムの採用で今シーズンすぐに劇的な成果が現れることは期待しにくいかもしれませんが、選手やスタッフら関係者の意識改革の第一歩としてこの選考会が果たす役割は非常に大きいと思います。 来月に控えた2次選考会までに各選手がどのように調整を進めていくのか、注目したいところです。


■コンチネンタルカップスキージャンプ パークシティ大会■2005年10月3日
 海外ではコンチネンタルカップが再開されました。 アメリカのパークシティでラージヒル個人戦が2戦行われました。 日本からは重松健太郎(東京美装)と、梅崎慶大(チーム雪印)の2名が参加しています。

●10月1日 パークシティ 個人第10戦 ラージヒル HS134
 夕方に行われた個人第10戦。 優勝は122.5mと120.0mを飛んだヴォイチェク・スクーピエン(POL)でした。 2位はステファン・フーラ(POL)、3位はクリント・ジョーンズ(USA)でした。 梅崎慶大(チーム雪印)は9位、重松健太郎(東京美装)は11位に食い込みました。

●10月2日 パークシティ 個人第11戦 ラージヒル HS134
 個人第11戦は、強風のため1stラウンドだけで競技が打ち切られました。 優勝はただ一人ヒルサイズを上回る137.5mを飛んだマルチン・バフレダ(POL)でした。 2位にはクリント・ジョーンズ(USA)、3位にはアンデルス・バルダル(NOR)が入りました。 重松健太郎(東京美装)は10位、梅崎慶大(チーム雪印)は15位でした。


■新潟県妙高サマージャンプ大会■2005年10月3日
 国内のサマージャンプ公式戦としては、とりあえず今季最後の大会となる新潟県妙高サマージャンプ大会が9月18日に行われました。 グランプリスキージャンプ白馬大会の直後で、国内の一線級の選手が全員参加し、賑やかな顔ぶれの大会となったようです。

●9月18日 第5回新潟県妙高サマージャンプ大会
妙高高原赤倉シャンツェ ノーマルヒル HS100

 成年組で優勝したのは東輝(日本空調サービス)。 97.0mと90.0mを飛んで、第2回から続くこの大会の連続優勝記録を4に伸ばしました。 2位は金子祐介(東京美装)、3位は一戸剛(アインズ)でした。
 少年組は伊藤謙司郎(下川商業高)が、女子組では嘉部恵梨奈(青山学院大)が、それぞれ優勝しました。

 日本チームはこの後調整期間に入り、10月16日に白馬ジャンプ競技場でサマージャンプ記録会を開催、その記録会の成績から冬のワールドカップ遠征のメンバーを選出することになっています。


■FISグランプリスキージャンプ 白馬大会■2005年9月12日
 2005シーズンのFISグランプリスキージャンプは、白馬で最終戦を迎えます。 9月10日〜11日の二日間でラージヒル個人戦を2戦行いました。 グランプリシリーズでは唯一のアジアでの開催ということで、ヨーロッパ各国の強豪選手の中には調整のために欠場する人も多く、エントリーした選手は日本の開催国枠12名を含めても48名しかおらず、若干寂しい顔ぶれの大会となりました。 予選通過枠の50名に満たなかったため、予選をトレーニングに差し替えて全選手が本戦に臨みました。

●9月10日 白馬(日本) 個人第7戦 ラージヒル HS131 [リザルト] [フォトレポート]
 ナイトゲームで行われた個人第7戦。 この日は夕方過ぎから雷鳴が轟き始め、トライアルラウンドが始まる頃には激しい雨が降り出す悪条件でした。 気温は19.6〜19.4℃、風速は0.1〜2.3m/s。 競技時間中に雨が上がることはありませんでしたが、幸いにも風の条件は落ち着いていて、選手の実力がそのまま結果に表れる内容となりました。
 優勝したのはここまで個人総合成績でトップを走っているヤクブ・ヤンダ(CZE)。 121.5mと129.5mを飛んで逃げ切りました。 2位はヤンネ・ハッポネン(FIN)、3位はトマス・モルゲンシュテルン(AUT)でした。
 日本勢はこの試合で開催国枠を一杯に使い、12名の選手をエントリーしました。 日本勢の最高成績はトライアルから好調だった一戸剛(アインズ)。 113.5mと120.0mで見事6位に入賞しました。 以下、葛西紀明(土屋ホーム)が19位、山田大起(北野建設)が23位、岡部孝信(チーム雪印)が24位、原田雅彦(チーム雪印)が30位となり、この5名はグランプリポイントを獲得しました。 伊東大貴(土屋ホーム)は31位、船木和喜(フィットスキー)は34位、金子祐介(東京美装)は35位、宮平秀治(ミズノ)は36位、湯本史寿(東京美装)は40位、坂野幸夫(チーム雪印)は41位、東輝(日本空調サービス)は46位で、この7名は2ndラウンドに進むことができませんでした。

●9月11日 白馬(日本) 個人第8戦 ラージヒル HS131 [リザルト] [フォトレポート]
 グランプリシリーズ最終戦となる個人第8戦は午前中に行われました。 この日もトライアルラウンドの途中から雨が降り始め、前日ほど強い雨足ではないものの、競技終了まで雨に悩まされることとなりました。 気温は18.5〜18.0℃、風速は0.0〜3.0m/s。 風向きの変化は前日よりも若干大きかったようですが、選手が大きくバランスを崩すような突風は無く、この日の風も比較的安定していたと言えます。
 この日の優勝は前日に続いてヤクブ・ヤンダ(CZE)。 1stラウンドで128.0mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドでは130.5mの最長不倒距離を記録して圧勝しました。 2位はヴォルフガング・ロイツル(AUT)、3位はトマス・モルゲンシュテルン(AUT)でした。
 日本勢は東輝(日本空調サービス)が奮闘して5位に入賞。 1stラウンドで124.5mを飛んで2位タイにつけましたが、2ndラウンドでは115.0mと飛距離を伸ばせず、惜しくも表彰台は逃してしまいました。 葛西紀明(土屋ホーム)は8位、伊東大貴(土屋ホーム)は9位、一戸剛(アインズ)は26位、山田大起(北野建設)は29位でした。 岡部孝信(チーム雪印)は2ndラウンドに進めず37位に終わりました。

 グランプリスキージャンプの全日程を終えて、個人総合成績はトップがヤクブ・ヤンダ(CZE)(606)、2位はヴォルフガング・ロイツル(AUT)(470)、3位はトマス・モルゲンシュテルン(AUT)(466)となりました。 日本勢は28位に東輝(日本空調サービス)(58)、33位に一戸剛(アインズ)(45)、34位に葛西紀明(土屋ホーム)(44)、42位に伊東大貴(土屋ホーム)(29)、46位に山田大起(北野建設)(19)、49位に岡部孝信(チーム雪印)(15)、74位タイには原田雅彦(チーム雪印)と宮平秀治(ミズノ)(いずれも1)が、それぞれランクされました。 国別成績ではオーストリア(1623)がトップ、2位はチェコ(1029)、3位はドイツ(1020)でした。 日本(212)は9位でした。




 今年も白馬大会を現地まで観戦に行って参りました。 二日間とも雨に祟られる生憎の天候でしたが、観客席で見ている限りでは気象条件の変化は競技の流れにあまり影響を与えておらず、ほぼイーブンの条件で公平に競技が進められました。 エントリーした選手の顔ぶれを見ると、個人総合1位〜3位の選手(ヤンダ、ロイツル、モルゲンシュテルン)がジャンプの内容では頭一つ以上突出していて、彼らが見せたK点を大きく越えるジャンプは貫禄そのものでありました。
 日本勢では、土屋ホームの伊東、葛西の両名が今シーズン初の公式戦参加となること、前日のトレーニングで東や一戸、湯本らが安定したジャンプを見せていたことなど、本戦にむけて注目すべき点はいくつもありました。 その結果両日とも6位入賞圏内に食い込む選手が出てきたので、予備知識無しで観戦している分には見応えのある試合だったと思います。 しかしジャンプの内容に関しては、世界のトップクラスから大きく水を空けられていることは一目瞭然。 サッツの完成度、風を読み飛距離に結びつける技術、ランディングの完成度やアピール等、あらゆる面において力不足を感じる選手が多いです。 今は冬の本番に向けての調整期間であることを差し引いても、欧州の強豪選手との差は憂慮すべきものがあると思います。

 今シーズンからワールドカップへの参加資格は、個人のポイント累積実績だけを目安にするのではなく、ポイントの実績から割り振られる派遣枠の中で各チームの裁量に任されることになりました。 日本チームは10月と11月に、ワールドカップ派遣メンバーを決める選考会を実施することにしたようです。 10月15日〜16日に白馬で予備選考会を、11月中旬のヨーロッパ合宿中に本選考会を行って、本番直前の仕上がりをより重視する方針になります。 今回の白馬大会で良い成績を残した選手も安穏としていられません。 チーム内の競争が良い意味で活性化し、各選手のレベルアップにつながっていくことを期待したいと思います。

[ワールドカップジャンプ全日程]


■FISグランプリスキージャンプ 個人第5戦〜第6戦■2005年9月5日
 グランプリスキージャンプも後半戦に突入しました。 前回のザコパネ大会を欠場して、トリノ冬季五輪で使用するプラジェラートのシャンツェでトレーニングをしていた日本チームは、個人第5戦となるヴァル・ディ・フィエンメ大会から再び戦列に復帰しています。

●8月31日 ヴァル・ディ・フィエンメ(イタリア) 個人第5戦 ラージヒル HS134 [リザルト]
 生憎の雨の中行われた個人第5戦。 気温は18.0〜19.0℃、風速は0.2〜1.5m/s。 競技時間が夜の9時から10時半とかなり遅く、気温以上に冷え込む天候だったのではないかと推測してしまいます。
 優勝はヤクブ・ヤンダ(CZE)。 129.5mと130.5mを飛んで、ザコパネ大会に続く連勝です。 2位はアンドレアス・キュッテル(SUI)、3位はヴォルフガング・ロイツル(AUT)でした。
 日本勢は岡部孝信(チーム雪印)が121.0mと119.0mを飛んで28位に入ったのが最高順位。 山田大起(北野建設)は30位で、この両名はグランプリポイントを獲得しました。 船木和喜(フィットスキー)は35位、宮平秀治(ミズノ)は38位、東輝(日本空調サービス)は44位タイで、この3名は2ndラウンドに進むことができませんでした。

●9月3日 ビショフスホーフェン(オーストリア) 個人第6戦 ラージヒル HS140 [リザルト]
 緩やかで長いインランの形状から日本人選手が苦手とするビショフスホーフェンのラージヒル。 サマーシーズンのグランプリスキージャンプで使用されるのは今年が初めてです。 夕方の開催となったこの試合、競技中の天候は曇り、気温は20.0〜23.0℃、風速は0.1〜2.0m/s。 公式のリザルトを見る限りでは、難易度の高いシャンツェらしく、飛距離を伸ばす選手と苦労する選手の対比が両極端だったようです。
 優勝したのはアンドレアス・キュッテル(SUI)。 1stラウンドで135.0mを飛んでトップに立ち、2ndラウンドも137.0mまで飛距離を伸ばして逃げ切りました。 2位はヤクブ・ヤンダ(CZE)、3位はミヒャエル・ウアマン(GER)でした。 この日はドイツ勢が好調で、ウアマンを筆頭に10位以内に3人の選手が食い込んでいます。
 日本勢では、このシャンツェで過去に比較的よい成績を残している宮平秀治(ミズノ)が、125.5mと116.0mで辛うじて30位に入ったのが最高。 東輝(日本空調サービス)は38位、山田大起(北野建設)は42位でした。

 個人第6戦までを終えて、個人総合成績のトップはヤクブ・ヤンダ(CZE)(406)、2位はヴォルフガング・ロイツル(AUT)(370)、3位はトマス・モルゲンシュテルン(AUT)(326)です。 国別成績ではオーストリア(1301)が断然トップを走っています。日本は現在17カ国中12位です。

 次の試合はいよいよ日本の白馬で行われます。 9月10日〜11日に、白馬ジャンプ競技場のラージヒル(HS131)で個人戦を2戦行う予定です。 今シーズンはチーム単独でトレーニングと調整を続けてきている土屋ホームが、この白馬大会に参戦することが決まっています。 9月5日時点でSAJ(全日本スキー連盟)から発表されている、白馬大会にエントリーする日本人選手は次の通りです。

A指定
伊東大貴(土屋ホーム)/葛西紀明(土屋ホーム)/ 船木和喜(フィットスキー)/宮平秀治(ミズノ)

B指定
東輝(日本空調サービス)/岡部孝信(チーム雪印)/山田大起(北野建設)/
一戸剛(アインズ)/金子祐介(東京美装)/湯本史寿(東京美装)/坂野幸夫(チーム雪印)

C指定
原田雅彦(チーム雪印)

 ワールドカップポイントを持っている選手、コンチネンタルカップポイントを持っている選手の他に、今シーズン国内の公式戦でよい成績をあげている選手からも何名か選ばれています。 ここまでの試合、過去の実績を考えると不甲斐ない成績であったと言わざるを得ない日本チーム。 ホームで行われる最終戦で、是非とも汚名を返上してほしいものです。 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■FISグランプリスキージャンプ ザコパネ大会■2005年8月29日
 グランプリスキージャンプは、ポーランドのザコパネでラージヒル個人第4戦を行いました。 日本チームとフィンランドチームはこの大会に参加しませんでした。 ワールドカップ並みの重要性を持つ大会とはいえ、あくまでも調整段階のシーズンですから、各国各チームの足並みがなかなか揃わないのも致し方ないところでしょう。

●8月27日 ザコパネ(ポーランド) 個人第4戦 ラージヒル HS134 [リザルト]
 ナイトゲームで行われたこの試合、天候曇り、気温16.0〜13.0℃、風速0.2〜1.7m/sとまずまずの条件だったようです。 優勝したのはヤクブ・ヤンダ(CZE)。 127.5mと138.0mを飛んで、今季初優勝です。 2位はトマス・モルゲンシュテルン(AUT)、3位はヴォルフガング・ロイツル(AUT)でした。 上位に食い込むことが期待された地元ポーランドのエース、アダム・マリシュ(POL)は、調整不足だったのか26位と低調な結果で終わりました。

 個人第4戦までを終えて、個人総合成績はトップがトマス・モルゲンシュテルン(AUT)(285)、2位はヴォルフガング・ロイツル(AUT)(260)、3位はヤクブ・ヤンダ(CZE)(226)です。 国別成績では以前としてオーストリア(1026)がトップを走っています。

 次の試合は8月31日、イタリアのヴァル・ディ・フィエンメでラージヒル個人戦が予定されています。 この試合には日本チームも参加するとのことです。 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■FISグランプリスキージャンプ 個人第2戦〜第3戦■2005年8月19日
 グランプリスキージャンプはスイスのアインジーデルンとフランスのクーシュベルのラージヒルを3日間で転戦しました。 日本チームは前週のヒンターツァルテン大会に参加したメンバーがそのままこの2連戦にもエントリーしています。

●8月13日 アインジーデルン(スイス) 個人第2戦 ラージヒル HS117 [リザルト]
 HS117の比較的小さめのラージヒルで行われた個人第2戦。 この日の天候は曇り、気温19.0〜20.0℃、風速は0.2〜4.4m/s。 風の強弱の差が大きく、条件としては芳しくなかったかもしれません。
 優勝したのは113.0mと115.5mを飛んだロベルト・クラニェチ(SLO)。 1stラウンド2位からの逆転でした。 2位はヤンネ・ハッポネン(FIN)、3位はヤクブ・ヤンダ(CZE)でした。
 日本勢は東輝(日本空調サービス)が36位タイ、山田大起(北野建設)が40位、宮平秀治(ミズノ)が41位、船木和喜(フィットスキー)が50位と奮わず、全員が2ndラウンドに進めませんでした。

●8月14日 クーシュベル(フランス) 個人第3戦 ラージヒル HS132 [リザルト]
 この日のクーシュベルは1stラウンドで曇りだった天気が2ndラウンドでは雨に変わる生憎の条件。 気温は16.9℃から12.7℃に下がり、日暮れにさしかかり始めた2ndラウンドは肌寒かったことでしょう。
 優勝はトマス・モルゲンシュテルン(AUT)。 2本とも127.0mのジャンプを揃え、着地もしっかり決めて逃げ切りました。 2位は128.0mを2本揃えたもののポイントでモルゲンシュテルンに及ばなかったミヒャエル・ノイマイヤー(GER)、3位はヴォルフガング・ロイツル(AUT)でした。
 日本勢は122.5mと116.0mを飛んだ東輝(日本空調サービス)が18位に入ったのが最高。 山田大起(北野建設)は23位、岡部孝信(チーム雪印)は26位でした。 44位の船木和喜(フィットスキー)と46位の宮平秀治(ミズノ)は2ndラウンドに進むことができませんでした。

 個人第3戦までを終えて、個人総合成績のトップはトマス・モルゲンシュテルン(AUT)(205)、2位はヴォルフガング・ロイツル(AUT)(200)、3位はヤクブ・ヤンダ(CZE)(126)です。 日本勢はクーシュベル大会で始めてポイントを獲得、東輝(13)が30位タイ、山田大起(8)が37位タイ、岡部孝信(5)が40位タイとなっています。 国別成績ではオーストリアが812ポイントでトップを走っています。

 次の試合は8月27日のザコパネ大会ラージヒル個人戦。 日本チームはザコパネ大会にはエントリーせず、調整と練習に専念するようです。 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■FISグランプリスキージャンプ開幕 ヒンターツァルテン大会■2005年8月9日
 コンチネンタルカップの開幕から遅れること約一ヶ月、今年もグランプリスキージャンプシリーズが開幕しました。 来年2月のトリノ冬季五輪を控える重要なシーズン、各国各選手がどのようなスタートを切ることになるか、ジャンプの結果だけでなくチームの動向も含めて、注目したいところは数多くあります。 日本チームは新しく迎えたヘッドコーチ、カリ・ユリアンティラ氏が指揮を執る最初の試合となります。 土屋ホームの選手達を国内調整で欠いて、葛西や伊東などエース格の選手が不在の中、日本勢がどのような踏ん張りを見せてくれるかが一つの見所でした。

●8月6日 ヒンターツァルテン 団体第1戦 ノーマルヒル HS108 [リザルト]
 開幕緒戦はノーマルヒルの団体戦。 この日の天気は曇り、気温22.0〜25.0℃、風速は0.5〜4.0m/sと、風の条件が若干不安定だったようです。
 優勝したのはドイツ(ノイマイヤー/シュペート/ヘル/ウアマン)。 地元開催の利はあったかもしれませんが、全員が失敗なく安定したジャンプを揃えて、堂々の優勝です。 2位はフィンランド(ルースカネン/キウル/M.ハウタマキ/アホネン)、3位はオーストリア(ロイツル/ヴィドヘルツル/ヘルヴァルト/モルゲンシュテルン)でした。
 日本勢は 岡部/船木/山田/東 のオーダーで臨みましたが、山田が第3グループの5位に入る100.0mを飛んだ以外は100mに届かず、2ndラウンドにも進めない10位に終わりました。

●8月7日 ヒンターツァルテン 個人第1戦 ノーマルヒル HS108 [リザルト]
 ヒンターツァルテン大会2日目は生憎の雨。 気温は10.0〜15.0℃と肌寒く、風速も0.1〜2.4m/sと今ひとつ落ち着きません。 不安定な条件で行われる厳しい試合となったようです。
 優勝はヴォルフガング・ロイツル(AUT)。 1stラウンドで98.5mを飛んで9位につけると、2ndラウンドでは106.0mまで飛距離を伸ばして逆転優勝を飾りました。 2位はヤンネ・アホネン(FIN)、3位はトマス・モルゲンシュテルン(AUT)でした。
 日本勢は予選から飛距離が伸びず、決勝に進んだのは船木和喜(フィットスキー)一人だけという寂しい展開。 その船木も1stラウンドは87.5mと失速、47位タイで2ndラウンドに進むことができませんでした。

 上に記したリザルト以外で注目されるのは、ロシアの選手達が非常に調子がよいこと。 初日の団体戦では1stラウンドを終えた時点でロシアがトップに立っていましたし、二日目の個人戦でもイルダー・ファチューリンが1stラウンドのトップに立つなど、チーム全体に勢いがあります。 このヒンターツァルテン大会では惜しくも表彰台に手が届きませんでしたが、この調子でいけば近いうちに必ず表彰台に立つことになるでしょう。
 またこの大会ではカナダの選手がエントリーして積極的なジャンプを見せていました。 2010年に控えたバンクーバー冬季五輪に向けて、本格的に選手育成に乗り出したのでしょう。 かつては名選手ホルスト・ビューローを育てた国ですから、ジャンプ強国の仲間入りをする日もそう遠くないことかもしれません。

 日本勢は、昨シーズンにチームを引っ張った伊東大貴と葛西紀明の両名を土屋ホームの国内調整で欠き、エース不在で臨まざるを得ない苦しい状況でした。 しかし顔ぶれを見れば、五輪や世界選手権のメダリスト、ジャンプ週間の入賞経験者など実績のある選手達が揃っていたわけですから、それにもかかわらず両日とも入賞圏内にすら届かなかったのは、大変残念な結果です。 シーズン開幕から猛ダッシュをする必要はないにせよ、仮にもオリンピックを控えたシーズンのサマー開幕戦で1ポイントすら稼げなかったのは、実力不足・調整不足であったということの表れでしょう。 土屋ホームが9月の白馬までサマーGPへの不参加を表明しているため、当面は今のこのメンバーで転戦をすることになります。 開幕から大きな不安を抱えてのスタート、前途は多難なようです。

 次の試合は、8月13日のアインジーデルン(SUI)でのラージヒル個人戦、続いて14日のクーシュベル(FRA)でのラージヒル個人戦です。 ([ワールドカップジャンプ全日程]


■国内公式戦(7月〜8月7日)■2005年8月9日
 サマージャンプの国内公式戦が7月17日からスタートしました。 来年2月にはトリノ冬季五輪を控える重要なシーズンですので、大きな目標を持っている選手達にとっては、今からの一戦一戦をどのように闘いどのように結果をアピールできるかが非常に重要な課題となってきます。 既にワールドカップ遠征資格を持つ選手にとってもその重要性は変わりません。 これから長いシーズンが始まります。

●7月17日 第25回朝日町全日本サマージャンプ大会
朝日町三望台シャンツェ ミディアムヒル HS65

 サマーシーズン開幕戦は朝日町三望台シャンツェのミディアムヒル個人戦。 9月に朝日町が士別市と合併するので、”朝日町”としての開催は今年が最後になります。
 成年組の優勝は62.0mと59.0mを飛んだ金子祐介(東京美装)、2位は湯本史寿(東京美装)、3位は一戸剛(アインズ)でした。
 少年組は外山直也(小樽北照高)が、女子組は渡瀬あゆみ(ロイズ)がそれぞれ優勝しました。

●7月24日 サンピラー国体記念第3回サマージャンプ大会
名寄ピヤシリシャンツェ ノーマルヒル HS100

 ワールドカップ遠征資格を持つ主力選手も一堂に会して行われた、今シーズン最初のノーマルヒル。 今年は宮の森シャンツェが2007年の札幌世界選手権に向けての改修工事を行っていて使えませんので、この大会はある意味”貴重な”ノーマルヒルとなります。
 優勝は原田雅彦(チーム雪印)。 93.0mのジャンプを2本揃え、ノーマルヒルは相変わらずの強さです。「夏男」の面目躍如ですね。 2位は葛西紀明(土屋ホーム)、3位は湯本史寿(東京美装)でした。
 少年組は外山直也(小樽北照高)が、女子組は山田いずみ(ロイズ)がそれぞれ優勝しました。

●8月6日 UHB杯サマージャンプ大会2005
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒル HS134

 今シーズン最初のラージヒル公式戦です。 サマーGP遠征で主力選手を欠きましたが、土屋ホームの選手達はサマーGP遠征を蹴って国内調整を続けており、この大会にもエントリーしています。
 優勝したのは伊東大貴(土屋ホーム)。 129.5mと130.0mを飛んで、貫禄充分。 社会人となってからは始めての公式戦優勝です。 2位は重松健太郎(東京美装)、3位は金子祐介(東京美装)でした。
 少年組は原田侑武(札幌光星中)が、女子組は山田いずみ(ロイズ)が制しました。

●8月7日 第6回札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会
大倉山ジャンプ競技場 ラージヒル HS134

 大倉山のラージヒル2連戦、その2戦目。 この日の優勝も伊東大貴(土屋ホーム)。 129.0mと127.5mを飛び、昨シーズン大活躍した勢いそのままの強さを見せて2連勝を決めました。 2位は金子祐介(東京美装)、3位は重松健太郎(東京美装)でした。
 少年組は伊藤謙司郎(下川商業高)が、女子組は山田いずみ(ロイズ)がそれぞれ優勝しました。


■コンチネンタルカップ第4戦〜第7戦■2005年8月6日
 7月後半のコンチネンタルカップはスイスのアインジーデルンとドイツのオーベルシュトドルフを転戦。 いずれもラージヒルでの開催です。 日本からは西下和記(日本空調サービス)ただ一人が参戦しています。

●7月23日 アインジーデルン 個人第4戦 ラージヒル HS117
 スイス、アインジーデルンで行われたラージヒル2連戦。 緒戦はナイトゲームで行われました。 優勝したのは地元のスキークラブ所属であるアンドレアス・キュッテル(SUI)。 111.5mと103.5mを飛んで逃げ切りました。 2位はミヒャエル・ノイマイヤー(GER)、3位はシモン・アマン(SUI)でした。 西下和記(日本空調サービス)は95.0mの38位で、2ndラウンドに進むことができませんでした。

●7月24日 アインジーデルン 個人第5戦 ラージヒル HS117
 この日優勝したのは112.5mと108.5mを飛んだマルチン・バフレダ(POL)。 アダム・マリシュに次ぐ第2エースの座を少しずつ確立しつつあるというところでしょうか。 2位はシモン・アマン(SUI)、3位はミヒャエル・メリンガー(SUI)でした。 西下和記(日本空調サービス)は95.5mで45位でした。

●7月30日 オーベルシュトドルフ 個人第6戦 ラージヒル HS137
 ナイトゲームで行われたオーベルシュトドルフ大会緒戦、優勝は128.5mと130.5mを飛んだゲオルグ・シュペート(GER)でした。 2位はミヒャエル・ノイマイヤー(GER)、3位はドミトリ・ワシリエフ(RUS)でした。 西下和記(日本空調サービス)は109.0mで50位でした。

●7月31日 オーベルシュトドルフ 個人第7戦 ラージヒル HS137
 この日の優勝はミヒャエル・ノイマイヤー(GER)。 131.0mと134.0mを飛び、2位からの逆転優勝でした。 2位は1stラウンドトップだったドミトリ・ワシリエフ(RUS)、3位はゲオルグ・シュペート(GER)でした。 西下和記(日本空調サービス)は99.0mで64位と奮いませんでした。


■サマージャンプ コンチネンタルカップ開幕■2005年7月11日
 サマージャンプシーズンの開幕を告げるコンチネンタルカップの緒戦が、今年はスロヴェニアのヴェレニェとクラニで開かれました。 シーズン初めということで、ワールドカップ個人総合成績の上位にランクされるような強豪選手の参加は少ないですが、今後ワールドカップへの昇格を狙って少しでもポイントを稼いでおきたい選手にとっては、重みのある開幕戦です。 日本人選手では、現在フィンランドにスキー留学をしている竹内拓(飯山市スキークラブ)が、フィンランドのクラブチーム Puijon Hiihtoseura の選手として参加しています。

●7月8日 ヴェレニェ 個人第1戦 ノーマルヒル HS94
 1stラウンド開始が21時42分、終了が23時21分と、深夜の時間帯に行われた個人第1戦。 夏とはいえ、その時間帯では気温は10℃前後、飛ぶ方も観る方もけっこう寒そうです。 優勝したのは94.5mと92.5mを飛んだロベルト・クラニェチ(SLO)、2位はシュテファン・トゥルンビヒラー(AUT)、3位はユハ・マッティ・ルースカネン(FIN)でした。 竹内拓は83.0mと84.0mで22位でした。

●7月9日 ヴェレニェ 個人第2戦 ノーマルヒル HS94
 第2戦は夕方の開催。 第1戦を制したクラニェチはエントリーしませんでした。 優勝は第1戦で4位に入っていたマルチン・バフレダ(POL)。 89.0mと90.0mを飛び、2戦とも安定しています。 2位はヤンネ・ハッポネン(FIN)、3位はロック・ベンコビッチ(SLO)でした。 竹内拓(飯山市スキークラブ)は80.5mと82.5mを飛んで27位タイでした。

●7月10日 クラニ 個人第3戦 ラージヒル HS109
 スロヴェニアシリーズの第3戦は今シーズン初のラージヒル。 HS109の少々小振りなシャンツェです。 優勝は100.5mと111.5mを飛んだロベルト・クラニェチ(SLO)、2位はロック・ベンコビッチ(SLO)、3位はプリモジュ・ペテルカ(SLO)でした。 地元スロヴェニア勢の表彰台独占です。 竹内拓(飯山市スキークラブ)は1stラウンドで90.5mを飛びましたが、38位と奮わず、2ndラウンドに進むことができませんでした。

 コンチネンタルカップの次の試合は7月23日〜24日、スイスのアインジーデルンでHS117のラージヒル個人戦が2戦予定されています。


■フィンランド人の新ヘッドコーチ就任■2005年7月10日
 7月6日付のSAJ(全日本スキー連盟)の発表によると、日本スキージャンプチームの新しいヘッドコーチとしてフィンランド人のカリ・ユリアンティラ氏が就任することが決まった模様です。 同氏は1987〜1994年の間にフィンランドナショナルチームのヘッドコーチを務め、ワールドカップ通算46勝を記録したマッティ・ニカネン氏を育てたことでも有名です。 契約期間は2010年のバンクーバー冬季五輪まで。 来年に迫ったトリノ冬季五輪の更にその先を見据えた契約です。 現在活躍している選手の強化だけではなく、欧州強豪国とは違う日本の選手育成システムの改革にもその手腕が発揮されることを期待したいところです。


■2005−2006年 FISワールドカップスキージャンプ 日程■2006年3月19日更新
 2005〜2006年のFISワールドカップスキージャンプの日程です。今後変更される可能性もあります。

FISグランプリスキージャンプ
 2005.08.06 ヒンターツァルテン(GER)            HS108団体(◆)
 2005.08.07 ヒンターツァルテン(GER)            HS108(◆)
 2005.08.13 アインジーデルン(SUI)              HS117(◆)
 2005.08.14 クーシュベル(FRA)                  HS132(◆)
 2005.08.27 ザコパネ(POL)                      HS134(◆)
 2005.08.31 ヴァル・ディ・フィエンメ(ITA)      HS134(◆)
 2005.09.03 ビショフスホーフェン(AUT)          HS140(◆)
 2005.09.10 白馬(JPN)                          HS131(◆)
 2005.09.11 白馬(JPN)                          HS131(◆)

FISワールドカップスキージャンプ
 2005.11.26 クーサモ(FIN)                      HS142(ナイトゲーム)
 2005.11.26 クーサモ(FIN)                      HS142(ナイトゲーム)
 2005.12.03 リレハンメル(NOR)                  HS134(ナイトゲーム)
 2005.12.04 リレハンメル(NOR)                  HS134
 2005.12.10 ハラホフ(CZE)                      HS142
 2005.12.11 ハラホフ(CZE)                      HS142
 2005.12.17 エンゲルベルク(SUI)                HS137
 2005.12.18 エンゲルベルク(SUI)                HS137

 4Schanzentournee〜ジャンプ週間
 2005.12.29 オーベルシュトドルフ(GER)          HS137
 2006.01.01 ガルミッシュ・パルテンキルヘン(GER)HS125
 2006.01.04 インスブルック(AUT)                HS130
 2006.01.06 ビショフスホーフェン(AUT)          HS140

 2006世界スキーフライング選手権
  2006.01.13-14 クルム/バートミッテルンドルフ(AUT)       HS200(◆)
  2006.01.15    クルム/バートミッテルンドルフ(AUT)       HS200団体(◆)


 2006.01.21 札幌/大倉山(JPN)                  HS134(ナイトゲーム)
 2006.01.22 札幌/大倉山(JPN)                  HS134
 2006.01.28 ザコパネ(POL)                      HS134(ナイトゲーム)
 2006.01.29 ザコパネ(POL)                      HS134
 2006.02.04 ヴィリンゲン(GER)                  HS145(ナイトゲーム)
 2006.02.05 ヴィリンゲン(GER)                  HS145団体

 2006トリノ冬季オリンピック
  2006.02.12 プラジェラート(ITA) ノーマルヒル個人(◆)
  2006.02.18 プラジェラート(ITA) ラージヒル個人(◆)
  2006.02.20 プラジェラート(ITA) ラージヒル団体(◆)

 2006.03.04 ラハティ(FIN)                      HS130団体(ナイトゲーム)
 2006.03.05 ラハティ(FIN)                      HS130(▲)
 2006.03.07 クォピオ(FIN)                      HS127(ナイトゲーム)(▲)
 2006.03.10 リレハンメル(NOR)                  HS134(ナイトゲーム)(▲)
 2006.03.12 オスロ/ホルメンコーレン(NOR)      HS128(▲)
 2006.03.18 プラニツァ(SLO)                    HS215
 2006.03.19 プラニツァ(SLO)                    HS215
HS … Hill Size
(◆)成績はワールドカップポイントに加算されません。
(▲)ノルディックトーナメント

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